モブですけど!

ビーバー父さん

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 護衛に、ヒューゴとユリアス、それにゲオルグが一緒に来てくれた。
 パパの方はセバスチャンとホークとロメオにコーニッシュがついている。
 
 緑頭とミワは呼べば来れるから、自宅警備をしてもらう事にした。
 ま、ミワは別にしても緑頭は最近小賢しくなって来たから、それはそれで煩かったからだ。

 何となく、神様のお陰であの家は結界があるんだろうし、変なモノは入れないとは思うけど、念の為空ける事はしなかった。





 お昼前に王宮にいるパパの部屋に着くように出て、裏門の所に着いたらセバスチャンに連絡してもらい中に入ると、昨日あの場には居なかった王弟殿下派と思わしき、若い貴族が集まって来た。
 セバスチャンは昨日の王弟殿下の拘束と罪状について、国王と話し合いがまだあるからって先に部屋へ戻って行った。
 
「なんか臭くない?」

 コイツら、ソロレート商会から袖の下を貰って、バカな王弟殿下を後ろから操っていた連中か。

「お前か?」
「うわっ、可哀想なくらい不細工なんだ、顔隠すってどんだけだよ?」
「お前んとこのご主人様は、やらかしてくれたよなぁ」

 うーん、どこにでもいるんだね、こう言う奴らって変わらない。

「何とか言えよ」

「……では、申し上げますが、自業自得かと」

「貴様!!」

 言えって言ったの自分だろ?

「急いでるんで、後にしてください」

 どうやったって絡んでくるんだし、今はパパたちのお昼ご飯の支度があるんだから、後にしてくれよ。
 
「貴様の生ごみを処分してやるよ」

 これが貴族なのだろうか。
 僕は社交界とかに全く出ないまま、平民に降下したから全く分からないけど。

「これはドアイス様達のお食事ですから、お止めください」

 ヒューゴが一歩出て僕を後ろに庇ってくれた。

「チッ!」

 一応引いてくれたから、そのままパパ達の所に向かった。
 他国の貴族の食事を捨てたりというのは、王弟殿下だからだったか。
 こいつらは上に失礼な事をするという事が、どれだけのリスクを与えるかって事はこういう奴らの方が良く分かってる、だから、権力を持つ者を使うって事の意味を良く知ってるんだ。

「ラグ、急ごう」

「はい、ヒューゴ様 お手数をおかけします」

 目の前をヒューゴ、横にゲオルグ、後ろにユリアスが着いてくれた。
 ユリアスの方が貴族社会は良く分かってるだろうから、後ろで何かされたら対応が早いだろうと思ってる。

「ラグの飯は美味いんですよ。それを知らないなんて残念ですね、貴方がた」

 は? せっかく刺激しないようにしたのに!!!
 何でユリアス煽るのさ!!

「あー、そうだな
 この国の偉い人は、美味い物を知らずに死んで行くんだよな」

 ヒューゴまで!!

「今朝の温泉卵は、消化も良いし胃に優しいしな」

 ゲオルグ?
 彼らが何かを考えてやってるんだろうけど、今はとにかくパパの所へ急ごうって、三人を引っ張った。



 この二日通ったパパの部屋へ足と入れると、セバスチャンが書類とパパが残していた辺境伯のユサールっぽい肩掛けマントが切り裂かれて、床に散らばっているのを片付けていた。
 絨毯には、血痕と分かる黒い模様が不自然に点在していた。

「パパは!!!?」

「ラグ! 先ほど暴漢に襲われて、ホークが救護に回っています」

「セバスチャン、犯人は分かってるのか?」

 ヒューゴが情報を集めて、命に別状がない事だけは確認できた。
 でもそういう事じゃないんだ。

「セバス、パパ、どこ?」

「ラグ、大丈夫です」

「大丈夫かどうか、それは僕が決める」

「ラ、グ様……
 申し訳ありません!」

「どこ?」

 セバスチャンが困ってるのは分かってるけど、パパの場所を聞かなきゃ気が済まなかった。

「ラグ、俺が連れて行く。
 ユリアスはここで部屋の記憶と、状況を」

 ヒューゴが僕の肩を抱いて、パパが運ばれた医療室に連れて行ってくれた。
 当然、治癒魔法が使えるゲオルグも来てくれていた。

「ラグ、大丈夫だ。 命に別状は無いって聞いた」

「悔しい、本当に悔しい」

「そうだな、俺たちも護衛として騎士団長の前職を持ってるのに、襲われたなんて末代までの恥だ」

 ヒューゴも怒りを露わにしていた。
 僕はパパが、ヒューゴは騎士隊長たちに、形は違えと悔しさは同じだった。

 治療を受けている医療室について中を覗くと、パーテーションの隙間から見えるベッドにパパの袖が見えた。
 朝着ていた服の裾だから間違うはずがない。

「パ!、旦那様!!!!」

 パーテーションを分けて、パパのそばに行った。

「ら、ぐ、ごめんな。
 ちょっと、逃げ遅れちゃったよ」

 見ると、反対側の腕は無くなって血まみれの包帯が巻かれていた。

「何があったの!?」

「ん~、魔法で爆発が起きた感じ?」

 ちょっとふざけたような言い方をした。

「ドイアス公、治癒を掛けますので、黙って」
 
 ゲオルグが失われた腕の傷を止血して、体の切り傷なんかを治療した。
 ただ、ゲオルグの治癒魔法では失われた部分を補う事は出来なかった。

「パパ、もしかしたらこの先すご~く、苦労かけちゃうもしれない。
 ヒューゴ達にも面倒をかけちゃうかもしれないけど、許してね」

 僕の持つ治癒魔法で、パパの失くしてしまった腕を再生させた。
 



 

 
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