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99 輝きの大空洞01と隠し通路
しおりを挟む≪輝きの大空洞≫の入り口がある≪ストーレ山脈05≫へやって来た。
ダンジョンの側まで行ってしまおうと思っていたが、気になる物を見つけてしまった。
「おろし金、このまま下に降りてもらっていいか?」
「キュルル」
「どうしたんですか?」
「何か光ったような気がして」
以前このエリアに来た時は≪ストーンマン≫と≪ロックゴーレム≫という、まさに石と岩しかいなかった。
光るようなものも無かったし、前回出会わなかったモンスターかもしれないと思ったわけだ。
俺の予想は当たったらしく、≪ロックゴーレム≫を一回り大きくして水晶で作りました、みたいなモンスターがそこにいた。
表示された名前は≪クリスタルゴーレム≫。
そのまんまだな。
おろし金がクリスタルゴーレムに向かい合うように地上に降りた。
どっちが前だ?
クリスタルゴーレムは、ゆっくりとこっちをふり向くように180°反転した。
俺達が向かい合ったのは背中だったらしい。
分かるか!
「うおー!」
早速とばかりにタマが飛び掛かって行く。
≪クリスタルゴーレム≫は他の2種よりも強いようだ。
表示されるダメージが少しだけ低くなっている。
タマの敵じゃないのは一緒だけどな。
「タマすらーっしゅ!」
タマが腕を振りぬいたのに合わせて、クリスタルゴーレムの胴体に斜めの直線が奔る。
そこから真っ二つになったクリスタルゴーレムは崩れ落ちて消えていった。
昨日からタマは必殺技にはまっているらしく、単体の少し強そうなモンスターが出ると技名付きで強力な技を叩き込んでいる。
多分≪無刀両断≫だと思うけど、間違いなくオーバーキルだ。
タマが楽しいならそれでいいけどな。
ドロップアイテムは≪ゴーレム水晶≫。
掌サイズのキラキラしてる水晶だけど、魔力を通しやすい性質の核らしい。
何かの素材に使えそうだ。
せっかく地上に降りたしということで、歩いてダンジョンの入り口を目指す。
寄ってくるストーンマンとロックゴーレムは木端微塵だ。
クリスタルゴーレムはその後出会わなかったから、このエリアにいる数は少なそうだ。
もしかしたら時間沸きが一匹だけとか、そんな感じかもしれない。
無事に輝きの大空洞の入り口に到着した。
そのまま中へと進んでいく。
≪輝きの大空洞≫の中は相変わらずで、光る水晶があちこちに生えていて照明いらずだ。
02や03に比べると数が少ないのか少しだけ薄暗いけどな。
前回このダンジョンに来た時は穴を落ちてきたせいで、02から探索をした。
一層目からは今日が初めてだから、どんなモンスターがいるのか楽しみだな。
傾向的に石とか鉱物が出てきてもおかしくないと思うんだけど。
「一層目はどんなモンスターがいるかな」
「やっぱり石とかに関係したモンスターですかね」
「俺もそう思う」
「とにかく砕くぞー!」
「キュルル」
「モジャモジャモジャージャモジャジャー」
タマはいつも通りご機嫌だ。
カナヘビモードのおろし金に乗って変な歌を歌っている。
少し進むと、人魂のようなものが三つくらい飛んできた。
よく見るとそれは、何かの鉱石みたいなものを炎のようなオーラが覆っている感じだ。
名前は≪銀幽霊(シルバーゴースト)≫。
このダンジョンで死んだ人の魂が、銀鉱石にでも乗り移ったのか?
こいつの攻撃方法は単純だった。
無数の礫を飛ばしながら接近してきて、近くまで来たら体当たり。
しかもその時にSPを吸うようだ。
一匹は俺の剣で切り裂かれ、一匹はタマの結晶の剣で砕かれ、一匹はおろし金に噛み砕かれていた。
攻撃を食らってみたけどそんなに痛くない。
SPを吸われたのはびっくりしたけど、それだけだった。
ドロップアイテムは≪魂の残滓≫という砂のようなものだった。
素材に使えるんだろうか。
あと今回は落とさなかったけど、銀鉱石を落としそうな気がする。
どんどん狩ろう。
一層には他に≪クリスタルゴブリン≫、≪クリスタルスネーク≫といった水晶で覆われたモンスターも生息していた。
ドロップアイテムは≪水晶の欠片≫や≪水晶骨≫など、共通しているものが多かった。
あとは≪コイン:銀幽霊≫を拾った。
効果は鉱物系のモンスターを倒した時にSP5回復するというものだった。
俺達には必要ないけど、売れば誰かが欲しがるかもしれない。
売れなかったらいつも通りおろし金に食べさせよう。
一層は物理攻撃が主体のモンスターばかりのようだ。
二層と違って、魔法攻撃をしてくる奴は今のところいない。
なんて思っていたら、少し強そうなのが現れた。
壁際に佇んでいて、ある程度近づいても構えるだけで向かってはこない。
多分もう少し近づいたら襲ってくるんだろう。
表示されている名前は≪クリスタルナイト≫。
文字通り水晶で出来た騎士のような、立派な騎士甲冑だ。
向こう側が薄ら透けてるから中身までぎっちり水晶なんだと思う。
ミルキーによればHPは5万程。
さっきのゴブリンや蛇と比べるとかなり多い。
構える動作も早いし、攻撃力も高そうだ。
「タマどらごんばーすとそーど!」
クリスタルナイトはタマの必殺技を受けて溶けた。
文字通り一瞬だ。
六色の竜を束ねた極太のビームみたいな剣の一撃はかなりの威力だ。
あんなの当たったら死んでしまう。
「あれ?」
「どうしたんですか?」
「あんなところに通路なんてあったっけ」
「……あれ? 私は気付きませんでしたね」
クリスタルナイトを蒸発させたタマの一撃が着弾した場所に、穴が空いている。
それはタマの攻撃で空いたというよりは、『隠してあった通路がタマの攻撃で露出した』ように見える。
ミルキーも気付かなかったらしい。
どうしよう、行ってみるか?
今回の目的は二層で≪ジュエルマン(緑)≫から緑色の宝石をゲットすることと、三層で烏賊の素材集めとレベル上げだ。
だけど、だけど気になる。
「私はいいですよ」
「タマも行ってみたい!」
「キュルル」
チラっと見た時点で返事が来た。
聞く前に答えが返ってくるなんてみんな超能力者みたいだな!
でもせっかくだからお言葉に甘えさせてもらおう。
目についた横道に突っ込んでみるのも、探索の面白さに違いない。
一体何があるのかな。
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