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「ラグ、その、」
「いいよ、大体分かった気がするから。
ははは、またフラれちゃったなぁ」
パパの言葉を遮ったけど、セバスチャンがあらましを教えてくれた。
「ラグ様、ゲオルグ先輩は……」
セバスチャンが苦渋の表情をして伝えて来たのは、結婚したという事だった。
僕が世界樹に捕らわれてる間に、家門の事情と自然災害で彼は女性と結婚することになったそうだ。
「ゲオルグ先生が自分を犠牲にして結婚という手段を取ったという事ですが、私はただの逃げだと思いましたよ。
ラグ様が嫁ぐ相手では無かった、それだけでございます」
アシッドの言葉は正確に僕の心を貫いた。
「僕は、あの時……ゲオル、グにお別れをしたん、だから……
結婚するのは、何にも問題、ないよ、大丈夫。
本当はすぐにでもジョーハン国とかアイーラ国へ行きたいけど、今は違う国に行きたい」
気持ち的にはゲオルグの顔を見るのが辛いからだ。
「ガーム国へ行ってみるか? ラグ」
「パパ、ガームはまだ行けない。
ゲオルグのお嫁さんの実家があるところでしょ?
だったら、誰も知らない国に行きたい」
「なら、今度は西部び向かうのはどうだ?
ラグの好きそうな食材もあるんじゃないか?」
ヒューゴは面白そうに提案して、西部の国、ミスライム国へ行くことにした。
「そうと決まれば、明日は早く出ましょう、ラグ様、そろそろお休みください」
アシッドがそっと僕の隣に立って、僕を寝室へと案内した。
確かに、色々あり過ぎて体は泥の様に眠かった。
あ、この感覚、神様が来てる時のだ……。
寝てる夢に出て来るから、結構疲れるんだよな。
「千尋、世界樹をやっつけてくれて、ありがとうね」
やっぱり。
「神様、あいつは魔樹だったんですね。
それに、騙されていたんでしょ?」
「それに気づいたのは、体ごと取り込まれて精神体になった時にこの世界の理のようなものが流れ込んで来たの。
溶け込んだからって言うのかしら?
でも、神様って言われてもなんでもできる訳じゃないの。
自分の望むことは出来なかったの。
特に今ある命なんかの生態系に影響する事は出来なかった。
だから、千尋をこちらへ連れて来たの。
第二の私を作るために……。
千尋を利用したのよ。
恋人に裏切られて、心が傷ついてる貴方を、利用したの!!
ごめんなさい! 謝って済む話じゃないけど、どうしてもあの世界樹を滅ぼしてしまいたかったの!」
切実な思いだったんだろう。
「神様、僕ね、涼を恨んできっと幸せにはなれなかったと思うんだ。
だからこの世界に来れて、ちょっと今はフラれちゃったけど、新しい恋人と巡り会って一生愛し合って同じお墓に入るって夢を持てたんだよ。
それに、凄いスキルを授けて貰ったしね。
大事な家族も沢山出来た。
アースドラゴン迄僕の所に来るとは思ってなかったけどね」
「私も知らなかった。
ドラゴン族が魔物を狩るための存在だったなんて。
だから世界樹が魔力を取り込めば、目覚めるようなシステムだったのね」
「どういう事?」
「世界樹が魔力を取り込むと、その力が強くなるのは当たり前なんだけど、ドラゴン族が目覚めて世界樹の力を削ぐのよ」
「アースドラゴンが目覚めて、この世界の均衡を取り戻したって感じ?」
「そうみたいね。
他のドラゴン族も目覚めてるから、きっと千尋の所へ来るわね」
「それは、遠慮したいな」
「蒼月だもの、それは無理ね」
この地殻変動や天変地異の影響がどこまで出てるのか分からないけど。
「蒼月って、もう終わったんじゃないの?」
「最初のボスを倒したって感じかしら?
