35 / 62
フィナンシェと王妃そして……
しおりを挟む項垂れてる公爵はどうでもよくて、どうにか王弟と王妃を捕まえてこんなバカげたことを終わらせる事に専念したかった。
「そろそろ門に着くころでございましょう」
王弟が来たらまずは、公爵が僕に執着してる所を見せて、と思ったら先に僕がとどめを刺した様な状態でどこの俳優だよってくらい一人芝居に浸っていた。
可哀そうな自分、って役に。
「あのせめて、今回の作戦に協力はしてもらえませんか?
今約束してもらえないなら、敵だと思います」
「そうしたらローレンツォは幸せになれるのかい?」
「少なくとも、幸せになるための選択肢が出来ます」
「分かった。
協力する。
但し、事が全て片付いたら一度だけちゃんと話をしよう。
私が一方的過ぎた」
渡りに船って勢いで離婚をしたから納得しないのか、いや、離婚を言い出したのは公爵じゃないか。
「話し合いの結果は求めませんか?」
「求めないと誓う」
落としどころを見つけたとこでタイミングよく目的の二人が現れた。
「ギモーブ、こんなことも簡単に始末できないのか!」
「ですが、モンブラン公爵様が……」
「ザッハトルテ、そんなどこの馬かも分からん奴と結婚したくないと散々言っていたではないか!
今は国王陛下の体調も思わしくないのだから、ちゃんとした女を娶って子を成せ」
「そうですよ、王族が減ってしまう訳には行きません。
義務なのですから。
このままでは王太子だけになってしまうわ。
まだ結婚前ですし」
国王陛下が逃げて潜んでいるのをいいことに、体調が悪いと誤魔化していたのか。
「王弟殿下、両親が亡くなってから自分の家族が出来る事を考えなかったわけではありません。
ですが、何故両親が亡くなったのか、それを考えると易々と家族を増やすことも出来ません。
母上が貴方の姉だったのですから、分かって下さるはずではないですか?」
え、随分さっきと違う。
「妻や子がまた母上たちの様に毒殺されたり、事故を装って殺されでもしたら悲しみで死んでしまうかもしれません」
ご両親って殺されてたの?
早くに亡くなったって言うのは知っていたけど。
これってもしかしてバカを演じていた、とかって落ちではないかと疑うほど、先ほどまでのおかしい公爵では無かった。
「ザッハトルテ、だからこそだ。
姉上の忘れ形見であるお前が、家族も無く孤独に過ごす姿を見ていたくない。
だがそこの馬の骨はお前に執着し、将来持てるはずの家族の邪魔をしようとしてるではないか!
姉上はあんなに私達や家族を大事にして下さった方だ。
母親代わりと言っても過言ではない姉上の為にも」
王弟フィナンシェは自分に都合よく話を組み立てて、まるで僕が公爵と離れたくないように言っていた。
「王弟殿下、いえ、叔父上。
ならば何故、最初からマカロンのような平民上がりの新興貴族の子、しかも男のローレンツォを私に寄越したのですか!?
私の為? 違うだろ! 自分たちの欲望の為ではないか!
母上を毒殺し、次に父上を事故にみせかけて惨殺し、子供だった私なら御しやすいとでも思っていましたか?!」
僕の知ってるモンブラン公爵でも、ここにきてから見た勘助の公爵でもない、とても力強い意志を持った王族の血を引く公爵だった。
47
お気に入りに追加
1,412
あなたにおすすめの小説
俺にはラブラブな超絶イケメンのスパダリ彼氏がいるので、王道学園とやらに無理やり巻き込まないでくださいっ!!
しおりんごん
BL
俺の名前は 笹島 小太郎
高校2年生のちょっと激しめの甘党
顔は可もなく不可もなく、、、と思いたい
身長は170、、、行ってる、、、し
ウルセェ!本人が言ってるんだからほんとなんだよ!
そんな比較的どこにでもいそうな人柄の俺だが少し周りと違うことがあって、、、
それは、、、
俺には超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだ!!!
容姿端麗、文武両道
金髪碧眼(ロシアの血が多く入ってるかららしい)
一つ下の学年で、通ってる高校は違うけど、一週間に一度は放課後デートを欠かさないそんなスパダリ完璧彼氏!
名前を堂坂レオンくん!
俺はレオンが大好きだし、レオンも俺が大好きで
(自己肯定感が高すぎるって?
実は付き合いたての時に、なんで俺なんか、、、って1人で考えて喧嘩して
結局レオンからわからせという名のおしお、(re
、、、ま、まぁレオンからわかりやすすぎる愛情を一思いに受けてたらそりゃ自身も出るわなっていうこと!)
ちょうどこの春レオンが高校に上がって、それでも変わりないラブラブな生活を送っていたんだけど
なんとある日空から人が降って来て!
※ファンタジーでもなんでもなく、物理的に降って来たんだ
信じられるか?いや、信じろ
腐ってる姉さんたちが言うには、そいつはみんな大好き王道転校生!
、、、ってなんだ?
兎にも角にも、そいつが現れてから俺の高校がおかしくなってる?
いやなんだよ平凡巻き込まれ役って!
あーもう!そんな睨むな!牽制するな!
俺には超絶ラブラブな彼氏がいるからそっちのいざこざに巻き込まないでくださいっ!!!
※主人公は固定カプ、、、というか、初っ端から2人でイチャイチャしてるし、ずっと変わりません
※同姓同士の婚姻が認められている世界線での話です
※王道学園とはなんぞや?という人のために一応説明を載せていますが、私には文才が圧倒的に足りないのでわからないままでしたら、他の方の作品を参照していただきたいです🙇♀️
※シリアスは皆無です
終始ドタバタイチャイチャラブコメディでおとどけします
【完結済】ラスボスの使い魔に転生したので世界を守るため全力でペットセラピーしてみたら……【溺愛こじらせドS攻め】
綺沙きさき(きさきさき)
BL
【溺愛ヤンデレ魔術師】×【黒猫使い魔】のドS・執着・溺愛をこじらせた攻めの話
<あらすじ>
魔術師ギディオンの使い魔であるシリルは、知っている。
この世界が前世でプレイしたゲーム『グランド・マギ』であること、そしてギディオンが世界滅亡を望む最凶のラスボスで、その先にはバッドエンドしか待っていないことも……。
そんな未来を回避すべく、シリルはギディオンの心の闇を癒やすため、猫の姿を最大限に活用してペットセラピーを行う。
その甲斐あって、ギディオンの心の闇は癒やされ、バッドエンドは回避できたと思われたが、ある日、目を覚ますと人間の姿になっていて――!?
========================
*表紙イラスト…はやし燈様(@umknb7)
*表紙デザイン…睦月様(https://mutsuki-design.tumblr.com/)
*9月23日(月)J.GARDEN56にて頒布予定の『異世界転生×執着攻め小説集』に収録している作品です。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
処女姫Ωと帝の初夜
切羽未依
BL
αの皇子を産むため、男なのに姫として後宮に入れられたΩのぼく。
七年も経っても、未だに帝に番われず、未通(おとめ=処女)のままだった。
幼なじみでもある帝と仲は良かったが、Ωとして求められないことに、ぼくは不安と悲しみを抱えていた・・・
『紫式部~実は、歴史上の人物がΩだった件』の紫式部の就職先・藤原彰子も実はΩで、男の子だった!?というオメガバースな歴史ファンタジー。
歴史や古文が苦手でも、だいじょうぶ。ふりがな満載・カッコ書きの説明大量。
フツーの日本語で書いています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる