140 / 338
133 拠点決定と家具探し
しおりを挟む――はっ!?
俺はいつの間に契約を?
……仕方ない。
だって畑仕事をしてみたかったんだ。
ミルキーも納得してくれてるみたいだし、せっかく買ったんだから楽しもう。
この村はMAPで言うとストーレの街から西に三つ、南に一つ移動したところにある村だ。
徒歩で移動するとなると少し遠い。
だけどその点はすぐに解決した。
まず一つ、ストーレの街に行くだけならおろし金に乗るか空を走ればすぐに着く。
もし面倒だったり気分が乗らない時は、村にある教会の神父様にお願いしたらストーレの街へ飛ばしてもらえるとのことだ。
一回500c。
帰りもストーレの教会から移動出来る。
唯一の懸念だったストーレの街との距離が解決すれば、もう何も問題はない。
しばらくは拠点を快適なものに出来るように色々揃えていきながら、生活を楽しもう。
「ミゼル様、ありがとうございました。まさかこんなにすぐ拠点が決まるとは思ってなかったです」
「いいえ、気に入って頂けたようで良かったです」
「出汁巻さんもありがとうございました」
「お役に立てて良かったっす」
よく考えたら、今日は下見だけのつもりだったんだよなぁ。
つい衝動に突き動かされたとはいっても話が高速展開だった。
話を持ってきてくれたミゼルと、この物件を探してくれた出汁巻玉子には感謝だな。
「私はそろそろ戻りますが、ナガマサ様達はどうされますか? ストーレへお戻りになるようでしたらお送りいたしますわ」
ミゼルの好意に甘えて一度ストーレへ戻ることにした。
拠点を好きに弄るにしても、色々準備がいるからな。
話が急すぎて何も用意していない。
後は、他の物件を探してくれているらしいパシオンにも拠点が決まったことを話しておかないとだ。
城へ戻った俺達はミゼルと出汁巻に別れの挨拶をして、パシオンの下へ向かった。
丁度外から戻ったところだったようだ。
今朝言ってた通り物件を探してくれていたらしい。
ちょっと申し訳なかったけど、拠点が決まった事を伝えた。
「ふむ、そうか。バーリルにな。ここからだと距離があるが、どこで見つけてきたのだ?」
「えーっと、出汁巻さんが紹介してくれたんですよ」
「ミもごもごもご」
「そうなんですよ!」
「そうか、副団長がな。おろし金がいる貴様らなら、距離は問題ではないか」
パシオンは俺の説明で納得してくれたようだ。
ミゼルの名前を出そうとしたタマの口はミルキーが沈黙(物理)を掛けてくれている。有難い。
何故ミゼルの名前を出さなかったかと言うと、そうお願いされたからだ。
理由はよく分からないが、パシオンに気を遣ったんだろうか。
そのくらいなら御安い御用ということで、こうして内緒にした。
「これから色々見に行くところです。しばらくは拠点の方に専念すると思います」
「うむ。距離はあるが、騎士団に転移スキルが使える騎士もいる。用事があれば使いの者を行かせるからな」
「はい、分かりました」
「拠点として完成したら招待するが良い。それではな」
城を出た後は買い物タイムだ。
買ったばかりのあの家の中には家具も含めて何も無かった。
目的も無く露店を巡るのも楽しいが、目当ての物を探してお店を周るのも楽しい。
露店はリアルタイムで入れ替わる上に、売ってる物も様々なものが入り乱れてる。
家具が売ってる露店を探すのは大変だと言う事で、街の中にある家具のお店を出汁巻に教えてもらってあるからスムーズに周れた。
「見てくださいナガマサさん、これ、良い木使ってるみたいですよ」
「ほんとだねー」
「木だよモジャモジャ!」
「木だねー」
家具のデザインや何かは、ミルキーのセンスに任せた。
俺もタマも家具の良し悪しが分からないからな。
使えればなんでも良いし、それなら選んでもらった方が良いと思った。
ミルキーはご機嫌な様子でどんどん選んでいった。
予算はそんなに余ってないのもあって、一度店を全て周って値段とデザイン、機能性の全てを見比べる程に気合いも入っている。
ただお買いものするだけでも本当に楽しい。
「いっぱい買っちゃいましたね。次は小物や食器を買いましょう! お部屋を好きに模様替えするのが楽しみです!」
「そうだね。露店でいいものあるかなぁ」
「探すぞー!」
リビングに置くテーブルや椅子の他に、俺とミルキーの個室に置くベッド等の家具を見繕った。
結局予算がオーバーしそうだったからなんとかお願いして、予約をさせてもらった。
今日か明日で稼いで、お金を用意しておかないといけない。
家具の次はミルキーの言う通り小物と食器だ。
家具と同じようにNPCのお店でも良いが、せっかくだからちょっと良い品質のものにしようという話になったから露店を見る予定だ。
出来れば生産職のプレイヤーが作ったものが良いと、ミルキーが張り切っている。
せっかくの拠点作りだ、納得がいくものを用意したい。
食器や小物を作ってるプレイヤーは多くはないみたいだが、これだけの露店を探せば結構見つかった。
作った本人の露店もあれば、職人から降ろして売っている露店もある。
途中で完全に資金が足りなくなって、取っておいた素材をマッスル☆タケダに買い取ってもらって工面したのはご愛嬌ということで。
お陰で予約していた家具も、今日の内に買うことが出来た。
0
お気に入りに追加
1,182
あなたにおすすめの小説
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
バイクごと異世界に転移したので美人店主と宅配弁当屋はじめました
福山陽士
ファンタジー
弁当屋でバイトをしていた大鳳正義《おおほうまさよし》は、突然宅配バイクごと異世界に転移してしまった。
現代日本とは何もかも違う世界に途方に暮れていた、その時。
「君、どうしたの?」
親切な女性、カルディナに助けてもらう。
カルディナは立地が悪すぎて今にも潰れそうになっている、定食屋の店主だった。
正義は助けてもらったお礼に「宅配をすればどう?」と提案。
カルディナの親友、魔法使いのララーベリントと共に店の再建に励むこととなったのだった。
『温かい料理を運ぶ』という概念がない世界で、みんなに美味しい料理を届けていく話。
※のんびり進行です
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
異世界転移したので、のんびり楽しみます。
ゆーふー
ファンタジー
信号無視した車に轢かれ、命を落としたことをきっかけに異世界に転移することに。異世界で長生きするために主人公が望んだのは、「のんびり過ごせる力」
主人公は神様に貰った力でのんびり平和に長生きできるのか。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる