ゲームで第二の人生を!~最強?チート?ユニークスキル無双で【最強の相棒】と一緒にのんびりまったりハチャメチャライフ!?~

俊郎

文字の大きさ
216 / 338

208 専用装備とまだ見ぬ職人

しおりを挟む

 畑が夕焼けに染まる。
 微妙に生えてきている雑草みたいな結晶体や、巨大なイカの足が赤く輝いている。
 もうすっかり夕方だ。

 葵の修行は順調だ。
 ≪オレンジ細マッチョ≫が延々と付き合ってくれるお陰で、かなり技量が上がったと思う。
 昨日に比べたら剣の扱いがかなり綺麗になっている。
 素人の俺が見ても分かるくらい違う。

 オレンジ細マッチョの指導は、ひたすら実戦あるのみだ。
 葵の剣を防ぎ、捌き、いなし、受ける。
 葵に隙があれば、すかさず打ち込む。
 葵は細マッチョの攻撃を受けないようにしつつ、有効打を打ち込めるようにひたすら努力する。

 理論派というよりは直感型っぽい葵には合ってるんじゃないだろうか。
 実際上達してるしな。

 ゲームの世界といえど、実際に体を動かすこの世界ではプレイヤースキルの依存度は高い。
 いくらステータスが高くても、武器を振って当てるのはステータスではない。
 武器を持つ腕であり、それを動かす脳であり、意思だ。
 その意思は技術から紐付けられる以上、レベルとステータスを上げることだけが、強くなる方法ではない筈だ。

 アホみたいなステータスの俺が言えることじゃないんだけどね。
 ゲームである以上、これはこれで強いのは間違いない。

 修行を終えて、我が家へ帰った。
 帰宅した後は、各自が好きなタイミングでお風呂へ入る。
 世界観を無視してお風呂が設置してあるのは、プレイヤーへの配慮だろう。
 実際には汗もかかないし、汚れもしないけど、お風呂が好きな人は多いだろうからな。

 俺も、一人で入れるお風呂は好きだ。
 昔は全然楽しくなかったし、苦痛な時間だったけど、今は楽しいし気持ちいい。
 出来るだけ毎日入ることにしている。

 和気藹々とした夕食を済ませた後は、お出かけだ。
 
 モグラとメッセージでやり取りをして、今夜会う約束をしたからだ。
 明日PKの討伐に向かうモグラ達を見送る会だ。

 モグラはそんなに大げさな話じゃないと言っていたが、どうしてもと頼み込んだ。
 俺には出来ないことをするモグラを、ただ見てるだけなのは嫌だったからな。

 それに、葵の育成の途中経過もしっかり伝えておきたい。
 メッセージだけだとボリュームがすごいことになる。

「それじゃあいってきます」
「いってらっしゃい。気をつけてくださいね」
「タマがいるからだいじょーぶ!」
「お願いね。葵ちゃんは変な人に狙われやすいみたいだから」
「らじゃー! いってきまーす!」
「いってきます……!」
「いってらっしゃい」

 おろし金の背に乗ってストーレの街へ。
 暗いが、おろし金にとってはなんでもないようだ。
 すぐに街の上空へと到達。
 城の訓練場へと降り立った。

 待ち合わせの時間には少し早い。
 勿論わざとだ。

「これからいつもお世話になってる職人さんのところに行くけど、マッスル☆タケダさんって知ってる?」
「何度か会ったこと、あるよ」
「そっか、なら大丈夫かな」

 ≪マッスル☆タケダ≫はその名の通り筋肉ムキムキで厳ついからな。
 葵が怯えるかもと思ったが、会ったことあるなら大丈夫か。

「こんばんは」
「こんばんまっする!」
「こんばんは……!」
「いらっしゃい、ってナガマサさん達か。こんばんマッスル! 葵ちゃんも、久しぶりだな。元気してたか?」
「うん……」
「そうかそうか、なら良し。んで、今日はどうしたんだ?」
「ちょっと面白い素材を手に入れたもので。これで何か武器を作ってもらえないかなと」

 取り出すのは勿論あれだ。
 筋肉の島フルーツアイランドで手に入れた素材。
 ≪筋肉の塊≫と≪筋肉の欠片≫の二つ。

 そして畑にモリモリ生えてくる雑草のような結晶体、≪雑晶≫。

「お、おおお! これは、なんだこれは!? みなぎる熱いマッスルを感じるぞ!」
「筋肉まみれの島で拾いました」
「なんだその楽園は! そんな場所があったのか!」

 俺たちにとっては地獄絵図だったよ。

「まっするいっぱいだった!」
「おおおおお!! 俺も行きたいぜ! 今度連れて行ってくれないか!」

 タケダは≪筋肉の塊≫を持って大興奮だ。
 テンションがやばい。
 なんとか落ち着いたところを見計らって雑晶を見せる。
 
「こっちは、ふむ、石か?」
「そんな感じですね。いっぱい取れるので武器にならないかなと。硬そうですし」
「なるほど。こっちは凝縮された鋼のようなマッスルを感じる。相性は良さそうだ」
「ではお願いします」
「任せとけ。今日はこっちに泊まるのか? 朝までには仕上がるぞ。今すぐにでも作業にかかりたいくらいだからな」
「一旦家に帰りますけど、明日の朝取りに来ますよ」

 葵の修行や畑仕事のことがあるし、今日は用事が済んだら家に帰る。

「分かった。楽しみにしてろよ」
「はい。あ、それともう一つ相談が」
「なんだ?」

 タケダに耳を貸してほしいとジェスチャーで伝える。
 ここからは葵には内緒だ。

「葵ちゃんの育成期間が終わったときに、何か装備をあげたいんですよ。役に立ちそうなのを作ってもらえませんか?」
「なるほどな。……あの子の職業(ジョブ)なんだが、≪魔導機械士(マジックギアウォーリア)≫じゃないか?」
「はい。どうかしました?」
「あー、あの職業はいろいろ特殊でな。装備も専用のものの方がいい。だが、俺はそっちの技術は習得してなくてな。普通の装備で良ければいくらでも作ってやるが、どうする?」
「うーん」

 これまでずっとタケダにお願いしていたから、不得手があるとは思わなかった。
 俺やタマは職業的な縛りはなかったからだな、多分。
 葵はあの剣にすごい拘ってるし、どうせなら活かせる装備がいい。
 
「せっかくだし、専用装備がいいですかね……」
「だろうな。そういうことなら、すまんが他をあたるしかない」
「いえいえ、気にしないでください。専門の職人さんを捜してみます」
「おう。数は少ないが、必ずいるからな。俺の方でも知ってる奴がいないか声をかけてみる」

 ≪魔導機械≫は特殊な技術が使われるとかで、それを作ることが出来る職業も限られるそうだ。
 俺の職業である≪創造者≫のスキルの中にも無かった。

 ということは、タマが葵にプレゼントしたあの謎の素材。
 あれも、職人を見つけないと無駄になってしまう。
 預かる期間はあと四日。
 どうにかして捜すしかない。

しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

処理中です...