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しおりを挟むうーん、困ったなぁ。
なんか僕の中でゲオルグも一緒に住む事に、何ら違和感がないんだが。
これはパパとセバスチャンに報告しなきゃいけないけど、ゲオルグは息の根が止まる覚悟は、無いだろうなぁ。
僕が公爵家の、とは思っても無いだろうし。
ロッシ家の落胤て方向だったしなぁ。
部屋には泊めちゃったし、明日行く時に連れて行ってみるしかないな。
うん、寝よ。
朝は軽く柔らかい白パンに、ジャガイモのポタージュスープ、自家製ソーセージ、ミニオムレツ、グリーンサラダにマヨドレッシング!
完璧なブレックファーストだ!
白パンはもちろん、甘めにしたよ!
生地の水分量もだけど、低温で時間を掛けて焼く、これ大事。
一気に高い温度だと、硬くなっちゃうんだよ。
ジャガイモは茹でて潰して、焦げない様にずーっと混ぜつづける。
これは緑頭にやらせた。
ミルクを少しずつ足して、本当ならフードプロセッサーがあれば楽なんだけど。
ここは一つ、緑頭くんに頑張って頂きたい!
自家製ソーセージは前に作っておいたやつ。
肉はとにかく冷やす!
そんで詰める!
ミニオムは単に小さく作るだけだ。
卵液を作る時に、生クリームとか入れるとコクが出ていい。
でも、僕はスフレみたいにしっかり泡立てたのを焼いたのが好きだから、焼き上がりがオムっぽい形ってだけかも。
まあ、単純にスクランブルの予定がかき混ぜ過ぎての出来損ないからそうやっただけなんだけどね。
後から料理名つけたら、失敗作も一つの料理だ!
味は保証するよ!
今朝は、昨日作ってもらったカウンターキッチンを早速試した。
彼らの目の前で、白パンを少しだけバターで焼いて、ソーセージ、オムも焼いた。
白い大皿のワンプレートにして目の前に置くと、子供みたいに喜ぶゲオルグに、皆んな笑った。
なんだ、いつの間にか三人とも仲良しじゃん。
昨日、ゲオルグを二人と一緒の部屋にしたのは正解だったかも。
てか、ミワは分からなくもないけど、緑頭、精霊王も睡眠とるのか。
四人で摂る食事は、楽しかった。
ブランチにする約束だから、同じメニューを持って、王宮に向かう支度をして、ゲオルグとミワが護衛について、緑頭はお留守番だ。
昨日みたいに、侵入して来たら容赦なく排除して良いと伝えておいた。
「ゲオルグ先生、あの、多分、確実に息の根を止める勢いで来ると思いますから、覚悟しておいて下さいね。」
「は?」
「まあ、行ったら分かりますから」
これ以上は言えないな。
ミワは分かってるから、なんかニヤニヤしてる感じが伝わって来たよ。
「ラグ様、ゲオルグ殿は、悪い方ではないですけど、昨日の不埒な行為は許してませんから、しっかり仕置きをされた方が良いと思いますね。
はっはっは!」
パパの強さって実は知らないから、ゲオルグとやるとどんな感じか見てみたい気持ちもあるんだよね。
王宮でやると問題だから、やるなら結界は必須だよね。
「ラグ、王宮で料理をしてるのか?」
「はい、ブランチと夕飯まで作ります。
昨日は、初日でお昼のお弁当を持って行ったら、ちょっとトラブルがありまして。」
「ああ、それで殺されかけたのだな。」
そうなんだけど、それを仕掛けた人物が問題なんだよな。
あのドリンキングバードにそっくりな、王弟殿下。
ファッション?もあのまんまだし。
誰かおかしいって言ってやれよ。
「ははは。」
「仕掛けた人物が問題か。」
良く分かってらっしゃる。
「その、まぁ、ちょっと美味しく作り過ぎたんですよ」
と言うか、あの人は料理人とは言えない。
おだてて、おだてられた王弟殿下が、裸の王様状態なんだろうな。
あのファッションもそうだし。
料理人と商人辺りがグルなんじゃないの?だからパパとの交易をって絡んで来てるんだと思うんだよね。
でもね、食べ物を粗末にした罪は、絶対許さないからな。
魚のすり身なんて、かなり体力と時間かかったんだから!
卵白入れて出汁入れて、山芋入れて、カタクリ粉も入れて、結構手間がかかったのに!!
マジで、許さね。
「ゲオルグ先生、行ったら分かりますが、
一緒に対策考えてくださいね」
絶対泣かす!
門兵に一人追加してるので、申請してもらう様にお願いした。
しばらくすると、バタバタと走ってくる音が聞こえた。
セバスチャンだろうなぁ。
まぁ、まずはここが通らなきゃ、その先も無い訳で…。
「ラグ!!!
どういうことですか!?
もう一人追加って…!」
驚いた顔をした。
そりゃそうだ。
学校の教官だもの。
「セバスチャン様、ゲオルグ様です。
これから僕のアシスタントと護衛をしていただきます。」
ふふん、と笑うゲオルグと、ギリッと歯を食いしばって眉間に皺を寄せた種類の違うイケメン同士の睨み合いって、物凄い迫力でお腹いっぱいになった。
とにかく、通行許可出してほしいなぁ。
「セバスチャン様、昨日の事で報告がありますから、通行許可を出していただいてよろしいでしょうか?」
いいから早くしろよ、こんなところで目立ってんじゃねーよ!と暗に言ってみた。
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