モテないゲイは、魔法使いを目指す!

ビーバー父さん

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お酒を飲む場所だから、車では行かないって言われて、見慣れた繁華街を歩くと、フレンチなのか、イタリアンなのか、木の扉のお洒落な感じのお店に連れて行かれた。

初めて来たお店に入ると、中にいた店員さんはあのオネェたちだった。

いや、ちゃんとギャルソンの姿で。

「カイくん!
 退院したんだね!」

オネェ言葉じゃないし!
しかも、凄い男らしいし!
ナニソレ?

何の悪魔の実を食べたのさ!

3人とも、この店の人?

「えっ、と?
 どう言う事?」

「あの時、俺達はこの人たちをそれぞれ送って、その足で笙野の家に乗り込んだんだ。」

「あまり、いい話じゃないし、さとるにはキツいだろうから家に帰ったら話すよ」

2人と海江田さんが責任を感じてるんだって事は、わかっていた。

「うん、先ずは食べないと!ね」

「そうだね、病院で裸を見たけど、痩せすぎだね。
 今夜からリハビリですし、しっかり食べるんだよ」

お義父さんは、リハビリ予定を話してくれた。
そっか、夜ならリハビリしてお風呂入って寝るだけだもんね。
身体も休めるし、いいね!

5人でいると、なんかマフィアみたいw
だって、全員、左のこめかみ辺りに同じタトゥーが入ってるんだもん。
いつの間に、海江田さんまで!





沢山、話せた気がする
オネェたちは、俺を抱きしめて、ありがとう、本当に助かったって言ってくれた。

それを見てた皆んなの目が笑っていなかった。

なんだか、それが嬉しい。
やきもちなんか妬かせたらダメなのに、妬いて貰えると、凄く、嬉しかった。
帰る道も、みんなで帰ると思うとそれが嬉しかった。




出入りに一苦労なのは、困ったなー。
エレベーターに乗れない!
これ!

入る時は必ず誰かに、主に侑士だけどな!抱っこされないと、乗っていられないのは流石に、な。

安定の抱っこちゃんで、部屋へ帰ると食事前に話さなかった、あの日の事を話し始めた。





笙野の家は表向きは町会議員でそれ程ではないが、裏はなんとか会系とか言われる人との繋がりがあって、繁華街を牛耳っていたらしい。
証拠はでないが、火をつけられたり、うちのように強盗が入ったり。
表向きは強盗で殺人未遂で終わってた。

ただ、怨恨の証拠があったので、当然笙野の家は関与だか教唆だかで、あの兄貴分と妹の佐代子、そして一志さんと侑士の母親も捕まった。
芋づる式で薬やら、他の殺人やら色々あった。
あの、一志さんに言い寄って拗らせてたクソは、普通に無許可の風営法で捕まった。
あのクソは、やはり、笙野の指示で動いてたって。
一志さんを好きになるのは当たり前!
なのに、違っただと!
許せん!
俺が苦しんだ時間を返せ!

佐々は兄貴分と言いながら、本当になんとか会系の方からの人間で、捕まった。

リーマン風のあいつ、薬はキメてるは、ずっと俺を付き纏い嫌がらせをしていたんだ。
ストーカーに情報流したのも、あいつだった。
普通の人のような怪物だった。
何人か殺してるって話だし、あの時まったく躊躇いが無かった。

あの日、いなかったのは、暴露してしまったオネェたちに被害が及ばない様にそれぞれを送り届け、その足で笙野に話に行ったのと、眠ってるから、と言う甘い理由で判断した結果、1人にされたんだ。

話し合いに行くと、2人の母親が、佐代子を名義上だけでもいいから、入籍しろだの、跡取りを生ませろだの、気持ち悪い提案をしてきたそうだ。

侑士のDNA上の父親が、町会議員だそうでそいつが自分の娘をと。
しかも、後妻に入ったその母親が言うには、本当の娘だと。
気持ち悪すぎる。
頭のおかしいのは、笙野が近親婚を繰り返した結果なのか、モラルとかそんなのが欠如していた。

断る事と、お義父さんに報告をする事を告げると引き止められ、しつこく食い下がられてる時に、アラームが発動したそうだ。

そっか、メンツ見て俺が1人、もしくは警護がいるかどうかってのを見込んでの強襲だったんだ。
 
母親が、かと思ったけど本人も檻付き系か。





急いで帰ってきた時にはもう、俺は意識不明の重体で運ばれた後だったってさ。

本社移転でお義父さんが運良くこちらに向かっていて、その足で病院へ来てくれたって。

うちの母さんと病院で会って、お義父さんは土下座したって、今聞いた。

遅れて来た2人を、殴り、そのまま、病院の駐車場へ連れて行き、うちの家族3人からボコボコにされて、俺には一切会わせてもらえなかったって。

お義父さんは、PTSDの診断が出るだろうからと先にカウンセラーと話したり、病院の手配をしたり、本当に動き回ってくれてたんだ。
実際、そのおかげでここまで回復した。


つきっきりの3ヶ月が、お義父さんには長かったと思う。

「ね、さとる
 この3人を許せなくて良いんです。
 それだけの事をしました。
 さとるの心臓は二回も止まりました。
 だから、許す必要はありません」

綺麗で残酷な笑顔をみせられた。

「お義父さん。
 俺が、フラッシュバックする様に、きっと一志さんも侑士も、海江田さんも、ずっと後悔し続けると思うから、俺だけは許すよ。
 それに、たくさん怒ったしね。」

かなり悪態ついたし、それでいいよ。
いま、死んでないし。多分。

「さとる!」
「さとる、ありがとう!愛してるよ!」
「さとるくん!いつでも、必ず守るから!」

イケメンに謝られるのって、なんだか優越感あるね!

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