モブですけど!

ビーバー父さん

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 結局、お婆様からの特訓は女性のマナーがメインで、その余暇で男性としてのマナーになった。
 余暇ってなんだよ! 余暇ってさ!
 休憩中は男性でいて良いわよって事らしい。

「お爺様、僕に男性のマナーを教えて下さい!」

「お、おう、そうだな、ラグは十分男のらしいから大丈夫だ」

 なんだよ、それ!
 お婆様からのツッコミが怖くて日和ってるな!

「パパぁ、女の子にはなりたくないよー」

「パパもラグが男の子だってちゃんと知ってるし、デビュタントだから着飾らせてあげたいよ?
 だけど男の子はね、軍服みたいなのしか無いじゃない?
 そうなると、綺麗なラグと言うより小綺麗な男の子で終わっちゃうのが、いやだなぁ、なんて」

「デビュタントで、ゲオルグも来るし、だから」

「あー、忘れてた。
 そう言えばそんな人いたねぇ」

 伯父様の執務室で、ダラダラとソファに寝転がって本を読むパパにゲオルグの話はNGだったようだ。

「ん? ゲオルグって、ゲオルグ教官?
 カスターノ伯爵家のゲオルグ・カスターノ? 随分レアな名前が出て来たなぁ」

 伯父様はびっくりしたように聞いてきた。

「確か彼って、家門を継ぐの継がないので、外国で結婚したとかって話無かった?
 今回のデビュタントで伴侶でも見つけるのかね?」

 当たり前の疑問を口にした。

「さぁね」

 不機嫌そうにパパが答えると、伯父様はなんあだ?って顔をして突っ込んで聞いてきた。

「ラグはゲオルグ教官を知ってるのかい?」

「はい、僕の婚約者」
「違う!! 私は認めてない!」

「認めてくれたじゃん!」
「あの時とは状況が違う!」

「違わないよ、僕は相変わらず蒼月のままだよ、パパ。
 どこに行っても、世界樹が無くなっても、神様に使命を持たされていつ魔王化するか分からないゲオルグを、この世界を救うために生かされてる蒼月だよ」

 初めて、パパに自分の立っている役割を口に出して言った。
 ゲオルグが魔王化するとか、そんな話はして来なかったと思う。
 でも世界樹が無くなった事で目覚めたドラゴンまでが、僕のは以下に入ってる事が事実だと告げていた。

「おい、待て、待ってくれ!
 ラグが蒼月だと? レイラントは知っていたのか?」

「大地が変動して世界が壊れそうになった時、ラグが世界の犠牲になるところだった」

「僕が世界樹を滅ぼして、世界のシステムを作り変えた。
 ドラゴン達が世界の始まりのシステムになるように。
 アースドラゴンに、大地を再構築させて本来ならニーズヘッグになるはずだった知恵のドラゴンを配下にした。
 まだ、他にいるドラゴンが僕を目指してくるだろうって言われてる」

 信じられないと言う伯父様に紹介するよ、と言って、緑頭やミワ、エリやアモを呼んだ。

「マスター、泣かないでください」
「ラグ様、私が戦います」
「甘いものでお前を誰からも見つけられない所へ、隠してやろう」
「魔王化するしないの計算も、防ぐ方法も調べてるから」
 
 そう言いながら、僕をパパや伯父様から隠すように立ち、アモが冷静にパパへと苦言を呈した。

「旦那様、父親として他の男に渡すのが嫌でも、引き際があります。
 これ以上はラグ様から嫌われてしまいますよ?」

 この中で一番、僕たち人間寄りで知識も思慮もあるのはアモだった。





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