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戦場への旅立ち

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翌日、私は荷物をまとめ、孤児院から出る。子供達やタケルさんが見送ってくれる。

「お世話になりました。これ、少ないですけどお礼です。」

私はタケルさんに金貨を5枚ほど渡す。

「いいのか?こんなに」

「ええ。お世話になりましたから。」

「言うほど世話もしていないけどな。」

タケルさんはそう言うが、宿が無くて困っていた私に寝る場所と食事を用意してくれただけでも十分だ。

ただ、1つ気がかりなのはタケルさんがイカを杯と数えかけたこと。それだけが気になる。

でも今そんなことを気にしていても仕方ない。できるだけ早く戦場へ行き、転生者達の髪の毛を回収し無ければならない。

「おねえちゃんまたね~」

「ばいば~い!」

「またきてね-!」

「うん、皆またね!」

子供達の別れの言葉を背に、私は孤児院を後にした

・・・・・

・・・

学術都市エルビスの外に出て、数百メートル歩いたところで私はおばさん(妖精)から貰った鞍をライドに取り付けた。

うん、ぴったり。

じゃあ行こうかライド、タマミ。

「ヴォウ!」

「キュオン!」

私はライドに乗り込む。その瞬間タマミは私の鞄へと潜り込み、ライドの脚は炎を纏う。

「グァオオオオオン!!!」

そしてライドはひと鳴ききし、私を乗せて北東の方角へと猛烈な速さで走り始めた。

・・・・・

・・・

所変わって、ここは学術都市エルビス中枢。

「侵攻具合はどうか?」

恰幅の良い男が執事服を着た従者に問いかける。

「はっ、概ね順調かと。」

「異界より召喚した戦士達はどうか?」

「誰一人欠ける事無く本陣にて待機しているようです。今のところこちらの真意に気がついている者は居ない模様です。」

従者からの報告に恰幅の良い男は口を歪ませる。

「ふん・・・強大な力を持っていたとしても所詮は子供。こちらの思惑に気がつく者は居ないだろう。」
「ただ、気になることが1つ。」

「なんだ?」

「蛮族達に動きが無いとの報告が上がっております。」

「どういうことだ?」

「始め数日は奇襲やゲリラ戦が昼夜問わず勃発していたようなのですが、ここ数日ピタリとやんでしまったそうです。」

「ふむ・・・お前はどう思う?」

その報告に恰幅の良い男は少し考え込み、従者に問いかける。

「おそらく機をうかがっている物かと思われます。その証拠として戦闘は起こらずとも偵察らしき部隊を見かけたとの報告が上がっております。」

「そうか。ならば偵察隊らしき者を見かけたら速やかに殲滅するよう伝えろ。」

「はっ!」

従者は恭しく礼をし、部屋から出て行く。そして入れ替わりに黒いローブを着た男が部屋に入ってくる。

「お前か。“最高指導者”の方はどうなっている。」

「問題ありません。戦士達の召喚時に一時的に魔力の供給がストップしましたが、現在では再開しております。」

「そうか。一度状態を見ておきたい。案内せよ。」

「畏まりました。」

黒いローブを着た男は恭しく礼をし、杖を掲げた。すると2人はまばゆい光に包まれ次の瞬間には部屋から消えていた。
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