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しおりを挟む「なぁ、あれ止めなくていいのかよ?」
ヒューゴがさすがにこれから起こるであろう、惨劇を想像して止めることを提案してきた。
「多分、あの部屋に入ると私たちも幻覚作用を受けることになるな」
「パパ、幻覚作用もある媚薬、ってこと?」
「そうだ、特に慕ってる相手だと思い込ませる」
だからサリエルはゲオルグだと信じて疑わないし、アレから受ける精液を愛しんでいるんだろう。
「僕は残酷かもしれないけど、彼には相応の罰を受けてもらいたいと思ってる。
それにミッドの事も含めて彼に獣神紋が現れるような事が二度と出来ないようにする」
なんかさ、パパを苦しめて、母上を死に追いやって、僕を虐めぬいた従兄の父親、つまりドアイスの王弟殿下を連想してしまって、すごく許せなった。
立場は逆だけど、無理やり子供を孕ませてその子たちを妹に押し付けて、僕しか子を持てなかったパパの気持ちを考えると許せなったんだ。
引き合いにも出せない事だって分かってるけど、あの身勝手さに反吐が出そうだった。
「そうだな、後継者問題はどこにでもあるが、ラグの婚約者に手を出そうとは、万死に値する」
「最初からゲオルグの旦那狙いだったのは分かってたけど、反省しなかったんだねぇ」
ヒューゴが呆れた様に言ったが、どこか面白がってる節があった。
「ただ、これをずっと見ておくのは僕も、ねぇ?」
「あぁ、パパも気持ち悪い」
ちびっ子が映しだしてる映像はそれなりに事が順調に進んでいた。
「こういうプレイを好む奴ならまだしも、俺は正常な快感しか求めないんで、大分無理ですよ」
ヒューゴの表情は眉間に皺を寄せて、更には吐き気まで催してる様だった。
「うん、そうだね。
一応、挿入してもらって、そこからしばらくしたら突入しよっか」
仕方なく、突入の算段を考えた。
「ミッド殿の弟君ですか?」
アシッドは躊躇いなく、黒い獣に向かって歩き出した。
「おい、どういう事だ?」
「ラグ様の命でミッド殿の弟君を救出しに来ました。
ゲオルグ先生が勝手に動き回るから、色々と台無しです」
アシッドの計画では、地脈で地下牢のある最下層へ行き、侵入を悟れることなくきゅいう出した後、ミッドに対する交渉手段としてラグに渡すつもりだったのだ。
ところが、ゲオルグが床を破壊してここまで来てしまったために、侵入がバレて結局兵士たちを殺したりしたものだから、当然王やその側近、果てはサリエルにも伝令が走った事だろうとアシッドは予想していた。
「王は病床にいる事ですし、実質的な指示は出来ないでしょうが、サリエルは違いますよね。
このような醜悪な事をする御人ですから、すぐさま対策を立てるでしょうし。
ところで、あのサリエルとのセックスはどうしたんですか?]
ふと冷静になったアシッドが、あれ?と言う表情をした。
「あぁ、人形に相手をさせている。
お前たちも見てたのか」
笑い声をあげて、ゲオルグが人形に仕掛けをしたと言うと、アシッドが人形にしてはよく出来ていた事を称賛した。
「さて、おチビさん、ミッド殿所に行く前に、このおじちゃんにその体を治してもらおうね」
「おじちゃん?」
黒い獣は猫と言うには大分大きい豹の子供だった。
心のどこかで、やらないで欲しいと思っていた。
「あーぁ、やっちゃったな」
「あんな風になっても分からないって、ゲオルグの魔法って怖いね」
「ラグも騙されてないよね?」
え? なんで、こっちに来るわけ?
「ちゃんと、本物だったよ」
なんで親に自分の性事情を暴露しないといけないんだ?
「きっと幻想だったんだよ、じゃないきゃ」
「はいストーップ!!
旦那様、そういう希望を持ちたいのは分かりますけど、それはまた別な時にしてくださいよ。
さぁ、行こうぜ、ラグ!」
ヒューゴの合図で、彼らの部屋に突入した。
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