モブですけど!

ビーバー父さん

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 え? ナニナニ?
 ヒューゴ、モテモテ?

「明日は、ヒューゴも参加だね。
 ちゃんとした貴族なんだし、参加資格はあるよね? パパ」

「そうだね、そうすると護衛が足りないかな?」

「あ、僕が護衛するよ!
 ね? ミワもいるし、なんならエリかアモを連れてきてもいいし」

 パパも僕の意図を汲み取ってくれたらしく、ヒューゴの貴族として清掃した姿を女騎士に見せようとしてくれた。

「王太子殿下に、明日は護衛にフェンリルに似た獣と共に護衛を連れて行くと伝えておいてください。
 昼餐会ですし、できれば屋外でお願いいたします、と」

 無礼かもしれないけど、パパは屋内ではなく屋外でしかも獣を連れて行くと宣言してくれた。
 僕にとってミワは獣じゃなくて家族なんだけどね。

「では、主にお伝えしておきます。
 この度の事もございますし、決して否はありえないでしょう」

 女騎士はやはり、耳をピンとして答えてくれた。

「ありがとうございます。
 さぁ、帰ろうか」

 地脈に皆が次々に入って最後に僕が入り、地脈を扱う練習ついでにエリが教えてくれた地脈を閉じようとした時に、サリエルが戻ってきて僕の腕を掴んだ。

「待ってください!!」

「うあ!!」

 閉じながらだったから、掴まれた反動もあって後ろ側つまりサリエルの方へ、バランスを崩して転がった。
 半分近く閉じていたのに、それを乗り越えて僕はサリエルの胸に捕まえられるようにしたまま、地脈が閉じるのを見送った。

「なっ!!」

「ふふ、良かった」

 サリエルがさっき迄見せていた人の好さそうな顔とは裏腹に、高貴な雰囲気を崩して顔の半分に豹紋があった下卑た笑いを浮かべたあの男と似通った笑いを浮かべていた。

 そして、地脈はその姿を消した。






「おい、ラグはどうした?」

 ヒューゴの言葉に、地脈を覗きこみラグがたどり着いていない事に全員が気付いた。

「最後にラグ様が地脈を閉じるために、後ろにいた記憶がありますが……」

 ミワが鼻をヒクつかせて、匂いが続いてないことを告げた。
 瞬間、騒然となりアシッドが黒いオーラを垂れ流して、怒りと共に暴走しそうになっていた。

「どういう事だ?
 エリ、お前が地脈を作り、最後に何故ラグ様が閉じなければいけない?」

「アシッド様、エリは」
「お前に聞いてない。
 答えろ、エリ!」

 アモが、状況を考えて説明をしようとしても、アシッドはその言葉を聞くつもりは無さそうだった。

「あ、の、マスターも地脈を扱えるとお教えして、それを使う練習として最後に閉じるために残られてました」

「それで?」

 顔を伏せて、視線を合わせないようにしながら、エリはその後が分からないと告げた。

「マスターが、地脈に迷い込んだのなら、私が把握できますが……。
 多分、いえ、間違いなくこの地脈には居られません」

「では、どういう事だ?」

「考えられることは」

 エリが獣人国のどこかに囚われている可能性を口にしようとした時、船の甲板が騒がしくなり船室の方へと駆け込んで来る数人の足音が聞こえた。

「入ります!!
 アシッド様! 獣人の騎士がこちらの書状を!」

 アシッドへその手紙を渡したのは、他ならない船長だった。

「これを?」

 乱暴者とも言えそうな船長が、アシッドたちには礼儀をもって話すその訳は、この船事態ロッシの持ち物で船員に至るまですべてがロッシの配下だったからだった。

「くそ! ふざけるな、獣の分際で!」

 アシッドが読み終わるとセバスチャンがそれを受け取って、皆に伝えた。

「こちらが捕まえている連中を解放しろ、と言ってますね」

「把握済みだったか」

 尋問していたユリアスが入ってきた。

「記憶をトレースして来ましたけど、こいつらの中にあるのは、金を受け取って逃げることだけでした」

 監視についていた獣人は国のためだのと言った事しか出てこなかった。

「一体この国で何が起こってるんだ?
 とにかく、今はラグの安否を確認しなくては!」

「ラグ様は意外に抜けていらっしゃいますから……」

「相手は獣人で神や世界などと言ったものが相手では無いが、可愛いわが子の心配をしない親はいない」

「そうですね、旦那様に限っては溺愛、もしくは盲愛と言う表現が正しいかと」

 セバスチャンとレイラント・デ・ドアイス辺境伯のやり取りは先ほどまでの緊張感が消え、相手が獣人だと言う事にホッとしていた。

 殴れば痛がる獣人だもの、と。

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