私は負けちゃってその先のボス戦に行けなったけど、千尋はまだまだこれからよ。
もう、あんまり会う事も出来なくなるけど、ちゃんと見守ってるわ」
「え? どうして!!」
「千尋が必要としたらちゃんと助けに行くから」
泣き笑いのような表情が、段々と消えて行って僕は目覚めた。
「神様……、聞きそびれちゃったよ、なんでマッチョなオネェなのか」
「いいよ、大体分かった気がするから。
ははは、またフラれちゃったなぁ」
パパの言葉を遮ったけど、セバスチャンがあらましを教えてくれた。
「ラグ様、ゲオルグ先輩は……」
セバスチャンが苦渋の表情をして伝えて来たのは、結婚したという事だった。
僕が世界樹に捕らわれてる間に、家門の事情と自然災害で彼は女性と結婚することになったそうだ。
「ゲオルグ先生が自分を犠牲にして結婚という手段を取ったという事ですが、私はただの逃げだと思いましたよ。
ラグ様が嫁ぐ相手では無かった、それだけでございます」
アシッドの言葉は正確に僕の心を貫いた。
「僕は、あの時……ゲオル、グにお別れをしたん、だから……
結婚するのは、何にも問題、ないよ、大丈夫。
本当はすぐにでもジョーハン国とかアイーラ国へ行きたいけど、今は違う国に行きたい」
気持ち的にはゲオルグの顔を見るのが辛いからだ。
「ガーム国へ行ってみるか? ラグ」
「パパ、ガームはまだ行けない。
ゲオルグのお嫁さんの実家があるところでしょ?
だったら、誰も知らない国に行きたい」
「なら、今度は西部び向かうのはどうだ?
ラグの好きそうな食材もあるんじゃないか?」
ヒューゴは面白そうに提案して、西部の国、ミスライム国へ行くことにした。
「そうと決まれば、明日は早く出ましょう、ラグ様、そろそろお休みください」
アシッドがそっと僕の隣に立って、僕を寝室へと案内した。
確かに、色々あり過ぎて体は泥の様に眠かった。
あ、この感覚、神様が来てる時のだ……。
寝てる夢に出て来るから、結構疲れるんだよな。
「千尋、世界樹をやっつけてくれて、ありがとうね」
やっぱり。
「神様、あいつは魔樹だったんですね。
それに、騙されていたんでしょ?」
「それに気づいたのは、体ごと取り込まれて精神体になった時にこの世界の理のようなものが流れ込んで来たの。
溶け込んだからって言うのかしら?
でも、神様って言われてもなんでもできる訳じゃないの。
自分の望むことは出来なかったの。
特に今ある命なんかの生態系に影響する事は出来なかった。
だから、千尋をこちらへ連れて来たの。
第二の私を作るために……。
千尋を利用したのよ。
恋人に裏切られて、心が傷ついてる貴方を、利用したの!!
ごめんなさい! 謝って済む話じゃないけど、どうしてもあの世界樹を滅ぼしてしまいたかったの!」
切実な思いだったんだろう。
「神様、僕ね、涼を恨んできっと幸せにはなれなかったと思うんだ。
だからこの世界に来れて、ちょっと今はフラれちゃったけど、新しい恋人と巡り会って一生愛し合って同じお墓に入るって夢を持てたんだよ。
それに、凄いスキルを授けて貰ったしね。
大事な家族も沢山出来た。
アースドラゴン迄僕の所に来るとは思ってなかったけどね」
「私も知らなかった。
ドラゴン族が魔物を狩るための存在だったなんて。
だから世界樹が魔力を取り込めば、目覚めるようなシステムだったのね」
「どういう事?」
「世界樹が魔力を取り込むと、その力が強くなるのは当たり前なんだけど、ドラゴン族が目覚めて世界樹の力を削ぐのよ」
「アースドラゴンが目覚めて、この世界の均衡を取り戻したって感じ?」
「そうみたいね。
他のドラゴン族も目覚めてるから、きっと千尋の所へ来るわね」
「それは、遠慮したいな」
「蒼月だもの、それは無理ね」
この地殻変動や天変地異の影響がどこまで出てるのか分からないけど。
「蒼月って、もう終わったんじゃないの?」
「最初のボスを倒したって感じかしら?
私は負けちゃってその先のボス戦に行けなったけど、千尋はまだまだこれからよ。
もう、あんまり会う事も出来なくなるけど、ちゃんと見守ってるわ」
「え? どうして!!」
「千尋が必要としたらちゃんと助けに行くから」
泣き笑いのような表情が、段々と消えて行って僕は目覚めた。
「神様……、聞きそびれちゃったよ、なんでマッチョなオネェなのか」
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