142 / 218
141
しおりを挟むユリウスもきっと気付いてないと思いながら、トレースして貰い世界樹が枯れた事、そして魔樹であった事を知らしめた。
「ラグ、本来ならアースドラゴンが大地を守護する者だっだという事なのか?」
「うんパパ、多分だけど。
僕の、いや過去の蒼月が持つ魔力はこの世界とは質が違うらしいから、それを吸収した事で世界樹として確立しちゃったんじゃないかな?
神様がその蒼月だったみたいだし。」
世界樹に騙されて、魔力を与えてその体が亡くなっても、ありあまるる変質した力が神へと昇華させたんだろうけど、なんでそんな事になっちゃったかなーー。
「神が蒼月?」
「凄く優しい神様だよ。
インパクトは凄いけど」
ふふっと笑ったら、周りが会ったことがあるのか? とちょっとだけ騒ついた。
「ラグを救ってくれた神様か?」
「はい、僕をこの世界へ生まれさせてくれた、神様です。
原初の魔力を持つ方だと思います」
「そこまでの力なら、世界樹も駆逐できたのでは無いか?」
それは多分、あの中で肉体は取り込まれてしまったから、抗うことができなかったんじゃ無いだろうか?
あの温泉にあった像とは違いすぎる風貌が、その答えを持っている気がした。
あの時の寂し気な神様の表情を見て、若い頃はって言っていた事情が知りたいと思った。
「マスター、神は世界樹より後に存在した、と言う事でしょうか?」
エリの疑問も尤もで、僕も色々考えたけど多分この世界の主軸をゲームの蒼月の瞳になるように、取り込んだんだと思う。
蒼月の瞳のゲーム設定を取り込んだって確かに言っていたし。
似たような世界観いや、似たような世界観の塵みたいなものを神様が見つけたんだ。
それがゲームだった、それだけだ。
「世界樹とドラゴン、そして人、そんな世界だったんだろうね。
それぞれが神様で、それぞれがこの世界の住人っていう区別が無かったんじゃないかな?
でも、僕の知ってる神様はエリの言う通り、後から生まれた神様だよ。
だから、万能じゃないんだと思う」
ユリウスがトレースした物を皆んなで見て情報を共有して、これから地下都市が色んな国に増えるだろうと言う話になった。
早く他の国の様子も見たいけど、自分の国の状況が知りたかった。
だって、ゲオルグがいるから。
ユリウスやヒューゴの国だって大変だろうし、アースドラゴンが大地を守護しているから陥没や旱魃なんかは今のところ大丈夫だろうけど、どの国でも世界樹信仰が強かったから、そっちの影響が気になった。
「これが世界樹とは、まるで魔物ではないか!!」
「世界樹は最初の魔樹」
アースドラゴンの抑揚のない声が響く。
「原初は僕らが信じる神と同等の存在だったんだろうけど、魔樹としての魔力が勝っていたんだと、今なら思える。
実際に十五年前は精霊王と聖獣をうみだせたんだから」
「ラグ様、我らを疎みはしないのですか?」
ミワが心細げに僕を見上げるから、安心するように笑うとミワの目からは涙が溢れていた。
「ミワ達が邪魔とか、嫌だとかまして恨みなんか全くないよ。
この世界は、僕にとって大事な世界だし、愛してる皆んながいる世界だもん。
ミワも緑頭も、エリも愛してるよ」
エリはまだ分からないけど、ここで省いたら泣いて荒れそうだしね。
「ラグ様、準備は整いました。
いつでも出立出来ます」
アシッドが現れて、この国を出る準備が出来た事を確認すると、パパ達が明日の早朝にここを引き払うことを決めた。
そういや、リカルドってどうしたんだろ?
痛む膝をかかえてるはずだけど……。
夜は僕が戻ったお祝いとかで、結局飲みになって、空間魔法で収納していた食材でツマミを作って振る舞う事になった。
魚がまだあったから、ただの香草焼きじゃなくて、大きくて分厚い葉っぱで巻いて、中にキノコなんかも入れたりして、ホイル焼きみたいにした白身魚を出したり、緑頭が好きなナッツのカラメルがけをだしたり、イカの塩辛に刺身、唐揚げにカレーと明日からの道中で食べられるようにおにぎりも大量に作った。
また、こんな日常が始められると思うと、嬉しいけど分かち合う人がいなかった。
「半年以上経ってるんだろうけど、ゲオルグはやっぱり戻ってないんだね」
ポツリと、思わず口に出してしまったら、周りが固まった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,323
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる