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011 隣りのJKに眼鏡をかけさせたい
しおりを挟むしばらく各々ゆっくり休憩をとり、夕方4時ごろに「コン、コン、コン」と桃花が翔の部屋を叩く音が聞こえた。
ドアを開けると、桃花は「おじゃましまーす。」と少しだけ語尾をのばし、以前よりは慣れた様子で、しかし丁寧にきっちりお辞儀し、靴を揃えて翔の部屋にあがった。
桃花は自室で、制服から部屋着に着替えていた。
部屋着と言っても、薄桃色のパーカーに、下は紺の短パンで、まぁ一応は外にも出られる姿である。
中学生の時から着ていたのだろうか、パ-カーの首元は少しだけ伸びており、彼女の鎖骨がよく見える。
「それって、部屋着?やっぱり制服着てた時より、ちょっと幼く見えるね。」
「そうですかね。田舎者だから、おしゃれなファッションとかに疎くて…。恥ずかしいのであまり見られると恥ずかしいです…。」
「いやいや、そんなことないよ。あまりごちゃごちゃしてない方が、男受け良いって言うじゃないか。僕もそんなお洒落な人間じゃないから、人のことは言えないけどね。」
「翔さんオシャレじゃないですか。基本神戸の人はおしゃれに見えます。」
桃花はお世辞とかではなく、本心からそう思っていた。
「そうかな…、ありがとう。人にも寄るけど、神戸市民はシックな色や服を好むらしいから、それでオシャレに見える人が多いって話をどこかで聞いたことがあるよ。」
「なるほど…。翔さんもオシャレで可愛い人の方が好きですよね…。」
「うーん、まぁその人に似あう服が一番いいと思うよ。あーちょっと待ってね。」
翔は机の上にある自分の眼鏡を持ってきた。
「これかけてみてよ。」
「眼鏡ですか?」
桃花は翔の黒縁の眼鏡を、慣れない手つきでかけた。桃花の顔が小さいせいで、眼鏡が少しずれる。
「おぉ。いいね!すっごくいいね!」
翔は妙にテンションが高くなった。色んな角度から眼鏡をかけた桃花を眺め、賞賛と感嘆の声をもらした。
「なんか…すごく恥ずかしいんですけど///」
翔に自分の眼鏡姿をまじまじと見られ、桃花は頬を紅潮させた。
「あっ、ごめん。僕は眼鏡には目が無くてね。眼鏡が似合いそうな人がいたら、つい眼鏡を掛けてほしくなるんだ。」
「翔さんって…、実はちょっと…変態チックなところあるんですね。」
少し引き気味の様子で、桃花は翔を見た。
「いや…、断じてそんなことはないよ!でも眼鏡っていいじゃん。知的に見えるし、清楚に見えるし…。なんで世界中のみんな眼鏡をかけないのか、僕は不思議に思うんだけど。」
「えっと、何を好きかは人それぞれですが…、あまり人に眼鏡をかけさせるのは、止めておいたほうがいいかと…。」
「そうだね…。以後気を付けるよ。」
高校一年生相手に、軽く正論で諭されたところで、二人はハンバーグ造りに取りかかった。
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