【共依存DK】幼なじみのハルミナト

りつ

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141.ドーナツショップのモブ女子視点の小話(キャッシュレスの日)

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「お支払いはどうされますか」
 アルバイト先のドーナツショップは駅前にあり、いつもそこそこ賑わっている。今日も行列とまでは言わないが、客足はほとんど途絶えなかった。レジにやってきた同い年くらいの少年にマニュアル通りの質問を投げかける。答えを待ちながら、私は昂揚していた。
(けっこう好みかも)
 きりりとつり上がった濃い眉と、裏腹に下に向かって弧を描く眦、小さな顎に収まった無愛想な口元。低い声が交通系ICカードの名前を挙げる。開いた口から覗く大きな犬歯がワイルドだ。見た目はちょっと不良っぽいのに、着ている制服は進学校のものであるのが意外だった。
(カノジョと来てるのかな。友達とかな?)
 イートインでカフェオレとコーラ、ドーナツを四種類という注文に鑑み、連れの分まで注文しに来たことはほぼ間違いない。つい観察しながらもレジを操作する。
「こちらにタッチして下さい」
 少年が淡く光った端末にカードを当てると、ブブー、と間の抜けた電子音が鳴った。
「あ。しくった」
 支払い方法を変えるか確認する前に、どこからか違う制服の腕が伸びてきた。
「ぴろりん」
「口でゆってるし」
 おでこのきれいな少年が、垂れ目の少年の横から腕を伸ばし、端末にICカードを当てていた。
「サンキュ、あとで返す」
「こないだのアイスと相殺でちょうどくらいじゃない?」
「そーかも。それでイイ?」
「そーしよ」
「席取れた?」
「うん。だからハルミを迎えにきました」
「ナイスタイミング」
 むっつりと引き結ばれていた垂れ目くんの口元が緩む。おでこくんはドーナツと飲み物の載ったトレイを持って歩き出した。垂れ目くんは大きな手でおでこくんの制服の裾をつまみ、しきりに話しかけながら半歩後ろをついて行く。何かに似ている――と思い当たったのはリードに引かれた犬だった。ちょっと失礼かもしれないが。
(カノジョと来てるのでも、友達と来てるのでもなさそうな……?)
 ありがとうございました、と見送りつつ、思わず首を傾げた。



(了)211030
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