モブですけど！

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「ゲオルグ先生は、こんな子が好みだったんですか」

　ん？　なんかディスられた？

「ラグだから好きなのだ、他の誰でもない」

　ゲオルグにさりげなく腰を抱かれた。
　これがしたくて、横に座らせたな？

「今は、こちらの話しより、シュタイン先輩が王位に就くために」
「私は、ずっとゲオルグ先生に告白して来たのに！
　なんで、こんなぽっと出の子供なんか！」

　おいおい、この国は愛に殉じます、みたいなのがデフォなのかよ！

「私は一度も応えたことなど無かったが？」

「学生のうちはって仰ってました！　だから私は卒業試験に合格したらちゃんと告白して、考えて頂こうと思ったのに、先生方があの試験以降おかしくなって、監督官だった方々が辞めてしまわれたじゃないですか！」

「それはラグの情報が何もないままだったからだ。
　免除試験資格の証明書は発行されているし、試験結果は満点だった。
　だが、ラグの受験票以外何も出てこなくて、問題になり減俸になった連中が管理をするのは学校の事務側だと怒ってしまって辞職になったんだ。
　私は、ラグの素晴らしさに惚れ込んで、辞職して世界を探し回っただけだ」

　世界を探し回った？
　二年間、探してくれてたの？
　なんだろ、なんか、ちょっと嬉しいかも……。

「そうですか。
　私は、この子に勝たないと先生に振り向いてもらえないんですね」

「あの、そういう事より、国王を退位してもらうためにも王弟殿下を処刑しないと」
「うん、それは分かった。
　もう、君は関係ないから、席を外してもらえないか？」

　まさか、ゲオルグの事が好きだったなんて。

「ラグ、此処に居てくれ」

「僕はオジャマですし、料理をしないといけないので、遠慮します。
　お二人でごゆっくり」

　ニッコリ笑って席を立った。
　なんかムカムカする。
　シュタインって学校のあの瞬間しか話した事なかったけど、僕を使ってゲオルグに近づきたかったから親切にしたとか？

　まぁ、僕は二人の時間を知らないし、ゲオルグとだってこの国に来てからだから、ほんの数週間だけどさ。

「ラグ、どうしたのだ？」

「べっつにぃ！！」

　くそー、緑頭に心配されるなんて。
　こんな時は野菜をみじん切りにしてストレス？怒りを解消だ！

　何にでも使える玉ねぎのみじん切りをして、ガッツリ炒める。
　作る物を考えて無かったんだけど、アサリの剥き身を入れてクラムチャウダーにすることにした。
　これもなんちゃって簡単クラムチャウダーにした。
　アサリを入れたら、すり下ろしたジャガイモを入れて、鶏出汁を入れる。
　鶏出汁が無ければ、まんまお水でも問題ない。
　ジャガイモのすり下ろしがとろみになってくれるけど、灰汁も出やすいので少しずつとるようにして、ミルクを投入すると、クラムチャウダーになるので、僕はここで生クリームも足す。
　塩、コショウで味を調えて、クリームチーズを少し煮溶かす。
　マッシュルーム系のキノコもスライスして最後にひと煮立させたら出来上がりだ。
　コクを出すためにベーコンもいいよ！
　僕は前の世界ではミックスベジタブルのジャガイモが入ってるやつとか、玉ねぎがプラスされているのを使って、冷凍のアサリの剥き身を入れたりしてたから、今のこの世界で作るよりはもっと楽だった。
　でもここで割と最初から作るから、どれだけ手抜きが出来るか、代用が使えるか考えると楽しかった。

「これはシチューとは違うのか？」

「具沢山のスープって感じかな？
　パンと一緒に食べると美味しいから、お昼はこれにちょっとお肉を焼くよ」

「デザートは無いのか？」

「緑頭、甘いの好きだもんなぁ」
　
「最初にラグがくれた、ナッツの甘いのが好きだ」

　あれ欲しさに庭で体育座りしてたもんな。

「分かった、ナッツのキャラメル掛けを作るか」

　手軽なんだよな。
　あれ、そういえばあれ以来ナッツ仕入れて無かったわ。

「ごめん、ナッツが無かった。
　チーズケーキにするか」

　クリームチーズもあるしな。
　力任せに撹拌して砂糖を入れて、レモンを絞ってってする簡単なのだけど。
　割と力さえあれば出来る感じのチーズケーキ。
　ミルクを足して、ゼラチンを使って固めるのも良いけど、ただ砂糖を加えて風味を変えただけのチーズケーキも美味しいんだよ。
　なんて言っても簡単で使う材料の種類も少なくていいから。

「おーラグ、これも美味そうだ」

「冷やして食べよう」

　ゲオルグとシュタインの会話も気になるけど、パパと宰相の会話も気になって仕方なかった。

「虫をつけるか？
　ここで料理しながら聞けるぞ？」

　緑頭の提案に即答した。