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08 勇者 vs 聖女 round 3
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魔王の1人を倒した勇者一行。
しかしそれが元で借金返済に追われることになった。
ようやく借金を返し終わり
次の旅の資金を貯めた一行は旅立とうとしていた。
「勇者様」
私達は未だ宿屋にいた。
しかしそれも今日までようやく旅立てる。
「どうしたアリシア」
「私達は魔王に苦戦しましたよね」
「ああ、今後も苦しい戦いになるだろう」
「私 わかった事があるのです」
「わかった事?」
「私達には足りないものあると思うのです
それを補わない限り、魔王討伐は厳しいと思います」
「お姉ちゃんの思う足りないものって何?」
「僕も興味あるな。
すでに攻守バランスの取れた最強パーティーだと思うけど」
マリーと剣聖の言葉に目を輝かせるアリシア。
私はどことなく嫌な予感がしている。
「それは……」
「それは?」
「筋肉! 私達のパーティーには筋肉さんが必要だと思うの。」
アリシアの目の輝きとは反比例して
2人の興味は急降下した様だ。
「勇者、任せたよ」、「右に同じ」
二人はこちらに丸投げしてきた。
アリシアは期待の目でこちらを見ている。
ここは合理的かつ冷静に対応していく他
無いだろう。
そしてそれは私の領域だ。
「アリシア、まず聞きたいのは
筋肉というがそれは私達の筋肉量のことだろうか?」
「両方です。勇者様」
「両方というと、私達の筋肉と筋肉のある仲間ということかな?」
「はい!」
ニッコリと答えるアリシア。
可愛い!
おっといかん! 鼻血が。
最近やけに鼻血が出やすいな。
「ヒール! 大丈夫ですか?勇者様。
最近、多いですね不安です」
「有難う、確かに最近多いが一時的なものじゃないかな」
「レオンいやらしい事考えたんじゃないの?」
「勇者、節度を持ってくれないと困るよ。
このままじゃ君『エロ勇者』と呼ばれてしまうよ?」
「勇者様はそんな人ではありません!」
アリシアがかばってくれた、アリシアの優しさに感謝だ。
「気をつけて治るものかはわからないが気をつけよう。
話を脱線させて済まなかった。
それで私達の筋肉を鍛えるなら自己鍛錬でも可能だろう?」
「筋肉のスペシャリストさんがいれば
効果的に鍛えられると思うんです。
それに…」
急にアリシアが赤くなった。なんだろう?
「筋肉さんにタンクになってもらえば
勇者様も攻撃できるし、カッコいい勇者様も見たいなって」
アリシア……… っていかん!鼻血が!
「ヒール! 勇者様大丈夫ですか?」
せっかくのいい雰囲気なのにどうにも鼻血が邪魔するな。
まるで呪いだ。
「勇者、鼻血跡は拭いてくれ給えよ。
アリシアの意見にも一理あるかな。」
「確かに私のスキルは防御に関してより攻撃が多いな」
「攻撃は最大の防御かもね」
「そうですよ、という訳でもう候補は見つけてあるんです」
「手回しがいいな」
ということで会いにいく事になった。
その男はこの町にいるのだという。
「ここです!」
私はアリシアに連れられ
男のいるという場所にやって来た。
マリーと剣聖、ルイは着いてこなかった。
私の判断に任せるとのことだ。
私の目の前にあるのは寂れた建物
看板には『筋肉道場』と書かれてあった。
正直もう帰りたい。
「たのもー!」
しかし アリシアはそんな私の思いを無視して大声を上げる。
道場の扉は錆びた鋼鉄でいかにも重そうだ。
その扉が ギギギギギギ と音を立てながら開く。
「この扉もトレーニングに丁度いいサビ具合になったな」
中から男が出てきた。
上半身裸の筋骨隆々な紳士ヒゲの男だ。
「ほう! 今町で噂の勇者殿ではないか。それに聖女様も」
「私を知っているのか?」
「筋肉さん、こんにちは 勇者様をお連れしましたよ」
「なるほど、そういう事か」
「うむ、話は聖女様から聞いている。顔も聖女様に頂いた絵の通りだ」
そう言って筋肉氏は一度奥に入っていくと一枚の紙をもって戻り、
私に手渡してきた。
「あ! ダメですよ!」
アリシアは慌てているがもう遅い。
私はアリシアの攻撃を躱してその絵を見た。
そこには3歳児が書いた様な絵が書いてあった。
「……これで、私と分かったのか?」
「ああ、そっくりじゃないか」
この男に私がどう見えているのか問い正したい。
「私の名前はボマー、
神より『筋肉』の啓示を受けた者だ宜しく頼む」
「ボマー様宜しくお願いします」
ショックを受けている内に
二人の間で既に話が進んでいる。
「うむ、俺の事は筋肉と呼んでくれ。
その方が嬉しい」
「はい、筋肉様宜しくお願いします」
「あ、ああ宜しく」
つい釣られてそう言ってしまった。
「心強い仲間が増えました。良かったですね勇者様」
「あ、ああ そうだな」
それが私の精一杯の返事だった。
了
