不遇ステータス《魅力》に極降りした結果、《姫》になりました

俊郎

文字の大きさ
上 下
25 / 38

23 やべーやつらと顔合わせ

しおりを挟む

 レンとペア狩りをした後、お茶を飲みながら話をしていた。
 そこで愛すべきヤベー奴らの話になり、紹介することを約束した。
 そして丁度リリィがログインしたことで全員揃ったので、連絡をとって全員集合してもらうことに。

「お待たせしましたお姉様!」

 一番に来たのはリリィだ。
 ログインした直後だった筈だが、逆に何もしていなかった訳で、すぐさまここに来られたんだろう。
 いつものちょっとエロいシスター服から見える太ももが、大変良い。

「へぁ!? お、おお、お姉様、そ、そのドレスは!?」

「新しい装備を手に入れたんですよ。どうですか?」

「あぁ、お姉様の姫度プリンセスゲージが天の彼方へ伸びてるわ……! 素敵です、とても素敵ですお姉様!」

「あ、ありがとうございます」

 気付いて褒めてくれるのは嬉しいが、テンションが高すぎて怖い。
 控えめに言って超ビビる。
 更に言えば、女子と接近する機会なんてなかったので迫られるとドキドキしてしまう。

 ここは席を詰める振りでちょっと逃げる。

「どうぞ、座ってください。こちらは私のお友達のレンさんです。魔法使いさんですよ」

 リリィを隣に促して、正面に座るレンを紹介する。
 レンは軽く頭を下げた後、笑顔を浮かべた。

「はじめまして。僕はレン。姫ちゃんが紹介してくれた通り魔法使いだよ。火力特化でかなり不器用だけど、よろしくね」

「ふぅん? 私はリリィよ。私よりも先にお姉様と知り合ったからと言って、調子に乗らないように。お姉様の可愛さは、順番に縛られるほどちっぽけなものじゃないんだから」

「うん、そうだね」

「あら、素直ね。でも確かに、お姉様と巡り合えた運命という意味では、私達は同じ星の元にあるのかもしれないわ。よろしく」

「はは、ありがとう」

 すごい、流石はレンだ。
 リリィの謎テンションをサラッと受け止めた。
 そのせいかは分からないがリリィが謎の意気投合を見せた。
 何がどうなってるのかさっぱりだ。

 まずは一人目との顔合わせが終わった。
 一番灰汁の強いリリィと何も問題が起きなかったんだし、もう大丈夫だろう。
 ホッと一安心だ。

「お待たせでござる! ちょっとソロで狩りに行っていたもので、戻るのに時間がかかったでござる!」

 それからすぐにやってきたのは、サンゾウだ。
 レンの隣が空いているが、隣に座るなら先に紹介した方が気まずくないだろう。

「お疲れ様です。こちら、私の友達のレンさんです。魔法使いさんですよ」

 俺の言葉にレンは軽く頭を下げて、先程と同じように自己紹介を行う。
 やはり爽やかな笑顔を浮かべていて、王子様感がやばい。
 ワガママ王子じゃなくて、性格が滅茶苦茶良いという意味も含む王子様だ。
 同じ男として嫉妬してしまう。
 今の俺は姫だけど。

「これはこれは、ご丁寧にどうもでござる。拙者、姫に仕えるサンゾウと申す者にござる。以後お見知りおきを、でござる」

 サンゾウが更ににこやかに返してレンの隣へ。
 相変わらず口元だけを布で隠したギャングスタイルだが、彼は忍者だ。
 ござるって言ってるし間違いない。

「ところで姫、装備が変わったでござるな。美しくも可憐なドレスでござる」

美可憐うつかれんね」

「しかり。美可憐でござるな」

「ありがとうございます……?」

 サンゾウがドレスを褒めてくれた。
 が、リリィが挟まったお陰で若干変になった。
 特に誰も突っ込まないけど、うつかれんって何だろう。

 それから更に五分程後、最後に現れたのは鬼コンビ。
 青い方がダイナで、赤い方がダリラガン。
 二人とも身長が高くムッキムキだ。

「こんばんは。お待たせしてすみません、姫様」

「おっす。すまん姫さん、狩りに行ってたからちぃっと遅くなっちまった」
 
「こんばんは。私の方こそ、急にお呼び出ししてすみません」

「いえ、相手してもらえるのは有難いです」

「全くな。オレもこいつも喜んで飛んで来んぜ!」

「ありがとうございます。あ、こちらは私のお友達のレンさんです。魔法使いさんですよ」

 挨拶が済んだところで、レンを紹介する。
 三回目だっていうのに相変わらずの笑顔で挨拶をする辺り、レンはすごい。
 コミュニケーション能力が俺よりも遙かに高い気がする。
 可愛い女の子の皮を被ってなければ、今の状態ですら俺はきついのに。

