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しおりを挟む俄かには信じられない状況に伯父様は言葉を出せなかった。
「我らはラグ様を守護する者たちでございます。
以後お見知りおきを」
セバスチャンもアシッドも執務室へ集まって、僕のこれまでの事を淡々と話した。
ゲオルグが海外で婚姻したわけでは無い事、デビュタント前に婚姻と言う話を出したくないパパが無駄に遠ざけている事もちゃんと話してくれた。
それを聞いて伯父様は眉間に皺を寄せながら、うーんと唸りパパが悪いと言ってくれた。
「レイラント、父親としてもお前の気持ちも分かる。
アデレイドの子を手放したくないと言う気持ちも分かっている。
それにいうなれば、この侯爵家の血筋もラグしかいないのだから、私だって手放したくはない」
「兄上、ですが、よりによってあんな年上で……、余程私の方が歳が近いなんて。
もっと若くて素晴らしい人がいるはずです!
それにラグは侯爵家であればお嫁さんを貰える立場なんですよ?
可愛い孫が抱けるかもしれないのに!」
そこは言っちゃダメだよ、パパったら。
伯父様の立場がないじゃん。
僕だってゲオルグ以外の人なんて考えてすらいないのに。
「デビュタントを辺境伯令息として出るのか、このグリウス侯爵家から出るのかによっても立場が違って来るだろうし、私はどちらでも構わないよ?
後見人と言う立場にもなれるし、元々親族だからね。
何も問題はない」
「私が、言ってるのは」
「そうだ、お前の父親としての気持ちとラグに対する贖罪、そしてアデレイドに重ねた憐憫だ!
ここに生きてアデレイドがいたら、例え長男として生きて来たラグが、同性の伴侶を選んだとして反対すると思うか?
あの方は、誰よりもラグの幸せだけを望んでいた、そうだろ?
だから私達もその意向に沿う形で距離を置き続けたんだ」
僕が生まれる頃には、王弟の監視のせいでグリウス家とは距離を置いていたと聞いていた。
「兄上、……」
「お前も大概親バカだなぁ。
羨ましいよ、それ程までに愛せる子がいると言う事が、どれだけ幸せか。
自分と愛する人との間に生まれた子を、そばで見守る続けることがどれだけ贅沢な事か自覚しろよ」
伯父様は泣き笑いの様に、パパの方に手を置いた。
「マスター、私たちはマスターを生涯守ります」
「私も今まではこの姿を隠すようにして来ましたが、これからは大いに晒して脅威として植え付けてやります」
「そうだな、チビたちがいればそのオウテイと言う奴らが何をしようとしているか簡単に把握できるぞ」
「私はニーズヘッグではありませんが、人の世界の知恵を蓄えて戦いましょう」
「あたしは、千尋の為にどんな世界になろうと、どんな結果になろうと、そして男性妊娠だって出来るようにしちゃってもいいわよん!
最後はハッピーエンドで愛の巣よぉ~!!」
って、え?!
「マッチョなオネェ神様、いつ」
「「「「「 はぁ?!! 」」」」」
なんだかピンクが目に痛い。
志茂田〇樹か楳図か〇おかってくらい、激しい色だった。
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