モテないゲイは、魔法使いを目指す!

ビーバー父さん

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純金のハート





思い出した。
全部、辛くて、辛くて、苦しくて泣きたいけど我慢して、我慢して、凄く痛かった。


泥水みたいな中を、一生懸命に歩いた。
かずしさんを護らなきゃ、あんな風に、馬鹿な嘘に負けるもんか。
だって、毎日一緒にいた。
眠る時も、起きてる時も、だから、絶対に無い。
でも、かずしさんから、違うよって聞きたいんだ。

「かずしさん」

「さとる!ここだ!
 分かるか?」

 手を握ってくれてた。
 探した手がここにあった。

無意識に涙が出て、俺の隣にいることにホッとした。
悲しい気持ちも、どこかに吹き飛んだよ。

「かずし、さんだぁ
 俺、凄く探したよー
 寂しくて悲しくて、辛かったよ。
 もう、迷子にならないで。」

そう言って、また、眠りに落ちてしまったらしい。



悪ノリさんは、警察に、あの人を渡した。

俺が最後に、絶対許さないって言ったんだって。
覚えてない、けど、許すはずないけどね!
あの場で、渡したかったから、話を盛ったのかも。

ちょうど閉店に向けてたし、あのまま、お店は終わりにしたんだって。

毎日、かずしさんが来てくれてるけど、あんまり酷い顔で、落ち込んだ。
捨てられちゃうよ。

「さとる、だいぶ腫れも引いたし、明日は包帯じゃなくなりそうだよ。
 肩も打撲だけだったから、折れてないし、リハビリだね。」

「足も、ギプス取れるよ!
 そしたらお風呂入る!
 ギプスの中、痒くてたまらなかったよ!」

「さとる、どんな姿でも、大好きだよ。」
「うん、俺も」

あいつは傷害致傷で立件された。
余罪が山ほどあって、当分どころか、出られなくなったらしい。

立派な犯罪者だったよ。
殺されなくて良かった。


 


母さんから、いつ帰るんだって、電話が凄い。
ありがとう、母さん。
かずしさんが、まずは挨拶してから入籍したいって言うから、一回2人して田舎に帰ることにした。

ただ、この傷は言われるな。
こっちでは、ニュースになっちゃったし。
誰も気づいてないといいけど。

やっと、退院して、かずしさんのマンションに帰ってきた。 

まだ、眼帯はしてるけど、腫れも青黒くなってたとこも、引いた。

時々、キスはする。

「さとる」

腕を掴まれて、抱きしめられて、キスを交わして、また、抱きしめ合う。

存在を確かめるみたいに。

本当は、今すぐにでも抱き合いたいけど。

「逃げられなくなるまで、我慢してるんだ。
 入籍したら、もう、絶対に抱き潰すから」

そう言って笑う。

あんなに、泣き崩れたかずしさんを俺は愛しいと思った。

足も、肩も痛むけど、心が痛むより、全然いい。

「かずしさん、俺、もう、逃げないよ?」

前は、いや、この間の事も、もしこんな怪我しなかったら、記憶を飛ばさなかったら、逃げてた。
逃げ一択だった。

「そうだよな。
 あんな啖呵斬れるんだし。
 カッコ良かったよ。」

「愛のおかげですー
 感謝して!w」

軽口も叩けるようになった。

明日は一度、田舎に帰って、母さんに2人揃って挨拶をするんだ。

あ、かずしさんのご両親て、どうなんだろ?
今更気づいたよ
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