94 / 121
二学期 三章 青春大運動会
014 『借り人競争』で誘拐されるロリ副会長
しおりを挟む昼食休憩を挟んで、午後の部一発目は『借り人競争』であった。
「続いての種目の『借り人競争』では、紙に書かれている内容に該当する人物を探して、その人物とともにゴールする順位を競います。」
「なるほど~。わかりみのある説明ありがとうございます。」
「解説コメンテーターの風花さん、紙に書かれている内容はどのような物が予測されるでしょうか?」
風花のやつ、いつの間にか解説に抜擢されてやがる……。
「そうですねぇ、個人的にはやはり……『この人なら、まぁぎりぎり付き合ってあげてもいいかなってレベルの人』とかってお題があれば、テンションあげみざわですね。この競技にもお姉ちゃんが一枚噛んでるそうなので、ワンチャンそれよりもっと厳しいお題が入ってるかもです。」
「それはなかなか難しいお題がありそうですね。競技終了後、会場が微妙な空気で包まれる事が予測されます。」
”パンッ!”
号砲が鳴るとともに、出場選手たちが一斉にお題が書かれた紙を掴んだ。そしてお題に書かれた特徴に該当するパートナーを探しに、観覧席へと潜っていった。
「ちょっと! 絶対嫌よっ! ふざけんなぁ!」
どこからか、まだ変声期の訪れていない舌っ足らずな女の子の声が聞こえてきた。
「おや、解説の風花さん? 何やら向こうでもめ事が起こっているようですよ。」
「本当ですね。あのちびっ子はこの学校の生徒さんなのですか? 小学五年生とかではなく?」
放送アナウンスでちびっ子呼ばわりされた事に、彼女は激怒した。
「誰がちびっ子ですって!? 私はこの学校の副会長なのよ! 吹雪さまの次に偉いのにっ!」
騒動の渦中には、我が校のちびっこ副会長……永森氷菓の姿があった。お題の紙を持ったゴリラに似ている女子生徒から腕を引っ張られていることから、氷菓はどうやらお題に該当する人物のようだ。
「あの女子生徒、どっかで見た事あるなぁ。」
あっ――思い出した。球技大会でちろるんと試合してた奴だ。波動球打ってた子だ。
「断固拒否します!……きゃっ!」
頑なに断り続けられ、業を煮やしたゴリラ似の女子生徒は、氷菓の身体を軽々と担いでゴールへと走っていった。
「解説の風花さん、また随分と衝撃映像が飛び出しましたね。」
「なんか、誘拐の現場を目撃してしまったような気分……。」
第一走の全員がゴールし、それぞれ引いたお題の発表がされた。
「それでは、お題にあった人物かどうか確認していきます。」
順々にお題が発表されていき、そして氷菓を拉致したゴリラ似の女子生徒の引いたお題が発表された。
「彼女が引いたお題は……『合法ロリ』というお題でした。お見事、お題にあった人物を連れてくることができましたね。」
「っはぁ!? ふざけんな! ロリじゃないし、そもそもJKは合法じゃないでしょっ!」
審判員たちの審議の結果、氷菓はJKにも関わらず、小学生のようなその見た目から、将来的には合法ロリになることが確実である。よって問題なしと認められた。
「問題しかないでしょっ! 納得いかない、どうかしてるわよ! 来年私が生徒会長になった時は覚えてなさい!」
競技から戻ってきた氷菓は不満たらたらの様子である。
「おい氷菓、まぁ落ち着けよ。子どもが駄々をこねてるように見られるぞ?」
「雪! 誰が子供ですって!? 私が生徒会長になった時、覚えてなさいよっ!」
「おっと、職権乱用はよくないぞ。私情を挟むのは、独裁政治への第一歩だ。」
「独裁政治が悪だと決めつけるのも早計だわ。与党と野党の知能指数低そうな討論みてたらわかるでしょ。」
「そこは否定しないが、俺は学校という場での独裁は賛同しない。生徒会みたいな短すぎる任期じゃ、ろくでもない人間がトップになる可能性が高まる。それにそもそも、まだ未熟な学生が独裁統治するのも危ない。」
「ぐぬぬ……」
俺と氷菓が話している最中に、放送アナウンスの風花の声が聞こえてきた。どうも借り人競争の第二回戦が始まったようだ。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
卯ノ花
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる