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ディストピアみたいな街でも子供達は可愛い。
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学術都市エルビスの中は、南の街トライスや王都イザベルとは違い、無機質な高層建築物が建ち並んでおり、今まで見てきた街よりも発展していそうな雰囲気がうかがえる。
とりあえず私はこの街での拠点となる宿屋を探すために散策することにした。
街の中は静かで、出歩いている人はいるもののかなり少ない。活気ある町や村を見てきた私としては少し寂しい感じがする。それに近代的な建築物も相まって、どことなくディストピアのような感じがする。
散策を続けていると、タマミが何かを見つけたのか、突然走り出してしまった。
「ちょ、ちょっとタマミ?!」
私はライドと一緒に追いかける。タマミはまるで未知が分かっているかのように右へ左へと曲がって行き、辿り着いたのはちょっとした広場だった。
その広場では5人くらいの子供達が慌てふためいていた。よく見てみると真ん中には誰かが倒れている。
私は慌てて子供達の方へと走っていく。
「どうしたの?!」
私が聞くと、子供達は泣きながら説明してくれた。
「たっちゃんが・・・木から落ちちゃって怪我しちゃったの」
「お姉ちゃんおねがい!なんとかして!」
「痛い・・いたい・・・」
倒れていたのは男の子で、男の子の脚からはダラダラと血が流れている。痛みを我慢しようとしているのか苦悶の表情だ。私は慌ててその子に駆け寄り、急いで傷口を消毒して治療しないと、と思ったところでタマミが“私に任せて!”と言ったように前に出た。
「キュオン!」
タマミはひと鳴きして尻尾を3つに増やすと、男の子の怪我した脚に向かって金色の光を浴びせ始めた。すると、男の子の傷口は徐々にふさがり、終いには綺麗さっぱり治ってしまっていた。
・・・・・
・・・
「もう危ないことしちゃ駄目よ?」
「ありがとうおねえちゃん!」
「お礼を言うならこの子、タマミに言って。私は何もしてないから。」
「うん!ありがとうタマミちゃん!」
怪我した男の子に撫でられてまんざらでもなさそうなタマミ。
「じゃあ、私そろそろ行くね。」
「うん!お姉ちゃんまたね!」
子供達と別れ、気を取り直して私は宿探しを再開したのだが
「悪いな。今日はもう一杯なんだよ。」
「ごめんね。今日は一杯なのよ。」
悉く、行く先行く先の宿屋が一杯だと言う理由で断られてしまった。おかしい・・・何でこんなに断られるんだろう。ここよりも賑やかだったトライスやイザベルなんてほとんど探す手間も無く宿が見つかったって言うのに。
まさか今夜は野宿するしか無いのか・・・?そんなことを考えていると
「あれ?お姉ちゃん?」
「あ!ほんとだー」
「なにしてるの?」
昼間に出会った子供達が居た。
「今夜泊まれる場所ないか探しているのよ。どこか知らない?」
私は子供達に泊まれそうな宿屋が無いかどうか聞いてみた。すると子供達は声を合わせて
「「「「「しってるよー!」」」」」
そう言われたので子供達について行くと、連れてこられたのは周りの景色にはそぐわない古い教会だった。
とりあえず私はこの街での拠点となる宿屋を探すために散策することにした。
街の中は静かで、出歩いている人はいるもののかなり少ない。活気ある町や村を見てきた私としては少し寂しい感じがする。それに近代的な建築物も相まって、どことなくディストピアのような感じがする。
散策を続けていると、タマミが何かを見つけたのか、突然走り出してしまった。
「ちょ、ちょっとタマミ?!」
私はライドと一緒に追いかける。タマミはまるで未知が分かっているかのように右へ左へと曲がって行き、辿り着いたのはちょっとした広場だった。
その広場では5人くらいの子供達が慌てふためいていた。よく見てみると真ん中には誰かが倒れている。
私は慌てて子供達の方へと走っていく。
「どうしたの?!」
私が聞くと、子供達は泣きながら説明してくれた。
「たっちゃんが・・・木から落ちちゃって怪我しちゃったの」
「お姉ちゃんおねがい!なんとかして!」
「痛い・・いたい・・・」
倒れていたのは男の子で、男の子の脚からはダラダラと血が流れている。痛みを我慢しようとしているのか苦悶の表情だ。私は慌ててその子に駆け寄り、急いで傷口を消毒して治療しないと、と思ったところでタマミが“私に任せて!”と言ったように前に出た。
「キュオン!」
タマミはひと鳴きして尻尾を3つに増やすと、男の子の怪我した脚に向かって金色の光を浴びせ始めた。すると、男の子の傷口は徐々にふさがり、終いには綺麗さっぱり治ってしまっていた。
・・・・・
・・・
「もう危ないことしちゃ駄目よ?」
「ありがとうおねえちゃん!」
「お礼を言うならこの子、タマミに言って。私は何もしてないから。」
「うん!ありがとうタマミちゃん!」
怪我した男の子に撫でられてまんざらでもなさそうなタマミ。
「じゃあ、私そろそろ行くね。」
「うん!お姉ちゃんまたね!」
子供達と別れ、気を取り直して私は宿探しを再開したのだが
「悪いな。今日はもう一杯なんだよ。」
「ごめんね。今日は一杯なのよ。」
悉く、行く先行く先の宿屋が一杯だと言う理由で断られてしまった。おかしい・・・何でこんなに断られるんだろう。ここよりも賑やかだったトライスやイザベルなんてほとんど探す手間も無く宿が見つかったって言うのに。
まさか今夜は野宿するしか無いのか・・・?そんなことを考えていると
「あれ?お姉ちゃん?」
「あ!ほんとだー」
「なにしてるの?」
昼間に出会った子供達が居た。
「今夜泊まれる場所ないか探しているのよ。どこか知らない?」
私は子供達に泊まれそうな宿屋が無いかどうか聞いてみた。すると子供達は声を合わせて
「「「「「しってるよー!」」」」」
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