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第一章 未知との遭遇
裏金剛町
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・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・っ!ここは・・俺の家・・?んー・・なんかあったような・・・っとと、やあみんな俺の名前は倉木啓介、どうも昨日のバイトの記憶があやふやなんだけど。まあいいや、もう昼近いし飯でも食おう。そう思って2階にある自分の部屋から1階の食堂へ降りようとしたとき不意に俺のスマホに着信が来た。見たことも無い番号だったので少し訝しみながらも電話に出た。
「もしもし、倉木君の携帯ですか?」
「そうですけど、どちら様ですか?」
「ん?そういえば電話番号教えてなかったか。僕だよ大江童子」
「て、店長?!」
「とりあえず昨日のことを含めて説明したいことがあるから店まで来て欲しいんだけど。」
げ、今から金剛町に行くのか・・・読みたい漫画だってあるし、大学の課題だってある・・・正直行きたくない。
「え~と・・・」
俺がなんとか行かないための言い訳を考えていると
「お昼は食べた?食べてないのならおいしいラーメンのお店にでもつれてってあげるよ。無論僕のおごりだ」
「行きます!!!!」
「よし、じゃあ店で待ってるよ~」
俺は電話を切ると、俺は身支度もそこそこに家を飛び出した。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
士道酒店につくと私服姿の店長がたばこを吸いながら待っていた。
「お、早いね~」
「おいしいラーメンが食べられると聞いたので!」
「あはは!さすが食べ盛りの18歳だ!じゃあ早速行こうか」
そう言うと店長は店のシャッターを開けて中に入っていった。
「え?店長どこに行くんですか?」
「ん?裏金剛町だよ。」
「へ?ああ!ちょっと!」
店長は店のシャッターを開けて中に入っていく。俺も慌てて後を追いかけた
「倉木君、昨日のこと覚えてる?」
「い、いえなんだかおぼろげで・・」
「だろうね~裏金剛町に入った瞬間驚きすぎて気絶しちゃったんだよ」
「き、気絶・・・!」
そうだ・・・だんだんと思い出してきた・・・店の裏にあるシャッターを開けた瞬間なにか得体の知れない物を見て気を失ったんだ・・・あのとき見た人間とは似ても似つかない者たちが闊歩するあの町の光景を思い出し、俺は震えた。
「思い出したみたいだね。昨日のこと」
「店長、アレは現実なんですか?」
俺は恐る恐る聞いた。どうか夢であって欲しかった
「現実だとも。」
無情にも店長はさらりと言った。
「もっと言うと現在では幻だ伝説だって言われてる存在はちゃんと実在する。実在しなかったら本なんかに書かれるわけ無いしね。」
なんて驚愕の事実をケタケタと笑いながら言う店長を見て俺は開いた口がふさがらなかった。
「ま、ともかく行こうか」
呆然としている俺を気にもかけず、店長は店の奥にある異界へとつながるシャッターを開けた。
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
初めてちゃんと見る裏金剛町は大正時代のような和風と洋風が混ざり合ったような建物がいくつも並んでいた。どう見ても人間じゃ無い者たちがが闊歩する大通りを店長と歩きながらふと疑問に感じたことを聞いてみた。
「店長、一つ聞きたいんですけど」
「ん?」
「ここは異世界なんですか?」
「いいや、僕たちの住んでいる世界と同じ世界だよ。」
「じゃ、じゃあ何で他の人たちに見つかっていないんですか?こんな町すぐに見つかって・・・」
「それはね、この町が一種の隠れ里だからさ」
「隠れ里?」
「まあ、人間で言う盲点だと思えば良い。普通の人が見落とすような場所にこの町はあるのさ。」
「な、なるほど。」
「それに、この町には決められた入り口からしか入れない特別な呪いがかかってるんだ。だから今まで普通の人には見つかっていない。」
通りでこの大きい町が今まで見つかっていなかったわけだ。疑問に思っていたことが一つ解決したところで店長が立ち止まった。
「さあ、ついたよ」
店長が連れてきてくれたのは大通りの脇道にあった屋台だった。
「へいらっしゃイ!!」
暖簾をくぐると、とっても大きなダルマが出迎えてくれ、俺はまた気絶した。
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
「ワハハ!大丈夫かボウズ!」
「面目ないです・・・」
気を失った俺はダルマさんと店長に介抱されていたらしい。姿を見て気絶するなんて・・・と申し訳なさでいっぱいだったが、気にすんナ!とダルマさんが豪快に笑い飛ばしてくれた。そして10分もしないうちに
「おまちどうさン!」
ラーメンが出てきた。
出てきたのはごく普通の醤油ラーメンだった。チャーシューが一枚とメンマ、それにネギと煮卵がのっているごく普通の醤油ラーメンだった。
「いただきます」
「い、いただきます」
店長が手を合わせ、食事の挨拶をしたので俺もそれに倣った。
とりあえずスープを口に運んだ瞬間、俺は震えた。
「お、美味しい・・・!!」
「あたりめぇヨ!出汁の昆布や煮干しなんかはサザエ鬼が、脂は油すましが厳選した物を使ってるんダ!麺に関しては俺が毎朝手打ちで作ってんダ!マズいなんて言わせねえヨ!!」
あっさりとした醤油ベースのスープだが出汁がいいのか醤油だけじゃ無い味の深みって言うのか・・・あーー!!俺には語彙力がなさ過ぎてなんて説明すればいいかわかんねえ!麺はすごく歯ごたえのある太麺だが、これが癖になって旨い!!
