モブですけど!

ビーバー父さん

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 "虫"って妖精だってわかってるけど、このキーワードはねぇ。

「虫ってやめない? せめてちびっ子とかさ」

「別に名前がある訳じゃないから、チビでもいいが」

「うん、じゃそれで。
 アグナのとこのちびっ子可愛いじゃん、だから虫はね」

「ラグが気に入ったなら私も嬉しい」

 おー、緑頭も気にしてたんか、すまないなぁ。

 二人のちびっ子を呼ぶと、それぞれに飛んで行った。
 うん、まるっきり飛んでる姿はねぇ。


<ラグさま、繋ますね>

 お、口調が。

「お願い」

 ちびっ子にも個体差があるんだな。
 パパの方を僕が聞いて、ゲオルグの方を緑頭とセバスチャンに任せた。
 聞いててムカつくから! 




『バインリフト殿、王弟は今どちらに?
 一向に裁判が進んでいないようだが』

『国王が審議にずっと拘っておりまして、さすがに城内からも不満の声が上がっております』

『国王が絡むとは、貴殿らには難しいな。
 私が出張ると国際問題になるしな』

 国王の最初の印象から大分違っていた。
 どちらかと言うと、おどおどした感じでこんなに利己主義には見えなかった。

 ゲオルグの方は正直聞きたくはないけど、気になって仕方なかった。

『ですが、此度、テリアナ公爵殿は我らの意見も今までの事もきちんと謝罪して下さいました。
 ですから、彼のお力を借りるのも有りだと思っています』

 それは僕も同意する。
 長年の愛を裏切られて許せる程、ゲイの愛は軽くないんだ!
 
『ふむ、ではセバスに使いに行って参りましょう。
 こうなれば、彼が居ないと始まらないようですし』

 パパはセバスチャンを呼んで公爵家に行かせた。
 そこでしばらく時間が掛かるだろうと、お茶のおかわりと、チーズケーキを持って行った。

「お茶のおかわりと、お菓子をお持ちしました」

 二人が話し合ってるテーブルに並べた。

「これは?」

「手揉みのお茶とこの国の特産であるチーズを使ったケーキです。」

「特産品を使ってくれたのか」

「休憩しよう、ラグ、私にも大きいのをくれないか」

 パパ! 子供か!
 はいはい、大きいのあげますから!
 
「手揉みのお茶とは?」

「はい、茶葉を発酵させて作った紅茶です。
 こちらでは、ハーブをお茶として飲まれていますが、茶葉を使うと味わいがぜんぜん違いますから、飲んでみてください」

「ほう、茶葉と言うのがあるのだな?」

「はい」

 緑頭に頼んで、新芽を収穫してもらったんだけどね!
 工程が違うだけで、緑茶も煎茶も紅茶も実は烏龍茶も全て同じ茶葉から出来てるから、これからは緑茶飲めます!

「パパは最近甘いもの食べすぎですから、ウーロン茶です」

 ニコッと笑うと、パパも紅茶が、とかブツブツ言っていた。

「本当に御子息なのだな」

「ええ、やっと可愛がれ、一緒にいられるのです。
 自慢の子です」

 頼むから僕の目の前で、それやめてー!
 バインリフト宰相が一口紅茶を飲むと、喉がゴクリと鳴った。

「美味い、風味が全く違う……」

 目を見開いて、次にチーズケーキを一口入れると表情が、トロけた何か違うものになっていた。

「ムフー、チーズは溶かしたりそのまましか食べた事がなかった
 甘くしても風味はチーズでこの味わいのあるサッパリした物はなんだ?」

「レモンです。
 それに少しミルクも入れて滑らかにしています」

「その様に、材料など話してしまっては」

「元の文化、それに国民がもっと盛り上がるためなら。
 それに元々、この国の特産品ですからね。
 無くなったり廃れてしまったら、美味しいものが食べられなくなります」

 材料が手に入らなくなる方が問題だし、チーズケーキなんて、僕が考えて作ったものじゃないからね。

「お茶は、ハーブもいいですが、食べる物や体調に合わせてバリエーションがあれば、更に楽しめますしね」

 バインリフトはケーキと紅茶を見つめて、出来ない等と言ってる場合ではないな、と決意を強固なものにした。





「ラグ、私も食べたい飲みたい!」

 ゲオルグ達の方に飽きたか。
 茶葉の新芽を収穫して来たのは緑頭だしな。

「頑張ってくれたしな。
 紅茶?緑茶?」

「苦くない方がいい」

 子供舌だしな。

「上でミワと食べな。
 ゲオルグの方は僕が聞いておくから」

 ミワの分を持って、消えていった。
 少しだけ、ムーッとした気分になりながら、ゲオルグ達の話しを聞く事にした。

『何故、私の提案をうけいれてくださらないのですか?!』

『ふーっ、君は国と恋愛を秤にかけて、私を脅そうとしているだけだ。
 ただ、脅しにはなってないがな』

『先生がいてくれたら、国王になるのも頑張れますが、私を選んでくれないならなりません!!』

『私は困らないし、どうでも良い事だ』

 探せば第三位辺りが出てくるんじゃね?
 じゃなきゃ、バカな王弟を再教育か。
 生みの親の方を全部潰したら、王弟の再教育もどうにかなるんじゃないかな?
 こんな恋愛脳に任せるより、バカを普通にする方がマシな気がする。

「食べてるとこ悪いけど、王弟が今どんな状況でどこに居るか知りたいんだけど」

「ん、ぐ、う、ごっくん!
 いいぞ、やる!
 探したら繋ぐか?」

「うん、見せて欲しい」

 緑頭が本当、支えるようになったわ。
 
 
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