上 下
43 / 186

和やかな時間というのはこの後に戦場が待っているというフラグ

しおりを挟む
妖精(おっさん)がフィンガースナップを鳴らした瞬間どこからともなく水の入った器と白い布、そして何種類かの草が現れた。

驚く私とサラちゃんを余所に、妖精(おっさん)はブリザード・ウルフの子の治療をしていき、あっという間に終わらせてしまった。

「オピウムの実が無いから痛み止めは出来ないけど、今のところはこれで大丈夫ね。」

え?オピウムの実って痛み止めなの?

「そうよ?適正な量を守れば簡易的な痛み止めとして重宝されているのよ。でも最近何があったのかは分からないけどオピウム自体が見当たらなくなっちゃったけどね。」

もしかしてサラちゃんがオピウムの実を探していたのはこの子に使うため?そう思ってサラちゃんに聞いてみるとその通りだそうだ。

「後は栄養ね。アナタ何か持っていない?」

妖精(おっさん)に言われ、先程ライドの残した肉を見やる。

ライド、この子にあなたのご飯分けてあげてもいい?・・・なんとなく残念そうな顔をしているが良いみたいだ。

そっと、ブリザード・ウルフの子の前に肉をおいてみる。するとよほどお腹が空いていたのか、ブリザード・ウルフの子は勢いよく肉にかじりつき始めた。が、肉が硬すぎるのか、中々噛み千切れないでいて、とても食べにくそうだ。

そこへライドが何を思ったのかブリザード・ウルフの子から肉を取り上げガジガジと噛み始めた。止めようとしたところ、ライドがよく見ろ、と目で見てきたのでよく見ると、ブリザード・ウルフの子は先程とは打って変わってとても食べやすそうにしている。

あ、肉を噛んで柔らかくしてくれたのね。ありがとう。まあ、お肉の量が少し減っていたのは目をつぶろう。

・・・・・

・・・

お腹がいっぱいになって眠くなったのか、ブリザードウルフの子供はライドのお腹を枕にして寝始めた。ライドは邪魔くさそうにしているが、動かない辺り優しい。それを見たサラちゃんもライドのお腹を枕にして寝てしまった。ライドは最早諦めたのか大人しくしている。それを見た私は後でお肉買ってあげようと心に決めた。

ちなみに私は妖精(おっさん)がどこからともなく出してくれた高級そうなお菓子と紅茶をご馳走になっている。

「あら、ライドちゃんってあの無愛想の眷属だったの?」

「はい、困っているところを助けて貰ったんですが、その代わりにライドを連れて行ってくれと言われまして・・・」

「あっはっは~アイツらしいわね~」

和やかに妖精(おっさん)との話を楽しんでいた。

その時

ドォオオオオオン

森の奥の方から爆発音が聞こえた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。

みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい! だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

処理中です...