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船ではセバスチャンが物凄い形相で待ち構えていた。
毒を仕込まれても無事だったのは、今もセバスチャンの魔法が齎らす恩恵だからだ。
多分、闇魔法が今も変わらず発動し続けていて、反動を受け苦しい思いをしたのはセバスチャンだけなんだ。
「セバス、ごめんね」
「ラグ様、ご無事で……!」
怒りと言うより心配でセバスチャンの顔色は青ざめていた。
「ラグ様、生きた心地がしませんでした!
貴方は何をやってるんですか!!! 私が! 私達がどれ程心配したと思ってるんですか!!!」
叫びにもにた怒号を浴びせられた。
当たり前だ。
だって、僕を未だに守る闇魔法が発動し続けてるのを知ったから。
セバスチャンの手は冷たく震えていた。
それだけでも分かることだけど、一人で誰にも言わずに闇魔法の反動に耐えていたなんて……。
「セバス、僕を守ってくれていたんだね。
ごめん、ごめん、なさい……」
ぎゅっと痛いほど抱きしめられて、思わず出た涙に改めてセバスチャンの大切さを実感した。
「ラグ様、貴方は私を置いて逝く気ですか!!
あれだけの毒を受けて……!」
状況が分かっているようで分かっていないエリやアモが、声を荒げたセバスチャンにビクビクしていた。
「セバス、落ち着きなさい。
ラグは無事だった、それもセバスの保護魔法のお陰でだ」
セバスチャンのこれまでの事が一番分かるパパが、宥めるようにそして感謝を伝えるように静かなトーンで話し始めた。
セバスチャンは僕をその腕から少し離して、パパの方を見た。
子供の頃の話は大体セバスチャンから聞いていたし、パパと和解してからはお母様を殺された事や、従兄弟である兄上たちの非道な行いも聞かされていた。
僕に何度となく毒を盛ったり、危害を加えようとしていたのは、王弟とその息子たちだろうと言う事も。
「当時は口外することも、捜査をする事も出来ない状況で、妻を亡くした事を病死としてしか扱えなかった。
目の前に愛しい者を殺害した相手であろう輩にも、仮面を作って耐えるしかなかった。
セバスがラグの従者として、護衛としてさらにロッシ家の当主として動いてくれていなければ、今この場にラグはいなかったかもしれない」
船長たちはその当時を知っているのか、お母様の死にゆく姿を思い出したらしく、壁に向かってその拳を叩きつけていた。
僕だけがお母様の記憶も殆どない子供で、その感情の波に取り残されていた。
ただ分かるのは、お母様は殺されたのだと言う事、そして僕も死と隣り合わせに生きていた事に気づかされた。
「ラグに家族として楽しい記憶は殆ど無いだろう。
その分、セバスチャンが」
「違うよ! セバスだって大事な家族だけど、パパがその時どれだけ苦しんできたか理解してるつもりだよ!」
「旦那様、私はラグ様をこの身でお守りできたことを感謝しています。
アデレイド様が卑劣な輩によってその命を落とした時に誓いました。
必ずラグ様をお守りすると」
ゆっくりと僕を見つめながらセバスチャンは微笑んで、物凄く痛いデコピンをかまして「お仕置きです」と言った。
「っだーー!!!!」
デコから火が出たんじゃないかって思うくらい痛かった! マジで!
いや、僕が悪いからそれも分かるけどさ!
ほんっと、マジで首が後ろにガクンってなるくらい、すっごい衝撃だったんだって!
「いくら伴侶候補のゲオルグ殿でも、治癒してはなりませんよ?
これは家族としてのお約束ですから」
セバスチャンはゲオルグを牽制するように、殊更家族と言う単語を強調させて手出しを許さなかった。
ぐっと唸ったゲオルグを横目で笑って「次は何発になるか覚悟を持っておいてくださいね」と笑って言った。
怖い、マジで痛い。
デコ凹んだ、絶対陥没してるって!