「僕はダイナです。よろしくお願いします」

「オレぁダリラガンだ。よろしく頼むぜ!」

 互いに挨拶を終えたところで、とりあえず着席となった。
 六人掛けの席なので余裕はある。
 四人が奥にずれて、鬼コンビが片側に一人ずつ収まる形だ。

 リリィが微妙に嫌そうな顔をしてるのが面白い。
 ごめんなさい、反対側も真の姿はおじさんです。

 そんな不服そうな顔をしていたリリィが、何かに気付いたように声を挙げた。

「ちょっとあんたたち、お姉様を見て何か言うことはないの?」

「え?」

 俺?
 唐突過ぎて予想外だ。
 びっくりして間抜けな声を出しちゃったぞ。

 話題を振られた鬼コンビも困惑して見える。

「姫様を、ですか?」

「こんばんは?」

「馬鹿ですね、挨拶ならさっきしたじゃないですか」

「おお、確かに」

「正解はこうですよ。ご機嫌麗しゅう、今日もお美しいですね」

「なるほど、そっちだったかぁ!」

 二人は楽しげに笑いあう。
 しかし、リリィは全く納得していない。
 むしろ般若みたいな顔へと変化していっている。
 こわい。

「どっちも違うわよ!」

「そんな馬鹿な……!」

「んじゃあどっちだ? あっちか? そっちか?」

「何を指してるかさっぱり分からないけど断言するわね。全部違う!」

「マジかよ……!」

 リリィと鬼コンビの会話がテンションアップしていってる。
 なんだろうこれ、漫才か何かかな。

「あんた達、お姉様の服が変わってるのに気付かないわけ?」
 
「そう言われると、心なしか前よりもふわっとしているような気がしますね……?」

「ああ。確かに、ふんわり感が増してやがるぜ」

「お姉様はタオルじゃないのよ? っていうか、シルエットが全然違うじゃないの。逆によく気付かなかったわね。脳味噌まで筋肉になっちゃったんじゃないの?」

「いやぁはは、脳味噌まで筋肉になっただなんてそんな、照れてしまいます」

「そうか、はっは! オレもここまで来ちまったか!」

「え、脳味噌が筋肉なのは褒め言葉なの……? もしかして脳味噌まで筋肉にしようとしてるの?」

 リリィの顔が怒りから呆れ、そして困惑へと変わった。
 鬼コンビ強し。
 流石のリリィもたじたじだ。
 
「あはは、みんな面白い人達だね」

「そう言ってもらえると有難いです」

「しかり。姫の変化を見過ごすとは、従者として恥ずかしい姿を見せてしまったでござる」

 そういう意味じゃない。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~

海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。 再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた― これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。 史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。 不定期更新です。 SFとなっていますが、歴史物です。 小説家になろうでも掲載しています。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

TS転移勇者、隣国で冒険者として生きていく~召喚されて早々、ニセ勇者と罵られ王国に処分されそうになった俺。実は最強のチートスキル持ちだった~

夏芽空
ファンタジー
しがないサラリーマンをしていたユウリは、勇者として異世界に召喚された。 そんなユウリに対し、召喚元の国王はこう言ったのだ――『ニセ勇者』と。 召喚された勇者は通常、大いなる力を持つとされている。 だが、ユウリが所持していたスキルは初級魔法である【ファイアボール】、そして、【勇者覚醒】という効果の分からないスキルのみだった。 多大な準備を費やして召喚した勇者が役立たずだったことに大きく憤慨した国王は、ユウリを殺処分しようとする。 それを知ったユウリは逃亡。 しかし、追手に見つかり殺されそうになってしまう。 そのとき、【勇者覚醒】の効果が発動した。 【勇者覚醒】の効果は、全てのステータスを極限レベルまで引き上げるという、とんでもないチートスキルだった。 チートスキルによって追手を処理したユウリは、他国へ潜伏。 その地で、冒険者として生きていくことを決めたのだった。 ※TS要素があります(主人公)

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...