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女神の帰還

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「え?木崎の体の一部が足りない?本当ですかお姉様?」

女神ラケシスが、その美しい顔をちに染めながら、女神クロートーからのテレパシーに答える。

「~~~・・・!!!」

隙ありと言ったように、木崎がラケシスの首元を狙って噛み付こうとする。だか、ラケシスはそれをあっさりと躱し、木崎の顎を吹き飛ばす。だが、すぐに再生する様を見てラケシスは溜息を着く。

「こんな直ぐにくっついて再生する奴の一部をどうやって取れと?と言うよりも、ここで私が離れたら五分経たずにこの森無くなりますよ?」

そんなことを言いながら一方的に木崎を殴り倒す女神ラケシス。

「というか、美結さんのポケット見てください。そこに木崎の血が着いたハンカチがあるはずですから!」

そんなラケシスの言葉に、テレパシーの相手方である女神クロートーたちの方から慌てるような声が聞こえてくる。どうやら何があったらしい。

「じゃあよろしくお願いします。私の方もあまり時間は無いので。」

女神ラケシスはそう言ってテレパシーを切った。

自らの体がうっすらと透けてきているのを見る。どうやら向こうの世界に帰る時間が近づいてきているらしい。

「さて、最後の仕上げと行きますか。」

戦いは終わりを迎えようとしていた。

・・・・・

・・・

「どうして木崎の血の付いたハンカチ持っていたの忘れていたのですか……」

「分かっていたらこのように慌てることもなかったのに……」

と、クロートーさんとアトロポスさんに言われる私。

いや、仕方ないでしょ!氷室の腕を治療した時に使ったハンカチに木崎の血が付いていたなんて分かるわけないでしょ!

「まあいいです。早速始めますよアトロポス。」

「分かりました。姉様。」

そう言って2人は私の血の着いたハンカチから1本の糸を紡ぎ出す。出てきた糸は2本で、1本は氷のような水色の糸。もう一本は血のように赤黒い糸。

クロートーさんは迷わず赤黒い糸を掴むと、先程木崎の髪の毛から作り出した糸に編み込むように、2本の糸を1本の糸に纏めた。

「これで、暴走は抑えられそうです。」

「ですが、抑える程度です。根本的に木崎の力を解決するには本人から直接運命を操作するしかありません。」

「ですので、はやく木崎をふん縛って来てください。」

「そうすれば、あとは私たちで何とかするので。」

クロートーさんとアトロポスさんが交互に話す。そして、話終わった瞬間、急に2人の体が透け始めた。

「あら、そろそろ時間のようですね」

「では美結様、木崎のことはくれぐれも頼みましたよ。」

「分かりました!」

私がそう言った瞬間、2人の女神は跡形もなく消えていた。
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