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三章 天下一暗黒天空武道会
026 カッターナイフデスマッチ
しおりを挟む「お互いもう限界に近い…。だが、勝負は白黒はっきりつけないとな。」
ゴッサムはポケットからカッターナイフを二本取り出した。
「決着は…カッターナイフデスマッチでつけようじゃないか。」
「カッターナイフデスマッチ…!?」
ワタルはどこかで聞いた事ありそうで、聞いた事のない言葉に首を傾げた。
「おっとー!!ゴッサム選手、地面にカッターナイフを二本突き刺しました!」
「右足をカッターナイフの前にして踏ん張りな。そこが命の境界線だ。そこより後ろに下がったほうが負けだ。シンプルでいいだろ?」
「幽遊〇書で見た事ある気がするけれど…いいでしょう。受けて立ちます!!」
ワタルとゴッサムはお互い右足をカッターナイフの前に踏ん張らせ、至近距離で向かい合った。
「急に始まったルールでの決闘ですが……、おっと大会本部からもOKのサインがでました!!」
満身創痍の勇者ワタルと格闘家ゴッサムは、既に激しい殴り合いを開始していた。ワタルの素早いワンツーを受けつつも、ゴッサムの重い右ストレートにワタルはのけ反る。しかし、なんとか踏ん張り、ワタルは左フックからの右アッパーを繰り出した。それでもゴッサムもまた下がることなく踏みとどまり、ワタルの腹にボディブローを打ち込んだ。
「お互い文字通り、一歩も譲らない殴り合い!!まるで、紅の〇タのラストシーンの殴り合いを見ているようです!!!」
二人の殴り合いは五分ほど続き、それでも決着はまだ付かなかった。
「はぁ…僕たちの戦いで…どれだけ尺使うつもりですか…?」
「あぁ…。だったら…早く倒れたまえ…!」
ワタルとゴッサムは、次が最後の一撃になるであろうことを直感した。お互い最後の力の全てをこめて、相手の顔面に右ストレートを繰り出す。
両者の拳は相手の顔面を捉え、鈍い音とともにその衝撃が頬の肉を振動させる。
「おっとー!!!両者渾身の右ストレートを放ち、お互いにダウンだーーー!!!さぁ…先に立ち上がるのはどちらだっー!!!」
先ほどから会場のボルテージはマックスになっており、二人の健闘を称える声が聞こえる。
「ワタル―ッ!がんばってー!!」
リーシャは目に涙を浮かべながら、熱い声援を送っていた。
そして、会場の二階席にも、ワタルに静かに声援を送る少女の姿があった。紺色のスカートを身にまとう黒髪の女性であり、どことなく儚げな雰囲気を出している。それは予選でワタルと戦った少女、シズクであった。
「……………がんばれ。」
勇者シズクは銀の剣を携えながら、勇者ワタルの全力の奮闘を見守っていた。
タグ:ナイフエッジデスマッチ
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