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動く要塞 グランド・ドラゴン
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私は幼女(妖精)、そしてライドとタマミと共に森で一番高い木の上からエルビス側の動きを観察していた。
「あ、あの・・・こんな細い枝に何人も乗っていて大丈夫なんですか?折れません?」
「大丈夫じゃ。魔法で枝を強化しておるからの。それはともかくエルビスは動かんの。」
と、幼女(妖精)がぼやいた瞬間。
「ひっ・・・!」
「む?」
急に木が揺れ始めた。私は必死に枝にしがみつく。地震かと思ったけどそれはすぐに否定された。なぜならその原因が目の前に現れたからだ。
な、なんだあれ・・・超弩級の何かがゆっくりとこっちに向って歩いてきている。それは強靱な四肢を持ち、遠目から見ても分かるほど、分厚い鱗を全身に纏う超巨大なドラゴンだった。背中には何故か木々が生い茂っている。
「カカカ!グランドの奴め、予定通りじゃ。」
隣で幼女(妖精)が愉快そうに笑っているが、私はそれどころじゃない。超巨大なドラゴンの存在感に圧倒されて言葉も出ない。
「さて、予定通りグランドの奴はエルビスを・・・って、まじか」
幼女は頭を抱えていた。私も目を凝らしてみてみる。魔力石のおかげでよく見えるから、その状況は私も目が点になった。
なんと15~16人の若者達がグランドさん相手に戦っていたのだ。しかもどこかで見たことあるような顔。
そう、エルビスが召喚した転生者達だ。なんと彼らは巨大なドラゴンであるグランドさんを相手に戦っていたのだ。おそらく目的は足止め。その証拠にエルビスの兵士は次々と森へと向かってきている。
大体の兵士は逃げ惑いながら森へと入ってくるが、一糸乱れぬ陣形で森へと突入してくる兵士達がいた。
「あれじゃな。不完全な死者蘇生の術式で蘇った亡者は。」
幼女(妖精)が、彼らを見てそうつぶやく。私はそれに頷いた。
その兵士達は他の兵士達とは違い、見た目からして普通の人間とは思えなかった。例えるなら、白黒写真の中から飛び出してきたような感じ。目に生気は無く、まさに亡霊と言うにふさわしい出で立ちをしている。
「ミネルヴァ。おるか。」
「ここに。」
幼女(妖精)の一声でミネルヴァさんが颯爽と現れた。
「イザベルの兵士団とファリン族の小童に伝えろ。白黒の兵士達を狙え。それ以外は人質にするから生け捕りにしろと。」
「彼らの数では少々荷が勝ちすぎはしませんか?」
「ならば借り受けたサラマンダーとヘル・ウルフも白黒の兵士達の討伐に向わせろ。それと、グリフォンは速い者3頭を残しグランドの援護へと迎え。相手は強力な能力を持つ者たちだ。うまく立ち回り生け捕りにするよう伝えろ。」
「畏まりました。仰せのままに。」
ミネルヴァさんは一瞬のうちに飛び上がり見えなくなってしまった。
「さてミユよ。」
幼女(妖精)が私の方を見る。いつものおちゃらけた雰囲気はない。
「お主は当初の予定通りライドとタマミを引き連れ、怪我人の治療に迎え。怪我人を見つけ次第戦場から引き離し治療を行なえ。よいな?」
「はい!」
「よし!ならば行ってこい!気をつけるんじゃぞ!」
幼女(妖精)の激励を胸に、私はタマミを連れライドに飛び乗り戦場へと向った。
「あ、あの・・・こんな細い枝に何人も乗っていて大丈夫なんですか?折れません?」
「大丈夫じゃ。魔法で枝を強化しておるからの。それはともかくエルビスは動かんの。」
と、幼女(妖精)がぼやいた瞬間。
「ひっ・・・!」
「む?」
急に木が揺れ始めた。私は必死に枝にしがみつく。地震かと思ったけどそれはすぐに否定された。なぜならその原因が目の前に現れたからだ。
な、なんだあれ・・・超弩級の何かがゆっくりとこっちに向って歩いてきている。それは強靱な四肢を持ち、遠目から見ても分かるほど、分厚い鱗を全身に纏う超巨大なドラゴンだった。背中には何故か木々が生い茂っている。
「カカカ!グランドの奴め、予定通りじゃ。」
隣で幼女(妖精)が愉快そうに笑っているが、私はそれどころじゃない。超巨大なドラゴンの存在感に圧倒されて言葉も出ない。
「さて、予定通りグランドの奴はエルビスを・・・って、まじか」
幼女は頭を抱えていた。私も目を凝らしてみてみる。魔力石のおかげでよく見えるから、その状況は私も目が点になった。
なんと15~16人の若者達がグランドさん相手に戦っていたのだ。しかもどこかで見たことあるような顔。
そう、エルビスが召喚した転生者達だ。なんと彼らは巨大なドラゴンであるグランドさんを相手に戦っていたのだ。おそらく目的は足止め。その証拠にエルビスの兵士は次々と森へと向かってきている。
大体の兵士は逃げ惑いながら森へと入ってくるが、一糸乱れぬ陣形で森へと突入してくる兵士達がいた。
「あれじゃな。不完全な死者蘇生の術式で蘇った亡者は。」
幼女(妖精)が、彼らを見てそうつぶやく。私はそれに頷いた。
その兵士達は他の兵士達とは違い、見た目からして普通の人間とは思えなかった。例えるなら、白黒写真の中から飛び出してきたような感じ。目に生気は無く、まさに亡霊と言うにふさわしい出で立ちをしている。
「ミネルヴァ。おるか。」
「ここに。」
幼女(妖精)の一声でミネルヴァさんが颯爽と現れた。
「イザベルの兵士団とファリン族の小童に伝えろ。白黒の兵士達を狙え。それ以外は人質にするから生け捕りにしろと。」
「彼らの数では少々荷が勝ちすぎはしませんか?」
「ならば借り受けたサラマンダーとヘル・ウルフも白黒の兵士達の討伐に向わせろ。それと、グリフォンは速い者3頭を残しグランドの援護へと迎え。相手は強力な能力を持つ者たちだ。うまく立ち回り生け捕りにするよう伝えろ。」
「畏まりました。仰せのままに。」
ミネルヴァさんは一瞬のうちに飛び上がり見えなくなってしまった。
「さてミユよ。」
幼女(妖精)が私の方を見る。いつものおちゃらけた雰囲気はない。
「お主は当初の予定通りライドとタマミを引き連れ、怪我人の治療に迎え。怪我人を見つけ次第戦場から引き離し治療を行なえ。よいな?」
「はい!」
「よし!ならば行ってこい!気をつけるんじゃぞ!」
幼女(妖精)の激励を胸に、私はタマミを連れライドに飛び乗り戦場へと向った。
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