49 / 219
48
しおりを挟む
「僕は蒼月なんてものじゃなく、この自由恋愛の世界で、相愛の人と一緒になって、最期は一緒のお墓にって言うのは本当の気持ちだから、君が守護者である以上全てが潔癖じゃなくても良いと思ってる。
だってね、神様だって失敗するんだ。
なら、僕らだって失敗もするし、多少の悪さや知らないうちに誰かを傷つけるって言うのもしょうがない部分だと思うよ。」
「ですが、私は聖獣なのに捕まって、その力も発揮できないまま悪事の加担をしたのです!!」
「うん、なら聖獣って普通の獣になるとかなんかあるの?
今僕の側にいて、聖獣の力を取り戻してるって、そう言う事なんじゃないの?」
この子の気持ちも分かるけど、生きてる以上何かしらの過ちは毎日してると思う。
選択することが生きる事だから。
「私は許されてるのでしょうか?」
「誰が許す、許さないで言うなら、僕は許すよ。
生きるための手段に、これが正しいなんてのは無くて、今、君が生きてここにいる事が正しいんだから」
聖獣はポロポロと涙を流して、むせび泣いた。
「よしよし、今までよく頑張って生き抜いてくれたよ。
僕に会うまで頑張ってたって事でしょ?
長い間、頑張らせてごめんね。」
「いいえ、蒼月様のせいではありません。
私が未熟で、迂闊だったのです。」
真面目だし、賢い。
どっかの緑頭とは全く違う。
本来の守護者って立場の者の考え方ってこっちじゃないかな、うん。
「僕は蒼月として生きたくはない。
それを前提に、僕の守護をしてくれないかな?
もっさりが嫌だって、緑頭みたいに言うなら、それはまた別な話なんだけど」
「とんでもない!!
蒼月様はお美しく、優しい慈悲深い方です。
そのお姿をお隠しになってるいるのも、理由を聞いて納得しております。
私をおそばに置いてくださるなら、必ずや、貴方様をお守りすると誓います。」
「うん、ありがとう。
じゃぁ、君の名前を決めて良いかい?」
「はい!」
白くて大きな体躯、大神の読み名でオオミワ、でどうだろう?
毎回名前のセンスが無いなどと言わせない。
今回は、壮大なスケールの意味があるのだ!
「大神の読み名でオオミワでどうかな?」
「はい、オオミワの名を拝命いたしました。」
緑頭の時と同じように、金環が現れて、オオミワの額にピタリとはまった。
「うん、ミワ、これからよろしくね」
ミワは僕のほっぺたをペロンと舐めた。
生ハムの仕込みをしたかった事を思い出して、ソロミュール液を作っていた。
飽和寸前の塩分に玉ねぎの皮、セロリの葉、ローレル、ガーリックを丸ごと上から潰しただけで鍋に投入して、ぐらぐらと煮立てた。
黒コショウの粒を加えて、砂糖も舌の端に感じる程度には入れておく。
ロース肉を粗熱を取ったソロミュール液に付け込んで、ビニール袋があればいいけど無いので、密閉できる入れ物に入れて保冷庫で10日ほど寝かして置く。
この後は一度軽く塩抜きをしてそれから乾燥だけど、それも時間がかかるので今日はここまで。
ベーコンを作るためのバラ肉も同じ手順で漬けておく。
これだけで、数週間後には美味しい生ハムが食べられるのさ。
おやつ用にカスタードクリームを作るのに出た、卵白でメレンゲクッキーを作ると緑頭が匂いに引き寄せられて来たので、先にミワにあげると、しおしおと泣きやがった。
「緑頭はさ、精霊なのに何でそんなにおやつとかご飯が好きなの?」
「私は、ラグの作る物が好きなんだ。
無意識だろうが、魔力が込められていて、体がとても軽くなる。
ミワもそうであろう?」
「癒しと言うか、我らに必要な魔力、世界樹の魔力を感じます。」
ミワは本当に真面目だね~。
「そうか、無意識に魔力が練り込まれちゃってたのかぁ。」
ミワが喜ぶなら、とメレンゲクッキーあげちゃったけど、犬とかってこういうの食べて大丈夫なのかな?
