上 下
45 / 186

転生者のチート能力の他に厄介なもの。それはハーレム

しおりを挟む
「消えろ!」

ヴェルが私に向けて杖を振り下ろそうとした瞬間

「ヴォウ!」

ヴェルの背後の茂みからライドが飛び出し、ヴェルを押さえ込みにかかる。

「な、なんだこいつは!」

「ライド!しっかり押さえていて!」

私はヴェルの持っていた杖を蹴飛ばし、ヴェルの口を押さえる。これでもう魔法を使うことは出来ないだろう。

そこへ、

「望結ちゃんどうしたのよ!・・・ってあら?その子・・・」

妖精(おっさん)がやってきた。丁度良い。

「説明は後!妖精のおっさん!ロープと猿ぐつわ!」

私のおっさんという言葉にむくれつつも妖精(おっさん)は頑丈そうなロープと布を出してくれた。私はおっさんの出してくれたロープでヴェルをそこら辺にあった木に縛り付け、猿ぐつわを噛ませる。ふう・・・これなら魔法も使えないし抵抗されることも無いだろう。

「それで?私をおっさん扱いしたことは置いておいて・・・この怪我人の山とこの縛り付けた子は一体どういうことなのかしら?」

まあ、うん、そうだよね。説明しないとね。でもその前に

「・・・とりあえず怪我人の治療をしながらでも良いですか?」

妖精(おっさん)は無言で布と水、そして何種類かの薬草を出してくれた。

・・・・・

・・・

「なるほどねえ・・・この子がオピウムを絶滅させたと。」

「それにブリザード・ウルフを森から追い出しました。」

「まったく・・・誰も傷つかない素晴らしい世界なんて。神でも出来ないのに矮小な人間が創れるとでも思うのかしら」

ため息をつきながら怪我人達にテキパキと包帯を巻いていく妖精(おっさん)。そこで私はあることに気がついた。

「あれ?でもブリザード・ウルフを追い出したのなら何であの子は森に残っていたんでしょうか?」

「あら、確かにそうねえ・・・」

私の言葉に妖精(おっさん)も首をかしげる。

いくら考えても答えも出そうに無いからこの話は置いておく。

そういえばサラちゃんはどうしたんだろう?

「ああ、サラちゃんなら私の眷属に面倒を見させているわ。」

あ、この妖精(おっさん)にも眷属がいるんだ。

「妖精なら誰でも1体は眷属を持っているわ。私の眷属は40体近くいるけどサラちゃんには特段可愛い眷属に任せてきたわ。」

そ、それなら安心・・・かな?

そうこうしているうちに怪我人の治療は終わったが、まだ目を覚ましそうに無い。それにこの人達は盗賊らしいし、警察のような場所へと連れて行かなくてはいけない。などと思っていたら

「あら、この子達は盗賊と言えば盗賊だけど、悪名の高い商人達からしか略奪はしないし、何なら殺しもしてないわよ。それに奪った物は全て孤児院に寄付しているような人たちよ。」

だから私も見逃してたのよねぇと妖精(おっさん)は言う。

・・・これ扱いに困るんですけど。やってることは悪いことだけど・・・うーん・・・

私が悩んでいると、そこへRPGによく出てきそうな魔法使いみたいな格好をした金髪の身長の低い女の子と、背の高い赤い鎧を着たポニーテールの女の子がやってきた。

「ヴェ、ヴェル様?!」

「貴方たち!一体ヴェル様に何をしているのです!!」

魔法使いの女の子は木に縛り付けているヴェルのほうへ駆け寄り、赤い鎧を着た女の子は剣を抜いた。

そういえば忘れていた。チート転生者には漏れなくハーレムが出来るのが王道だったか。と言うことはこの子達はヴェルのハーレム・・・今度はヴェル様のハーレムが襲来か!

「よくも貴方たちヴェル様を・・・覚悟しなさい!」

鎧を着た女の子は剣を構えた。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生の果てに

北丘 淳士
ファンタジー
先天性の障害を持つ本条司は、闘病空しく命を落としてしまう。 だが転生した先で新しい能力を手に入れ、その力で常人を逸した働きを見せ始める。 果たして彼が手に入れた力とは。そしてなぜ、その力を手に入れたのか。 少しミステリ要素も絡んだ、王道転生ファンタジー開幕!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。

みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい! だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...