お隣りのJKさんと料理下手くされ大学生のお裾分け晩御飯

muku

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018 フローズンヨーグルト事件

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「おーい、翔君!」

背の高いトミーが手を振ると、遠くにいてもよく見える。

トミー、沙織、栞と合流し、お互いの買ってきたものを見せ合った。

「…なんだこれ?」

沙織が嬉しそうに持っていたのは、一見するとただのトーストだった。真ん中に切れ目が入っている。

「ただのトーストを、この沙織ちゃんが買うわけないやろう。」

沙織がトーストの上下を持って引っ張ると、真ん中の切れ目で裂けた中から、虹色のゴムのようなものが現れた。

「うわ、すごい色だな。」

「レインボーチーズトーストやってさ。」

「もはや完全にインスタ映えのための食べ物だな。栞ちゃんは何食べてるの?」

「フローズンヨーグルトのワッフルです。ちょっと溶けてきてますけど、翔さんも食べますか。」

ほっぺに白いフローズンヨーグルトをつけながら、栞はワッフルをこちらに渡してきてた。

「あぁ、ありがとう。…うん!フローズンヨーグルトって初めて食べたけど、バニラアイスよりも爽やかで美味しいな。」

「でしょでしょ~。あっ桃花ちゃんも食べたい?翔さん、桃花ちゃんにあーんしてあげてください。」

「えっ!?なんで…。」

思わぬ栞からの提言に、翔が少し慌てて桃花を見ると、最初は恥ずかしそうにもじもじしていたが、意を決したように、目を閉じて小さい口を開けた。

年下にそこまでされて断るわけにもいかず、翔はワッフルを一口サイズにちぎり、たっぷりフローズンヨーグルトをのせて、口元に運んでやった。

桃花の薄紅がさす柔らかそうな唇に、フローズンヨーグルトが触れた瞬間、その冷たさに、びくっと桃花は体を震わせた。

「…もう少し口開けて。」

「っん!?…ふぁい。」

一口サイズのつもりが少し大きかったようだ。桃花の口元にフローズンヨーグルトがいっぱいついてしまった。

「…なんか、こんな色っぽい感じになるとは思ってなかったです。」

栞が反省するように小さくこぼした。

「これは栞が悪いな。」

沙織もそれに同調している。

「いや、君たちは悪くないさ。翔君がわざとそうやったんだよ…。汚い大人だね。」

トミーたち三人が汚い物を見るような目でこちらを見ている。

「何話してんのかしらないけど、なんか悪口言われてる気がするな…。ごめんね、口元いっぱい付いちゃったね。ハンカチあるから拭いて。」

翔はポケットから紺色のハリネズミの刺繍がついたハンカチを取り出した。

「あっ、すみません。」

控えめに口元を拭くと、桃花が「洗濯して返します。」というので、気にしなくてもと思ったのだが、どうせすぐまた会うだろうと思ってお言葉に甘えることにした。

「翔君たちは何買ったの?」

「あぁ、異国の料理を中心に色々買ったよ。でも、僕もいまいち分からないから桃花ちゃん説明してくれる?」

「はいっ、わかりました!」

翔が包みを広げながら、桃花が説明を始めた。

「この大きな上げ餃子みたいなのは、エンパナーダという料理で、生地の中にはお肉や、玉ねぎ、オリーブなど色んな具材がぎっしり入っています。そして、こちらはプーティーンといって、あげたポテトの上にチーズと熱々のグレービーソースをかけ、とけたチーズとソースを絡めて食べるカナダ料理です。こっちはバナナフライといって、タイの屋台で買いました。」

立て板に水のように、スラスラとそれぞれの料理を桃花は説明した。

「うわー、バナナフライ一つもらっていい?」

スイーツに目がない栞が前のめりになる。

「あっ、はいどうぞ。」

「プーティーンってカロリー凄そうだな。でもめっちゃ旨そう!」

沙織はプーティーンに夢中のようだ。

「なかなか多国籍なランチになったね。」

トミーは富士の宮焼そばを頬張りながら、さらにイカ焼きをビニル袋から取り出した。四人はインターナショナルな食事に舌鼓をうった。
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