夕方近くになって、パパとセバスチャンが漸く帰宅した。
渋い顔なのは、何か良くない知らせを持ってると言う事だ。
昼間、ミワを助けた事を言い出すにはタイミングが悪い気がしたので、僕は寝室にミワを入れて二人の様子をうかがった。
「何があったのですか?」
鶏肉を叩いて、薄く伸ばした間にチーズを挟んで何層かにした物を、多めの油で揚げ焼をしたカツレツを出した。
スープは朝の残りを温め直して、サラダはサッと茹でたキノコをお酢と塩、マヨネーズにはちみつを加えて作ったドレッシングで和えた物を出した。
パンは少し硬めのフランスパン系の物にした。
テーブルに付きながら、二人は苦い表情を崩さない。
「さぁ食べましょう、お腹が膨れればいい案も浮かびますよ」
「ラグ、私たちがジョーハンの王宮で暮らさないといけなくなった。」
思ってもない事が、嫌どこかでそんな事が起きてもおかしくないって覚悟はしてた。
貴族社会って変に理不尽なんだから。
「ラグを一人に出来ない」
「パパ、僕は一人じゃないよ。
緑頭だっているし、あ、そうだ、僕紹介したい子がいるんだ」
そう言うと、二人は、顔色を失くした。
なんでだよ?
だってね、神様だって失敗するんだ。
なら、僕らだって失敗もするし、多少の悪さや知らないうちに誰かを傷つけるって言うのもしょうがない部分だと思うよ。」
「ですが、私は聖獣なのに捕まって、その力も発揮できないまま悪事の加担をしたのです!!」
「うん、なら聖獣って普通の獣になるとかなんかあるの?
今僕の側にいて、聖獣の力を取り戻してるって、そう言う事なんじゃないの?」
この子の気持ちも分かるけど、生きてる以上何かしらの過ちは毎日してると思う。
選択することが生きる事だから。
「私は許されてるのでしょうか?」
「誰が許す、許さないで言うなら、僕は許すよ。
生きるための手段に、これが正しいなんてのは無くて、今、君が生きてここにいる事が正しいんだから」
聖獣はポロポロと涙を流して、むせび泣いた。
「よしよし、今までよく頑張って生き抜いてくれたよ。
僕に会うまで頑張ってたって事でしょ?
長い間、頑張らせてごめんね。」
「いいえ、蒼月様のせいではありません。
私が未熟で、迂闊だったのです。」
真面目だし、賢い。
どっかの緑頭とは全く違う。
本来の守護者って立場の者の考え方ってこっちじゃないかな、うん。
「僕は蒼月として生きたくはない。
それを前提に、僕の守護をしてくれないかな?
もっさりが嫌だって、緑頭みたいに言うなら、それはまた別な話なんだけど」
「とんでもない!!
蒼月様はお美しく、優しい慈悲深い方です。
そのお姿をお隠しになってるいるのも、理由を聞いて納得しております。
私をおそばに置いてくださるなら、必ずや、貴方様をお守りすると誓います。」
「うん、ありがとう。
じゃぁ、君の名前を決めて良いかい?」
「はい!」
白くて大きな体躯、大神の読み名でオオミワ、でどうだろう?
毎回名前のセンスが無いなどと言わせない。
今回は、壮大なスケールの意味があるのだ!
