上 下
173 / 186

勝負は終われど決着は付かず

しおりを挟む
私が幼女(妖精)と木崎の死闘を見続けてかなりの時間が経った。だが、未だに決着は付いていない。

「~~―――・・・!!!!」

木崎が咆吼し、幼女(妖精)に組み付く。だが、幼女(妖精)は一切慌てること無く木崎を投げ飛ばし、地面へとたたきつける。木崎が地面にたたきつけられた瞬間、巨大なクレーターが出来る。通常の人間なら即死なのだろうが、木崎は何事も無かったかのように立ち上がり、再び幼女(妖精)に向かって突進する。

先程から木崎が仕掛け、幼女(妖精)がそれいなすという事を何度も何度も繰り返している。まるで獣のように同じ事を繰り返す木崎にさすがの幼女(妖精)も辟易としているようで、先程から攻撃が雑になり始めている。

「ええい!もういい加減せんかぁ!!」

幼女(妖精)が大きく振りかぶり、倒れている木崎に拳を振り下ろそうとする。だが、木崎はその瞬間を待っていたかのように幼女(妖精)に掴みかかった。

「しまっ!ぐっ・・・!」

木崎は幼女(妖精)の細い腕に牙を立てる。幼女(妖精)の右腕から鮮血が滴る。木崎は幸せそうな顔をしながら幼女(妖精)の腕にかぶりついている。

「この・・・調子に乗るでない!」

幼女(妖精)はそんな幸せそうに緩んでいる木崎の顔面を蹴飛ばす。木崎は吹き飛び、3回ほど地面を跳ねた後、木に激突し、動かなくなった。今しか無い!

「ライド!木崎から髪の毛回収お願い!タマミは私と来て!」

「ヴォウ!」

「キュオン!」

ライドは木にもたれかかったまま動かない木崎の元へ、私は腕を押さえて膝をついている幼女(妖精)の元へと急いだ。

・・・・・

・・・

「だ、大丈夫ですか?!」

「あ、ああ。大丈夫じゃ。」

慌てて駆け寄る私に笑いかける幼女(妖精)

「予想以上にしつこい上に面倒臭い相手じゃったがの。」

それに魔法も効かんし・・・と、ブツブツと木崎に対する文句を言う幼女(妖精)。そんな間にもタマミが幼女(妖精)の怪我に回復魔法を掛けていく。でも、あれ・・・?

「治っていない・・・?」

いつもはすぐに傷口が塞がるはずなのに一向に傷が塞がる気配が無い。どうして・・・

「それどころか儂の魔力も幾分か吸われておる。困ったもんじゃ。」

ため息をつく幼女(妖精)

そこへライドが戻ってきた。ライドの口には何十本もの髪の毛が咥えられている。無事にとってこれたみたいだ。倒れている木崎の方を見てみると、まだ倒れているみたいだが、背中から生えている腕が僅かにだが動き始めている。そろそろ動き出してしまうだろう。

「とりあえず、木崎が動き出す前に逃げましょう!」

「うむ」

私たちはライドに乗りこんだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

実家が没落したので、こうなったら落ちるところまで落ちてやります。

黒蜜きな粉
ファンタジー
ある日を境にタニヤの生活は変わってしまった。 実家は爵位を剥奪され、領地を没収された。 父は刑死、それにショックを受けた母は自ら命を絶った。 まだ学生だったタニヤは学費が払えなくなり学校を退学。 そんなタニヤが生活費を稼ぐために始めたのは冒険者だった。 しかし、どこへ行っても元貴族とバレると嫌がらせを受けてしまう。 いい加減にこんな生活はうんざりだと思っていたときに出会ったのは、商人だと名乗る怪しい者たちだった。 騙されていたって構わない。 もう金に困ることなくお腹いっぱい食べられるなら、裏家業だろうがなんでもやってやる。 タニヤは商人の元へ転職することを決意する。

【完結】ちびっこ錬金術師は愛される

あろえ
ファンタジー
「もう大丈夫だから。もう、大丈夫だから……」 生死を彷徨い続けた子供のジルは、献身的に看病してくれた姉エリスと、エリクサーを譲ってくれた錬金術師アーニャのおかげで、苦しめられた呪いから解放される。 三年にわたって寝込み続けたジルは、その間に蘇った前世の記憶を夢だと勘違いした。朧げな記憶には、不器用な父親と料理を作った思い出しかないものの、料理と錬金術の作業が似ていることから、恩を返すために錬金術師を目指す。 しかし、錬金術ギルドで試験を受けていると、エリクサーにまつわる不思議な疑問が浮かび上がってきて……。 これは、『ありがとう』を形にしようと思うジルが、錬金術師アーニャにリードされ、無邪気な心でアイテムを作り始めるハートフルストーリー!

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~

たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!! 猫刄 紅羽 年齢:18 性別:男 身長:146cm 容姿:幼女 声変わり:まだ 利き手:左 死因:神のミス 神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。 しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。 更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!? そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか... 的な感じです。

処理中です...