大聖女様 世を謀る!

丁太郎。

文字の大きさ
上 下
26 / 84

26話 大賢者である私と勝敗の行方

しおりを挟む
 セバっちゃんの合図と共に皆一斉に身構える。
 龍殺3名vsBランク連合3名vsお爺さん2名vsリッキーvs私という構図を私の挑発により、私vsリッキーvsその他に変える。
 私は声に魔力を乗せており、私の挑発はリッキーを含む9名に覿面に効いた様だ。

「さぁ いよいよ始まりました。まずは皆様子見でしょうか?」

「ミリーの挑発により、ミリーに敵視が集まっていますが、他よりの妨害を恐れている感じですね」

「おっと、G様の更なる挑発か?手を頭の後ろに組んで余裕のポーズ!」

「その挑発、買ったぞい!」

 私の挑発に1番最初にのってきたのは筋肉爺さんだ。
 飛び出す筋肉爺さん。
 速いね。

「飛び出したのは『マッスル&マジック』のマッスル氏だ!速い!ぐんぐん距離が詰まる!」

「マジックからの強化魔法も入ってますね。ミリー!危ない!」

 リリー、私情がはいってるよ。
 さて、目にもの見せてやるか。
 見れば、筋肉爺さんの筋肉が膨れ上がっている。
 やれやれ見苦しい。

「行くぞい小娘!」

 筋肉爺さんは渾身の右ストレートを繰り出してくる。
 空気が震えているよ。一撃必殺狙いだね。
 セバっちゃんに殺さないように言われてるの忘れてない?

「何!」

 爺さんの目には私が消えた様に見えるだろう。
 じゃーね、お爺さん。
 またねー!

「なんと!」

「気付くの遅い!」

 ジャンピングアッパー、宙を舞う私。
 私の拳は筋肉爺さんの顎を捉えた。
 顎へインパクトが伝わる瞬間、魔力による衝撃波を同時に脳天に突き抜けさせる!
 筋肉爺さんは顎を天に向けたまま意識を失い、ゆっくりと仰向けにひっくり返った。

 静まりかえる会場。
 他の参加者も動けずにいる。
 数秒の静寂。

「うおーーーー! すげーーーー! G様!!」

 誰かが叫んだ。
 一斉に沸き起こるG様コール!(やれやれだ)

「割れんばかりの歓声!いきなりの対決を制したのはG様だー!!G様が華麗に舞ったとおもったらマッスル氏が倒れたー!!しかし一体何が起きたのでしょうか?」 

「ミリーのジャンピングアッパーがマッスルの顎を捉え、脳震盪を起こしたのです。ミリーはヒーラーの筈ですが、どこで武術を覚えたのでしょう?」

「実力を見誤ると痛い目見るって忠告そっくりそのままお返しするね」

 もう聞こえて無いだろうけど一応言っておく。


===============


「ミリー凄い!華麗だった!」

 フェル王子は大興奮だ。

「えー!? ミリーはヒーラーだろ?どう見ても達人級の武闘家の動きだった!」

 驚くカリス。

「ええ、能力強化などの奇跡をつかっていないようです。体術だけであんなに強いの?」

 ミルファも信じられない様だ。

「ミリーに稽古つけてもらったけど、ミリーは強いよ結局1本も取れなかったんだ」

「ミリーは孤児院出身でしたよね?」

「確かそう言ってたな」

「うん、ミリーの体術は孤児院仕込みって言ってたよ」

「あ! この町の神官どっかで見たなって
 思ってたんだけど」

「確かに…まさか!」


==============


「その動き、まさか貴女は孤児院出身ですかな?」

「魔術師のお爺さん、よくわかったねー。私の武術は孤児院のいんちょー仕込みだよ」

「G様はビフテの町の孤児院出身ですね…あっと、そうです 孤児院の院長といえばあの人だ!」

「そうでした。すっかり丸くなりましたがこの町の神官であり孤児院の院長は、元Sランクパーティー『毎日が大暴れ!』の鉄拳神官コンゴー!」

 実況さん解説さんどうもご丁寧にありがとー。

「ぬふふ、ネタばれしちゃったね。孤児院出身者は皆いんちょーの武術を徹底的に叩き込まれるのよ。社会の荒波に負けないようにね。中でも私は筋がいいんだってさー。だから、いんちょーの弟子として全て受け継いだよ」