夢中で食べている俺をダルマさんはニコニコと眺めていた。
「いい食いっぷりだネェ」
「ごちそうさまでした!!」
「ふうーやっぱダルマさんのラーメンは日本1だね」
「よせやイ!」
店長の褒め言葉にダルマさんは赤い体をさらに赤くしていた。その後、ダルマさんにお礼を言いつつ俺と店長は屋台を後にした。
「どうだった?裏金剛町は」
「・・・まだ何が何だか分りません。本当は夢じゃないかって思っています」
「・・・」
手帳は無言で俺の言うことを聞いてくれている。
「実際の所、得体の知れない物に関わりたくないって思っている自分もいます。」
「けど、なんて言うか・・・面白かったって思う気持ちも大きくて、もっといろんな人外の人について知りたいと思ったのでもう少し、このアルバイトは続けてみたいと思います。」
「ふーん・・・なかなか面白いこと言うね。じゃあ、しばらくの間よろしくね」
「はい!」
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
「そういえば、俺って昨日はどうやって家に帰ったんですか?」
「ん?昨日は・・・確か堺君が君を担いで家まで送ったって言ってたよ」
次の出勤日であった火曜日に俺が堺さんに土下座する勢いで謝ったのは言うまでも無い。
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・・・っ!ここは・・俺の家・・?んー・・なんかあったような・・・っとと、やあみんな俺の名前は倉木啓介、どうも昨日のバイトの記憶があやふやなんだけど。まあいいや、もう昼近いし飯でも食おう。そう思って2階にある自分の部屋から1階の食堂へ降りようとしたとき不意に俺のスマホに着信が来た。見たことも無い番号だったので少し訝しみながらも電話に出た。
「もしもし、倉木君の携帯ですか?」
「そうですけど、どちら様ですか?」
「ん?そういえば電話番号教えてなかったか。僕だよ大江童子」
「て、店長?!」
「とりあえず昨日のことを含めて説明したいことがあるから店まで来て欲しいんだけど。」
げ、今から金剛町に行くのか・・・読みたい漫画だってあるし、大学の課題だってある・・・正直行きたくない。
「え~と・・・」
俺がなんとか行かないための言い訳を考えていると
「お昼は食べた?食べてないのならおいしいラーメンのお店にでもつれてってあげるよ。無論僕のおごりだ」
「行きます!!!!」
「よし、じゃあ店で待ってるよ~」
俺は電話を切ると、俺は身支度もそこそこに家を飛び出した。
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士道酒店につくと私服姿の店長がたばこを吸いながら待っていた。
「お、早いね~」
「おいしいラーメンが食べられると聞いたので!」
「あはは!さすが食べ盛りの18歳だ!じゃあ早速行こうか」
そう言うと店長は店のシャッターを開けて中に入っていった。
「え?店長どこに行くんですか?」
「ん?裏金剛町だよ。」
「へ?ああ!ちょっと!」
店長は店のシャッターを開けて中に入っていく。俺も慌てて後を追いかけた
「倉木君、昨日のこと覚えてる?」
「い、いえなんだかおぼろげで・・」
「だろうね~裏金剛町に入った瞬間驚きすぎて気絶しちゃったんだよ」
「き、気絶・・・!」
そうだ・・・だんだんと思い出してきた・・・店の裏にあるシャッターを開けた瞬間なにか得体の知れない物を見て気を失ったんだ・・・あのとき見た人間とは似ても似つかない者たちが闊歩するあの町の光景を思い出し、俺は震えた。
「思い出したみたいだね。昨日のこと」
「店長、アレは現実なんですか?」
俺は恐る恐る聞いた。どうか夢であって欲しかった
「現実だとも。」
無情にも店長はさらりと言った。
「もっと言うと現在では幻だ伝説だって言われてる存在はちゃんと実在する。実在しなかったら本なんかに書かれるわけ無いしね。」
なんて驚愕の事実をケタケタと笑いながら言う店長を見て俺は開いた口がふさがらなかった。