「大神の読み名でオオミワでどうかな?」
「はい、オオミワの名を拝命いたしました。」
緑頭の時と同じように、金環が現れて、オオミワの額にピタリとはまった。
「うん、ミワ、これからよろしくね」
ミワは僕のほっぺたをペロンと舐めた。
生ハムの仕込みをしたかった事を思い出して、ソロミュール液を作っていた。
飽和寸前の塩分に玉ねぎの皮、セロリの葉、ローレル、ガーリックを丸ごと上から潰しただけで鍋に投入して、ぐらぐらと煮立てた。
黒コショウの粒を加えて、砂糖も舌の端に感じる程度には入れておく。
ロース肉を粗熱を取ったソロミュール液に付け込んで、ビニール袋があればいいけど無いので、密閉できる入れ物に入れて保冷庫で10日ほど寝かして置く。
この後は一度軽く塩抜きをしてそれから乾燥だけど、それも時間がかかるので今日はここまで。
ベーコンを作るためのバラ肉も同じ手順で漬けておく。
これだけで、数週間後には美味しい生ハムが食べられるのさ。
おやつ用にカスタードクリームを作るのに出た、卵白でメレンゲクッキーを作ると緑頭が匂いに引き寄せられて来たので、先にミワにあげると、しおしおと泣きやがった。
「緑頭はさ、精霊なのに何でそんなにおやつとかご飯が好きなの?」
「私は、ラグの作る物が好きなんだ。
無意識だろうが、魔力が込められていて、体がとても軽くなる。
ミワもそうであろう?」
「癒しと言うか、我らに必要な魔力、世界樹の魔力を感じます。」
ミワは本当に真面目だね~。
「そうか、無意識に魔力が練り込まれちゃってたのかぁ。」
ミワが喜ぶなら、とメレンゲクッキーあげちゃったけど、犬とかってこういうの食べて大丈夫なのかな?
夕方近くになって、パパとセバスチャンが漸く帰宅した。
渋い顔なのは、何か良くない知らせを持ってると言う事だ。
昼間、ミワを助けた事を言い出すにはタイミングが悪い気がしたので、僕は寝室にミワを入れて二人の様子をうかがった。
「何があったのですか?」
鶏肉を叩いて、薄く伸ばした間にチーズを挟んで何層かにした物を、多めの油で揚げ焼をしたカツレツを出した。
スープは朝の残りを温め直して、サラダはサッと茹でたキノコをお酢と塩、マヨネーズにはちみつを加えて作ったドレッシングで和えた物を出した。
パンは少し硬めのフランスパン系の物にした。
テーブルに付きながら、二人は苦い表情を崩さない。
「さぁ食べましょう、お腹が膨れればいい案も浮かびますよ」
「ラグ、私たちがジョーハンの王宮で暮らさないといけなくなった。」
思ってもない事が、嫌どこかでそんな事が起きてもおかしくないって覚悟はしてた。
貴族社会って変に理不尽なんだから。
「ラグを一人に出来ない」
「パパ、僕は一人じゃないよ。
緑頭だっているし、あ、そうだ、僕紹介したい子がいるんだ」
そう言うと、二人は、顔色を失くした。
なんでだよ?
34
お気に入りに追加
2,340
あなたにおすすめの小説
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
悪役令嬢の兄になりました。妹を更生させたら攻略対象者に迫られています。
りまり
BL
妹が生まれた日、突然前世の記憶がよみがえった。
大きくなるにつれ、この世界が前世で弟がはまっていた乙女ゲームに酷似した世界だとわかった。
俺のかわいい妹が悪役令嬢だなんて!!!
大事なことだからもう一度言うが!
妹が悪役令嬢なんてありえない!
断固として妹を悪役令嬢などにさせないためにも今から妹を正しい道に導かねばならない。
え~と……ヒロインはあちらにいるんですけど……なぜ俺に迫ってくるんですか?
やめて下さい!
俺は至ってノーマルなんです!
例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!
冷酷な少年に成り代わってしまった俺の話
岩永みやび
BL
気が付いたら異世界にいた主人公。それもユリスという大公家の三男に成り代わっていた。しかもユリスは「ヴィアンの氷の花」と呼ばれるほど冷酷な美少年らしい。本来のユリスがあれこれやらかしていたせいで周囲とはなんだかギクシャク。なんで俺が尻拭いをしないといけないんだ!
知識・記憶一切なしの成り代わり主人公が手探り異世界生活を送ることに。
突然性格が豹変したユリスに戸惑う周囲を翻弄しつつ異世界ライフを楽しむお話です。
※基本ほのぼの路線です。不定期更新。冒頭から少しですが流血表現あります。苦手な方はご注意下さい。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる