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規格外の強さ

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うーん・・・木崎の体の一部を手に入れろったって・・・私に出来る事なんてほとんど無いんだけど。とりあえず、幼女(妖精)の所へ行ってこよう。倒すまでは行かなくとも、一瞬でも隙が出来るのであれば髪の毛の1本や2本取ることも出来るだろう。

「ライド、私を妖精の居るところまで連れてって。いける?」

「ヴォウ!」

「タマミ、行くよ」

「キュオン!」

ライドは勢いよく返事をし、私とタマミを乗せ、走り出した。

・・・・・

・・・

ドォン・・・バンッバンッバンッ

・・・段々と木崎と幼女(妖精)が戦っている場所に近づいていくのが分かる。近づくにつれ、戦いの音と思わしき衝撃音は大きくなり、辺りは戦いの余波によってなぎ倒された木々が目立つようになってきている。

「ライド、ここで降りる。見つからないように静かに行くよ。」

タマミとライドは頷き、息を潜めゆっくりと進む。私もそれについて行く。

暫く進んでいくと、突然ぽっかりと、クレーターのように草木が生えていないところへと出た。まるでここで爆発があったかのように何も無い。みると、中心で二つの影が交差し、離れ、激突している。

私たちは近くにあった茂みに身を隠し、様子をうかがう。

やはり、あの二つの影は幼女(妖精)と木崎だ。

幼女(妖精)は所々から血を流しているが、特に問題はなさそうだ。で、問題は木崎。

木崎は最早人間の形をしていなかった。

2本の腕のほかに、首元から1本、そして背中から2本の腕が生えており、脚はつま先概要に伸びており、まるで動物のような脚の構造となっている。はっきり言ってかなり気味が悪い。

「~~~!!!」

木崎が獣のようなうなり声を上げながら幼女(妖精)へと突撃する。幼女(妖精)は動かずに、両の手を手刀にし、構える。そして2人が交差する。その瞬間。

「ッッッ!!」

腕から、脚から、そして首から、木崎の体のあちこちから鮮血が吹き出す。対する幼女(妖精)はそこまでダメージを負っていないようだ。

木崎からはかなりの量の血が噴き出している。普通ならこれで決着が付くだろう。だが

「なっ?!」

私は思わず悲鳴を上げそうになる。なぜなら木崎は

「ズゾッズゾゾゾゾ」

足下で大きな水たまりのように流れ出た血を四つん這いになりながら啜っていたからだ。その光景に思わず吐きそうになる。

だが、その隙を見逃す幼女(妖精)では無い。四つん這いになり無防備となっている木崎に向かって超スピードで向かい、追撃をしようとする幼女(妖精)。だが、木崎の背中から生えた2本の腕が巨大化し、幼女(妖精)の攻撃を防ぐために撹乱を始める。

そして、その間に全ての血を啜りきった後には傷口がまるで最初から無かったかのように塞がっていた。

私は前代未聞な木崎の強さに唖然とするしか無かった。
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