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しおりを挟む暴露大会が始まった。
「ちなみに、私がオーナーなので、雇用するしないは私が決める事です。
残念ですが、品位も知性も足りません。
カズもユウも私の夫できちんと戸籍にも入っていますから。」
よほど悔しかったのか、お金をばら撒いて出て行った。
他のオネェ仲間たちは、流石に静かにお金を払って出て行った。
ゲイとかって、入籍までには、なかなかならないから、かなりの打撃だと思う。
最近、こんなのばっかりなんだけど、同じだよね?
やり方が。
笙野の奴、クソの始末してねーな。
今回は証拠が無い。
気持ち悪いやり方だ。
何が目的なんだろう?
クソの恋心の成就なんて、露程にも考えてないだろう。
ここの利権かな、やっぱり。
俺、かなりメンタル強くなったと思わない?
やっぱり自分達の店だと思えば、きちんとコンセプトや、基準がはっきりしてくる。
漠然と働くのとは訳が違う。
だからこそ、こんなどうでも良い理由で雇えなんて言ってくる奴は、斬り捨てるさ。
俺たちの城なんだよ、ここは。
今夜も、笙野が来るかと思ったら来なかった。
アフィニティの人が来た。
「カイ君、今晩は」
「久しぶりじゃないですか?
お仕事、忙しいんですか?」
おしぼりを渡しながら、この1週間くらい見ていなかったことを話した。
「うーん、ちょっとねー
面倒臭い事があってさ。」
「お疲れ様です。
今日は何になさいますか?」
「先ずは、ビール、スタウトがいいな
ある?」
「では、ギネスではいかがでしょう?
当店では生憎、缶になってしまいますが、中に入ってるボールで泡も綺麗ですよ。」
冷えたグラスと冷えたギネスを出した。
ツマミはオリーブを出し、生ハムを添えた。
「へぇ~、きれいにきめ細かい泡になるんだねー」
「お家でも楽しめますよね」
この店を始める前に、お酒の知識はかなり入れた。
でも、まだまだ、一志さんみたいにはなれない。
もっと、隣に立っても恥ずかしくない知識が欲しい。
珍しく?なのかな、笙野は現れなかった。
閉店間際にスマホが鳴って、非通知に気持ち悪さを覚えた。
あの時みたいな。
ゾワリと這い上がる恐怖。
「もしもし?」
『伴、そこに居たら幸せにしてあげられないじゃないか』
「え?なに、誰⁉︎」
『やっと、俺のものになるはずだったのに!』
「!!!」
スマホを投げ捨てた。
「さとる!
どうした⁉︎」
一志さんと侑士が駆け寄ってきて、抱きしめてくれたけど、顔色は最悪だった。
「な、んで?
あいつは捕まったよね?」
「どいつだ?」
侑士がスマホを拾った時にはもう、切れていた。
「怖い、よ」
やだよ、侑士が殺されるかと思ったり、一志さんと侑士以外に触られたりしたくない。
あれは終わった事じゃなかったの?
『伴』と確かに名前を呼ばれた。
あいつは?
あの時、あいつは?
『さとる』だった。
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