モテないゲイは、魔法使いを目指す!

ビーバー父さん

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店内に戻ると、何人かお客さんが入っていた。



「おう、時間かかったな
 先に爺さんの方は帰ったみたいだが、話しはついたのか?」 

「うん」

いつもする内緒話のお耳はむはむしながら、ビッチ扱いだったよって。
一志さんは、俺の腰を両手でしっかり抱き寄せて聞いてた。

「俺も!俺も!」

侑士までカウンターに入ってきて、ぎゅーってするしw
奥から出てきた、佐々とリーマン風は納得な顔だが、あたまの悪いウリ専君が、俺たちを見てビッチだと言った瞬間、佐々が胸ぐらをもって、引き摺り出した。

そうそう、そう言うのは外でね。

リーマン風が、皆さんに飲ませて下さいと札を数枚置いていった。

面倒臭い事になるから、いらないって返した。
後で飲みにきてね、って。

「うちの奥さん、怒らせたら怖いから、
 みんなもお行儀よくして下さいね」

侑士が店内でアナウンスしながらサービスのくるみのきなこチョコレート掛けを配っていた。

笑いが上がりながら、どこのカミさんも怖いもんだよ、って言う声があがってた。





ひと段落して、佐々が若頭?の兄貴を連れてリーマン風と入ってきた。

「先程はうちのバカが申し訳なかった。」

「はい、本当に」

遠慮しないよ!
当たり前じゃん、俺、謝られたから許すなんて思考は持ち合わせてないから。

「とりあえず、何飲みますか?」

「生ビールを3つで、お願いします。」

サーバーから、生をグラスに注いで出した。
客はもう、入れないつもりで看板の灯を落として、俺たちもそれぞれの飲み物を持ってテーブルに座った。

「侑士、すまなかった。
 嫁さんと、お兄さんにも迷惑をかけた。」

一応、謝罪はされても、根本的な解決ができないでは意味がない。

「俺だけならいいんですけど、お店や他のお客様が嫌な思いをするのは違うので、
 きちんとしていただけませんか?」

これは侑士がどうの、とか一志さんがどうのって話じゃない。
誘って断られるなんて、五万とあるだろうし、誰かのものだったなんて話はその辺の石ころより多く転がってるさ。
だからこそ、お店やお客さんが嫌な思いをするのは違う。



「ちなみに、俺たちは、こいつを甘やかすことが生きがいで、
 笑顔を曇らせないって約束をしてるから、
 それを壊すなら心行くまでボコるけど。
 いいよね?」

目が笑ってない侑士が口角を上げて見つめた。

「こいつが、うちはみんな可愛いんですよ。
 ぐずぐずに泣かせても可愛いんですけど、やっぱり笑ってくれるのが一番なんで」

一志さん!
ソレ意味違う!

「はっはっは!
 愛されてんな~
 ヨシオがどんなに頑張っても、無理だろ、コレ」

ん?
こいつ知ってたな?

「今の、聞き捨てならないんですが?
 知ってて放し飼いしてたってことですよね?」

「あ、いや
 まぁ、そうかな?」

「へぇ~」

一志さんと、侑士の声が重なった。

「いや、すまない!
 ちゃんと首輪つけて、散歩以外出さないし、リードもしっかり着けとくから」

「ウリ専君は踊らされてても、どこに沈めてきたの?」

佐々が、AVにって。
ゲイビのAVに沈めたってことはまぁ、もう無理だね。
顔だししちゃうだろうし、社会的に終わっちゃったか。

「営業妨害するってくらいだから、ちゃんと覚悟は持ってほしかったよね」

侑士的にはそうなんだろけど、俺は納得がいかない。

「直接動いたのはウリ専君だけど、一番の諸悪の根源はヨシオってやつだろ?
 うちの人にもちょっかいかけて、これ、到底俺は許せないんだけど。
 ウリ専君がそこまでされてるのに、ヨシオが無罪放免じゃ同じことの繰り返しだろ?
 どうなのかな?」

結構、怖い顔をして聞いたと思う。

「ふふふ、君、可愛いよね
 真っ白な長毛種の猫みたいだね。
 私も、気に入ったし、欲しくなったなぁ」

「ないから!」

3人で声を揃えちゃったよ。
しばらく平和だったのに、変態ホイホイが発動されたんだろうか?

「えー?
 候補に入れておいて?ね?
 ヨシオは私が責任持って沈めるし。
 ちょっともう、面倒だったんだよね、あいつ。
 実力ないくせに、上に立つ人間みたいな態度でさ」

お前が子供かよ!
佐々とかをしたがえてるんだから、やっぱり怖い筋の人なんだろう。
ちょっと狙われてる気がするのは、自意識過剰だろうか?
 
 

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