「ま、ともかく行こうか」
呆然としている俺を気にもかけず、店長は店の奥にある異界へとつながるシャッターを開けた。
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初めてちゃんと見る裏金剛町は大正時代のような和風と洋風が混ざり合ったような建物がいくつも並んでいた。どう見ても人間じゃ無い者たちがが闊歩する大通りを店長と歩きながらふと疑問に感じたことを聞いてみた。
「店長、一つ聞きたいんですけど」
「ん?」
「ここは異世界なんですか?」
「いいや、僕たちの住んでいる世界と同じ世界だよ。」
「じゃ、じゃあ何で他の人たちに見つかっていないんですか?こんな町すぐに見つかって・・・」
「それはね、この町が一種の隠れ里だからさ」
「隠れ里?」
「まあ、人間で言う盲点だと思えば良い。普通の人が見落とすような場所にこの町はあるのさ。」
「な、なるほど。」
「それに、この町には決められた入り口からしか入れない特別な呪いがかかってるんだ。だから今まで普通の人には見つかっていない。」
通りでこの大きい町が今まで見つかっていなかったわけだ。疑問に思っていたことが一つ解決したところで店長が立ち止まった。
「さあ、ついたよ」
店長が連れてきてくれたのは大通りの脇道にあった屋台だった。
「へいらっしゃイ!!」
暖簾をくぐると、とっても大きなダルマが出迎えてくれ、俺はまた気絶した。
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「ワハハ!大丈夫かボウズ!」
「面目ないです・・・」
気を失った俺はダルマさんと店長に介抱されていたらしい。姿を見て気絶するなんて・・・と申し訳なさでいっぱいだったが、気にすんナ!とダルマさんが豪快に笑い飛ばしてくれた。そして10分もしないうちに
「おまちどうさン!」
ラーメンが出てきた。
出てきたのはごく普通の醤油ラーメンだった。チャーシューが一枚とメンマ、それにネギと煮卵がのっているごく普通の醤油ラーメンだった。
「いただきます」
「い、いただきます」
店長が手を合わせ、食事の挨拶をしたので俺もそれに倣った。
とりあえずスープを口に運んだ瞬間、俺は震えた。
「お、美味しい・・・!!」
「あたりめぇヨ!出汁の昆布や煮干しなんかはサザエ鬼が、脂は油すましが厳選した物を使ってるんダ!麺に関しては俺が毎朝手打ちで作ってんダ!マズいなんて言わせねえヨ!!」
あっさりとした醤油ベースのスープだが出汁がいいのか醤油だけじゃ無い味の深みって言うのか・・・あーー!!俺には語彙力がなさ過ぎてなんて説明すればいいかわかんねえ!麺はすごく歯ごたえのある太麺だが、これが癖になって旨い!!
夢中で食べている俺をダルマさんはニコニコと眺めていた。
「いい食いっぷりだネェ」
「ごちそうさまでした!!」
「ふうーやっぱダルマさんのラーメンは日本1だね」
「よせやイ!」
店長の褒め言葉にダルマさんは赤い体をさらに赤くしていた。その後、ダルマさんにお礼を言いつつ俺と店長は屋台を後にした。
「どうだった?裏金剛町は」
「・・・まだ何が何だか分りません。本当は夢じゃないかって思っています」
「・・・」
手帳は無言で俺の言うことを聞いてくれている。
「実際の所、得体の知れない物に関わりたくないって思っている自分もいます。」
「けど、なんて言うか・・・面白かったって思う気持ちも大きくて、もっといろんな人外の人について知りたいと思ったのでもう少し、このアルバイトは続けてみたいと思います。」
「ふーん・・・なかなか面白いこと言うね。じゃあ、しばらくの間よろしくね」
「はい!」
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「そういえば、俺って昨日はどうやって家に帰ったんですか?」
「ん?昨日は・・・確か堺君が君を担いで家まで送ったって言ってたよ」
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