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122 強化と盾ゴーレム
しおりを挟むこれで新しい依頼は終わった。と思う。
結構忘れっぽいから他に何かあってもおかしくはない。
あったとしても多分急ぎの依頼ではないだろうし、思い出した時でいいだろう。
のんびりいこう。
「それじゃあ装備の受け渡しだな。中々の出来だと思うぜ」
「見させてもらいますね」
≪積雲のレザージャケット≫
防具:服 レア度:S- 品質:C
Def:218 Mdef:157
空に浮かぶ雲のような色合いをしたレザージャケット。
古の大海魔の皮を加工して作られたもので、魔法への抵抗力が高い。
また、内側に仕込まれた結晶体が装備者の魔力を高め、操作を円滑にする能力を持つ。
Matk+100
最大SP+5%
スキルディレイ-20%
魔法発動時、一定確率で15秒間Matk+100、Mdef+100
おお、いい感じの色合いだ。
なんて言えばいいのか難しいところだが、乳白色?
白寄りのグレーってところか。
裾の長さは少し長い。
太ももの付け根くらいだ。
胸ポケットなんかもついているし、厳つくてかっこいい。
男らしさに溢れた装備だ。
皮鎧を装備した上から着て、前を開けておくのが冒険者っぽくて良さそうだな。
「どうだ?」
「いいですね、かっこいいです。レザージャケットって着たことないんですよ」
「そうか、気に入ったみたいで良かったぜ。」
「かっこいいモジャー!」
「かっこいい装備ですね。早速着てみたらどうでしょう?」
「そりゃいいな。着心地も確かめてみてくれ」
「では」
積雲のレザージャケットをべた褒めしていると、タマやミルキーも同意してくれた。
早速着てみたらどうかと言われたので着てみよう。
受け取りに来たわけだし着ちゃってもいいよな。余りにもかっこいいから失念してた。
というかこれ、俺が着るのか。
服がかっこよすぎて似合う気がしない。男らしさとか無縁だし。
でも着る。
自分で制作を依頼しておいて着ないなんて選択肢はない。
相当壊滅的なデザインなら考えるけど、滅茶苦茶かっこいいしな。
さすが職人、マッスル☆タケダだ。
かっこよすぎて着るのをためらうレベルだ。
だが着る。
持っていた装備にそのまま腕を通す。
本来なら皮鎧の上から着るが、大した違いじゃない。
「ど、どうかな? やっぱり似合ってる気がしないけど」
「そんなことないぞ。ばっちりきまってるじゃないか」
「はい、よく似合ってますよ」
「モジャマサかっこいいよ!」
「ありがとうございます。ミルキーとタマもありがとう」
着てみると、みんなは褒めてくれた。
だけどやっぱり自分では似合ってる気がしないな。
男らしさが足りない。
似合う男になれるように頑張るしかないな。
……この世界の中で外見って変わるんだろうか。
これで、今日のところはタケダへの用事は終わった。
みんなで夕食を食べた後、俺達は早めに解散して明日に備えてゆっくり休むことにした。
さっきタケダに預けた装備は最優先で仕上げて、明日の朝一で渡してくれるそうだ。
仕事が早くて助かる。
次の日、俺はミルキーと合流した後、タケダの露店へと再びやってきた。
「おはようございます」
「おはまっする!」
「おはです」
「おはよう、待ってたぜ。おはマッスル!」
朝から二人は元気だ。
俺もミルキーも朝はそこまで苦手じゃないけど、二人程ハイテンションというわけでもない。
特にタマはいつでも元気一杯だから、俺が寝起きの時なんかは温度差が酷い。
「預かってた装備だ。この剣と鎧なんだが、普通はある筈の素材の制限なんかも無くて、まるで素材を食っちまうみたいに強化されてたぞ」
「特殊な装備に進化したみたいですからね」
装備を受け取ってそのまま装備する。
性能も見ておこうか。
≪結晶剣エボリュート☆≫
武器/片手剣 レア度:A+ 品質:D-
Atk:372 Matk:261
コインの持つ魔力によって変質した剣。
際限なく強化と進化を遂げていくと恐れられる魔剣でもある。
強化に用いられた素材によって様々な特性を会得する。
Mdef+50
スキル:≪捕食進化≫
見た目は、刀身の部分が結晶のようだ。
少しボロっちい感じが残ってるが、性能はかなり上がっている。
≪暗黒結晶鱗鎧エボリュート☆≫
防具/鎧 レア度:S- 品質:D+
Def:589 Mdef:353
コインの持つ魔力によって変質した皮鎧。
際限なく強化と進化を遂げていくと恐れられる魔鎧でもある。
強化に用いられた素材によって様々な特性を会得する。
Atk+100
Mdef+100
HP+5%
物理攻撃耐性+30%
魔法攻撃耐性+30%
闇属性攻撃で与えるダメージ+30%
光属性モンスターへ与えるダメージ+30%
スキル:≪捕食進化≫
こっちは素の性能もかなり高いけど効果も盛り沢山だ。
やっぱり魔王の素材が効いてるのかな。品質やレア度が剣を越えてるし。
「あとは例の盾もきっちり仕上がったぞ」
「おお、どうですか、出来は」
「それは自分の目で確かめてみてくれ」
タケダが取り出したのは盾。
俺が預けた小盾をベースに改造を施した物だ。
以前の小盾よりも一回り以上大きくなっていて、裏側の中心部に結晶のようなものがはまっている。
≪太古結晶暗黒盾ゴーレム≫
武器/盾/ゴーレム レア度:A 品質:B-
Def:352 Mdef:482
盾の形をした小型のゴーレム。装備品として使用出来るが、ゴーレムなので簡単な命令を与えれば自動で行動することも可能。
更に、装備者の魔力によって遠隔操作も行う事が出来る。
遠隔操作時、自律行動時の速度は装備者のIntとDexに依存する。
スキル:≪自律行動≫≪遠隔操作≫≪浮遊≫≪飛翔≫
効果はこの通り。
目玉としては、≪ゴーレム結晶≫を組み込んだおかげでゴーレムと化した。
持っていなくても俺の周りを漂わせて防御したり、飛ばして他の人を守ることも出来る。
素材が元々持っていた効果はスキルに変換されたようだけど十分強いし、こっちの方が便利だ。
「ありがとうございます、完璧ですよ!」
「そりゃあ良かった。中々苦労したからな、また使い心地を教えてくれ」
「了解です」
きちんと装備して、タケダに代金の精算をお願いした。
素材を全部渡して余った分を買い取りにしていたので、防具の作成費用を引いてもいくらか返ってきた。
ボスの素材を高く買ってくれるプレイヤーが増えてきたそうだ。
景気が良くて何よりだな。
タケダとの取引を終えた俺達は、モグラとゴロウとの待ち合わせ場所へ向かった。
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