デコをさする僕をみんなが笑い、船長はドアイス国へと面舵を切って母国を目指した。
諸国までいかない漫遊記は一旦お預けになったとさ。
毒を仕込まれても無事だったのは、今もセバスチャンの魔法が齎らす恩恵だからだ。
多分、闇魔法が今も変わらず発動し続けていて、反動を受け苦しい思いをしたのはセバスチャンだけなんだ。
「セバス、ごめんね」
「ラグ様、ご無事で……!」
怒りと言うより心配でセバスチャンの顔色は青ざめていた。
「ラグ様、生きた心地がしませんでした!
貴方は何をやってるんですか!!! 私が! 私達がどれ程心配したと思ってるんですか!!!」
叫びにもにた怒号を浴びせられた。
当たり前だ。
だって、僕を未だに守る闇魔法が発動し続けてるのを知ったから。
セバスチャンの手は冷たく震えていた。
それだけでも分かることだけど、一人で誰にも言わずに闇魔法の反動に耐えていたなんて……。
「セバス、僕を守ってくれていたんだね。
ごめん、ごめん、なさい……」
ぎゅっと痛いほど抱きしめられて、思わず出た涙に改めてセバスチャンの大切さを実感した。
「ラグ様、貴方は私を置いて逝く気ですか!!
あれだけの毒を受けて……!」
状況が分かっているようで分かっていないエリやアモが、声を荒げたセバスチャンにビクビクしていた。
「セバス、落ち着きなさい。
ラグは無事だった、それもセバスの保護魔法のお陰でだ」
セバスチャンのこれまでの事が一番分かるパパが、宥めるようにそして感謝を伝えるように静かなトーンで話し始めた。
セバスチャンは僕をその腕から少し離して、パパの方を見た。
子供の頃の話は大体セバスチャンから聞いていたし、パパと和解してからはお母様を殺された事や、従兄弟である兄上たちの非道な行いも聞かされていた。
僕に何度となく毒を盛ったり、危害を加えようとしていたのは、王弟とその息子たちだろうと言う事も。
「当時は口外することも、捜査をする事も出来ない状況で、妻を亡くした事を病死としてしか扱えなかった。
目の前に愛しい者を殺害した相手であろう輩にも、仮面を作って耐えるしかなかった。
セバスがラグの従者として、護衛としてさらにロッシ家の当主として動いてくれていなければ、今この場にラグはいなかったかもしれない」
船長たちはその当時を知っているのか、お母様の死にゆく姿を思い出したらしく、壁に向かってその拳を叩きつけていた。
僕だけがお母様の記憶も殆どない子供で、その感情の波に取り残されていた。
ただ分かるのは、お母様は殺されたのだと言う事、そして僕も死と隣り合わせに生きていた事に気づかされた。
「ラグに家族として楽しい記憶は殆ど無いだろう。
その分、セバスチャンが」
「違うよ! セバスだって大事な家族だけど、パパがその時どれだけ苦しんできたか理解してるつもりだよ!」
「旦那様、私はラグ様をこの身でお守りできたことを感謝しています。
アデレイド様が卑劣な輩によってその命を落とした時に誓いました。
必ずラグ様をお守りすると」
ゆっくりと僕を見つめながらセバスチャンは微笑んで、物凄く痛いデコピンをかまして「お仕置きです」と言った。
「っだーー!!!!」
デコから火が出たんじゃないかって思うくらい痛かった! マジで!
いや、僕が悪いからそれも分かるけどさ!
ほんっと、マジで首が後ろにガクンってなるくらい、すっごい衝撃だったんだって!
「いくら伴侶候補のゲオルグ殿でも、治癒してはなりませんよ?
これは家族としてのお約束ですから」
セバスチャンはゲオルグを牽制するように、殊更家族と言う単語を強調させて手出しを許さなかった。
ぐっと唸ったゲオルグを横目で笑って「次は何発になるか覚悟を持っておいてくださいね」と笑って言った。
怖い、マジで痛い。
デコ凹んだ、絶対陥没してるって!
デコをさする僕をみんなが笑い、船長はドアイス国へと面舵を切って母国を目指した。
諸国までいかない漫遊記は一旦お預けになったとさ。
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