モブですけど!

ビーバー父さん

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 服を着ながら、別に今日じゃなくても、いやいや、今でしょ! とかそんな葛藤が渦巻いていた。
 こういうワクワクって今すぐやってみたいのが男の子じゃない?

「ラグってさぁ、あれだけ気にしてた割に、慣れちゃってわりかし大胆に着替えるよね?」

 ニヤニヤ笑いでロメオがこっちを見てた。

「ん?」

 まさに、片足を上げてパンツを穿こうとしていた所で、僕の可愛い素朴なおちんちんが丸見えでした。
 
「その玉のシワもちょっと色が赤ピンクなところもさ、そそるよね~」

 は? いや、ダメでしょ。
 
「油断してました」

 こんな事に動じてたら、揶揄われるだけだ。
 毅然としておかないと……。

「っぷ! そんなに警戒しなくても大丈夫だぞ!
 揶揄うのも程々にしろ、ロメオ」

「え~だって少しでも、俺らを意識してもらわないとだめっしょ?
 いっそ、全員でって手もあるんじゃないっすかね?」

 いつか出ると思ってた発言。

「それは考えなくもないが、複数となると手続きが面倒だしなぁ」

 いやいや、そこはまず僕の意志を聞いてくださいよ!

「君たち、ラグの意志が大事なんだからね?
 権利は与えたけど、自由にする権利じゃないからね?」

 そうだそうだ! パパもっと言ってやって!!

「ドアイス様の言う通りだな。
 我々は少し焦り気味だ。
 ラグの気持ちが追い付かないままでは、ダメだろう?」

 ホーク、股間を隠して言って欲しいセリフだ。
 その、結構、しっかり硬くなってるっぽいですから。

「もう、取り敢えず探検は明日にして、今日は寝ましょう!!」

 とにかくいつまでも裸の付き合いをするわけには行かなかった。






「んふふ~ん、ららら~♪」

 これ、このパターンって、アレですよね、あれ。
 マッチョなオネェ神様降臨ってやつ。

「う、神様何ですか」

 あれ、ここ地下の温泉じゃん。

「あら千尋、良いお湯よ~
 私が入ったお湯だから、ピッチピチの肌になってモテ度アップ間違いなしよん!」

 う、わぁ……、なかなか、まぁ、そのぅ。

「お綺麗ですよ、神様」

 うん、この答えが正解だ、絶対!

「千尋もね!!」

「もしかしてあの階段みたいな岩場を下りると、この像がいるんですか?」

「そうよ~!
 これ、私の若い頃のなんだけど、腕の良い職人に彫らせるなんて、気が利くわよね~」

 どう見ても別人じゃね?って思うんですけど、結構お年寄りあるあるかもな。
 若いころの白黒写真て、スゲー美男だったり美女だったりするんだよな。
 なんであの頃の写真って肌とかやたらキレイに映ってんだろうな。

「神様も子供の頃なんてあったんだ。
 僕はてっきり、神様はいきなり神様で生まれて来たんだと思ってた」

「んん、そうね~、若気の至りってあったのよ」
 
 神様なのに?

「あ、ここが結界に包まれてる理由って、神様御用達の温泉だから?」

「結界って言うか、アタシが入ると聖なる水になる訳よ」

 いや、アンタが言う聖なる水って、他の物を想像するからやめて欲しいわ。

「その話だと、この世界って大分前から存在してたんですね?」

「そうよ、時間の流れが違うから、最近じゃないの。
 それまでもゲームのベースで時間は流れてたし、生きて来てるから」

「それなら、世界樹を救う‶蒼月″も何人かいたんじゃないんですか?」

「時間は経ってるけど、蒼月は千尋一人よ。
 ごめんね、そこは変わらないわ」

「伝説として、時間をかけて神様が人に浸透させた?」

「誰かがプレイしては散らかして行った残りカスみたいなものが、世界に伝わったって感じね」

「じゃぁ、僕の他にもいる? もしくはいた?」

「いいえ、時々聞こえてくる風の音みたいなものが、届くだけよ」

 海に手紙を入れた瓶を投げて誰かに届け、みたいな?
 ロマンの無い言い方だけど、ゴミだよな、それ。

「これからも蒼月って事では生きていく気はないけど、僕はラグノーツ・千尋なんだって思って生きて行くよ」

「そうね、思いっきり楽しんで!
 あ、あの教官もラグにメロメロになっちゃったわね~」

「メロメロって」

「ここからは、本当に気をつけなさい
 魔力を守護者の彼らが隠しても、大人になればなるほど、貴方の魔力量はどんどん上がるんだからね」

「魔物、とか?」

「それだけじゃないわ。
 魔王化する者が現れやすくなるって事よ」

 いやいや、変なフラグ立てないでよ!

「ひっそりと生きるんで」

 出来るといいわね~って言われて消えて行った。




「はぁ、もうほんと、フラグ立てちゃってくれて」

 隣で寝てるパパを起こさない様にそうっと抜け出して、地下の温泉に行ってみたんだ。
 あの像が本当にあるのか気になっちゃって。






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