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二章 幻の大地溝帯の町(フォッサマグナ)
018 雨の日は、ア〇ンストラッシュとが〇つ
しおりを挟む「すごかったねー。ワタルのお兄さん!」
リーシャがそういうと、ワタルもニコニコと笑顔で「そうだね。」と笑った。
「僕も、早く兄さんに追いつかないとな。」
「あれ、そういえばいつの間にか兄貴から、兄さんに呼び方が変わってる!」
「まぁ…、ちょっと尊敬の気持ちを込めてね。」
少し気恥ずかしそうに、勇者ワタルは笑った。
町長に事の次第を伝えると、「ごくろうさまでした!ゆっくり休んでからご出発なさってください。」とねぎらってくれた。
幻の大地溝帯の町を旅立つ前日、銅の剣を逆手にもつ勇者ワタルの姿があった。
「何してんの?」
リーシャに後ろから突然声をかけられ、ワタルは「あわわっ…。」と恥ずかしそうに銅の剣を隠した。
「あっ…いや、ちょっとね…。必殺技の練習だよ。」
「ふーん。どんな技練習してるの?」
「兄さんのやった技も真似してるけれど、なかなかうまくいかなくてさ。」
いくら「ア〇ンストラッシュ!!」と叫び、逆手で剣を振るっても、先日に見た勇者ヤマトのように、眩い光とすごい威力の必殺技が出ることはなかった。
「違う技も挑戦してみたら?」
「えっ…例えば?」
「無双残〇花とか、覇王翔〇拳とかどう?」
「なんで格ゲーの技ばっかりなの…。」
「まぁまぁ、そのうち覚えるんじゃない?」
「いや、勇者たるもの、努力して必殺技を習得するって大事なことだよ!リーシャも一緒にやろうよ。」
「えっ…、もう、わかったわよ。」
勇者ワタルと、リーシャの「ア〇ンストラッシュッッ!!!!」と叫ぶ声が、美しい青空にいつまでも響いていた。
タグ:覇王翔吼拳
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