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153.ネーミングの小話(day11「からりと」) #ノベルバー
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「なーなー、ネットごと干してあんの何?」
「ああ、物干し竿?」
箱崎家のベランダが見えたのだろう。物干しハンガーやタオルがはためく合間に、今日は洗濯ネットが丸ごと干してある。
「あれねえ、妹のぬいぐるみなんだ」
「洗ったのかよ? 洗濯機で?」
「優しく手洗い。干すときだけネットに入れてる」
豚をモチーフにしたキャラクターのぬいぐるみだった。ピンチで直接摘むと跡がついたり、形が歪んでしまうかもしれないので、洗濯ネットを活用して乾かしているのだ。
「洗うときは妹が自分で洗うし、名前も付けて可愛がってるよ」
「へー。なんつーの、名前」
三十センチにも満たない、妹が抱き締めると程良く腕に収まるぬいぐるみを思い浮かべる。
「からり」
「あ?」
「からりだよ。岬が付けたあの子の名前」
「……食うの? 岬は」
さてどうだろう。由来を確認したことはないが、よく揚がりそうでもあり乾きそうな名前でもある。口にして呼ぶと軽やかな響きで、湊は妹のセンスをなかなか気に入っている。
(了)211111
「ああ、物干し竿?」
箱崎家のベランダが見えたのだろう。物干しハンガーやタオルがはためく合間に、今日は洗濯ネットが丸ごと干してある。
「あれねえ、妹のぬいぐるみなんだ」
「洗ったのかよ? 洗濯機で?」
「優しく手洗い。干すときだけネットに入れてる」
豚をモチーフにしたキャラクターのぬいぐるみだった。ピンチで直接摘むと跡がついたり、形が歪んでしまうかもしれないので、洗濯ネットを活用して乾かしているのだ。
「洗うときは妹が自分で洗うし、名前も付けて可愛がってるよ」
「へー。なんつーの、名前」
三十センチにも満たない、妹が抱き締めると程良く腕に収まるぬいぐるみを思い浮かべる。
「からり」
「あ?」
「からりだよ。岬が付けたあの子の名前」
「……食うの? 岬は」
さてどうだろう。由来を確認したことはないが、よく揚がりそうでもあり乾きそうな名前でもある。口にして呼ぶと軽やかな響きで、湊は妹のセンスをなかなか気に入っている。
(了)211111
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