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Winner :聖女
決まり手:心を砕く絵心
しかしそれが元で借金返済に追われることになった。
ようやく借金を返し終わり
次の旅の資金を貯めた一行は旅立とうとしていた。
「勇者様」
私達は未だ宿屋にいた。
しかしそれも今日までようやく旅立てる。
「どうしたアリシア」
「私達は魔王に苦戦しましたよね」
「ああ、今後も苦しい戦いになるだろう」
「私 わかった事があるのです」
「わかった事?」
「私達には足りないものあると思うのです
それを補わない限り、魔王討伐は厳しいと思います」
「お姉ちゃんの思う足りないものって何?」
「僕も興味あるな。
すでに攻守バランスの取れた最強パーティーだと思うけど」
マリーと剣聖の言葉に目を輝かせるアリシア。
私はどことなく嫌な予感がしている。
「それは……」
「それは?」
「筋肉! 私達のパーティーには筋肉さんが必要だと思うの。」
アリシアの目の輝きとは反比例して
2人の興味は急降下した様だ。
「勇者、任せたよ」、「右に同じ」
二人はこちらに丸投げしてきた。
アリシアは期待の目でこちらを見ている。
ここは合理的かつ冷静に対応していく他
無いだろう。
そしてそれは私の領域だ。
「アリシア、まず聞きたいのは
筋肉というがそれは私達の筋肉量のことだろうか?」
「両方です。勇者様」
「両方というと、私達の筋肉と筋肉のある仲間ということかな?」
「はい!」
ニッコリと答えるアリシア。
可愛い!
おっといかん! 鼻血が。
最近やけに鼻血が出やすいな。
「ヒール! 大丈夫ですか?勇者様。
最近、多いですね不安です」
「有難う、確かに最近多いが一時的なものじゃないかな」
「レオンいやらしい事考えたんじゃないの?」
「勇者、節度を持ってくれないと困るよ。
このままじゃ君『エロ勇者』と呼ばれてしまうよ?」
「勇者様はそんな人ではありません!」
アリシアがかばってくれた、アリシアの優しさに感謝だ。
「気をつけて治るものかはわからないが気をつけよう。
話を脱線させて済まなかった。
それで私達の筋肉を鍛えるなら自己鍛錬でも可能だろう?」
「筋肉のスペシャリストさんがいれば
効果的に鍛えられると思うんです。
それに…」
急にアリシアが赤くなった。なんだろう?
「筋肉さんにタンクになってもらえば
勇者様も攻撃できるし、カッコいい勇者様も見たいなって」
アリシア……… っていかん!鼻血が!
「ヒール! 勇者様大丈夫ですか?」
せっかくのいい雰囲気なのにどうにも鼻血が邪魔するな。
まるで呪いだ。
「勇者、鼻血跡は拭いてくれ給えよ。
アリシアの意見にも一理あるかな。」
「確かに私のスキルは防御に関してより攻撃が多いな」
「攻撃は最大の防御かもね」
「そうですよ、という訳でもう候補は見つけてあるんです」
「手回しがいいな」
ということで会いにいく事になった。
その男はこの町にいるのだという。
「ここです!」
私はアリシアに連れられ
男のいるという場所にやって来た。
マリーと剣聖、ルイは着いてこなかった。
私の判断に任せるとのことだ。
私の目の前にあるのは寂れた建物
看板には『筋肉道場』と書かれてあった。
正直もう帰りたい。
「たのもー!」
しかし アリシアはそんな私の思いを無視して大声を上げる。
道場の扉は錆びた鋼鉄でいかにも重そうだ。
その扉が ギギギギギギ と音を立てながら開く。
「この扉もトレーニングに丁度いいサビ具合になったな」
中から男が出てきた。
上半身裸の筋骨隆々な紳士ヒゲの男だ。
「ほう! 今町で噂の勇者殿ではないか。それに聖女様も」
「私を知っているのか?」
「筋肉さん、こんにちは 勇者様をお連れしましたよ」
「なるほど、そういう事か」
「うむ、話は聖女様から聞いている。顔も聖女様に頂いた絵の通りだ」
そう言って筋肉氏は一度奥に入っていくと一枚の紙をもって戻り、
私に手渡してきた。
「あ! ダメですよ!」
アリシアは慌てているがもう遅い。
私はアリシアの攻撃を躱してその絵を見た。
そこには3歳児が書いた様な絵が書いてあった。
「……これで、私と分かったのか?」
「ああ、そっくりじゃないか」
この男に私がどう見えているのか問い正したい。
「私の名前はボマー、
神より『筋肉』の啓示を受けた者だ宜しく頼む」
「ボマー様宜しくお願いします」
ショックを受けている内に
二人の間で既に話が進んでいる。
「うむ、俺の事は筋肉と呼んでくれ。
その方が嬉しい」
「はい、筋肉様宜しくお願いします」
「あ、ああ宜しく」
つい釣られてそう言ってしまった。
「心強い仲間が増えました。良かったですね勇者様」
「あ、ああ そうだな」
それが私の精一杯の返事だった。
了
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Winner :聖女
決まり手:心を砕く絵心
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