「やはり、コンゴー直伝の拳でしたか。マッスル様は油断しましたが、このマジック相手にその体術通じますかな」

「そだねー。じゃあ試してみよっか」

「おっと、戦いはG様vsマジック氏に移行かー!他は動かない」

「マジックとミリーに気圧されて動けないのです。私でもこの中に割り込むのは厳しいわ」

 今度は私から行ってみようか。

「速い!ですが」

 マジックが何か呪文を呟く。あれは中級雷土だね。私の頭上から雷が襲う。これ直撃したら死ぬやつじゃん。コイツラ手加減する気なしだ。

「っち!中々やりますな。では次々いきますぞ」

「凄い! G様が雷を躱したー!」

「雷を躱すには落ちる前に着地点を見切る必要があります」

「これは凄まじい攻撃です次々に雷が降り注ぐ。さすがSランク魔道士!しかしG様全て走りながら躱していくー!」

「これだけの雷を落とし続けられるのはこの術のみに専念しているから。魔力もMPも桁違いですがこれでは他の術は唱えられません」

 リリーそれ正解!
 このお爺さんは高速詠唱で雷を落とした後は同じ魔法をショートカット起動している。
 ショートカットは直前の魔法を連続して使うスキルだ。
 私の知る限りはショートカットは複数持てない。
 この距離から、別の魔法に切り替えるのは難しい。
 自身も傷つく覚悟なら私が尤も接近した所で雷を落とすだろう。
 では、私もとっておきを披露しましょうか。

「な!消えた!……ぐう!」

 膝から崩れる魔術師のお爺さん。
 私が意識を刈り取ったからね。

 またも沸き起こる大歓声とG様コール。
 もう諦めたよ。好きに呼ぶがいいさ。

「何が起きたのでしょう?G様が消えたと思ったら、マジック氏の背後に現れ首筋に手刀一閃」

「驚きました。あれは縮地と呼ばれる武術の技です。魔法ではなく、瞬発力で瞬時に距離を縮めるのです」

「リリーは物知りだね。縮地を知ってるとは」

 私は次の獲物を定める。
 最初から狙っていた奴だ。

「龍殺のリーダーさんいくよー!」

「なんと!G様、次の標的にルキメデ氏を指名!G様やっぱ速いぞ!一気に距離を詰める!」

「舐めるなよ!」

 今頃武器を振り上げてもね。
 遅い!遅いよ!

「また消えた!」

 私の双掌底が獲物の腹を捉える。
 さっきと同じくインパクトが伝わる瞬間に魔力の衝撃派を放つ。

「Aランク冒険者のルキメデ氏が吹き飛とんでー… 場外だー!強い!強すぎるG様!あの重装備のルキメデ氏を簡単に吹き飛ばすこの威力!」

「速さと攻撃の重さ両方持ってますね。スタミナはわかりませんが、あと6人なら余裕でしょう」

 ぬふふ、そう思うだろうね。
 でも私、飽きちゃったー。
 大物は潰しておいたからね。

「じゃあ、後は宜しくねーリッキー」

 私は手の平をひらひらさせながら
 大歓声の中、光の防壁の外に出ていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢はお断りです

あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。 この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。 その小説は王子と侍女との切ない恋物語。 そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。 侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。 このまま進めば断罪コースは確定。 寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。 何とかしないと。 でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。 そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。 剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が 女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。 そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。 ●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_) ●毎日21時更新(サクサク進みます) ●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)  (第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。

私はただ一度の暴言が許せない

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。 花婿が花嫁のベールを上げるまでは。 ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。 「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。 そして花嫁の父に向かって怒鳴った。 「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは! この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。 そこから始まる物語。 作者独自の世界観です。 短編予定。 のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。 話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。 楽しんでいただけると嬉しいです。 ※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。 ※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です! ※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。 ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。 今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、 ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。 よろしくお願いします。 ※9/27 番外編を公開させていただきました。 ※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。 ※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。 ※10/25 完結しました。 ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。 たくさんの方から感想をいただきました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、 今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきます。

死んで巻き戻りましたが、婚約者の王太子が追いかけて来ます。

拓海のり
恋愛
侯爵令嬢のアリゼは夜会の時に血を吐いて死んだ。しかし、朝起きると時間が巻き戻っていた。二度目は自分に冷たかった婚約者の王太子フランソワや、王太子にべったりだった侯爵令嬢ジャニーヌのいない隣国に留学したが──。 一万字ちょいの短編です。他サイトにも投稿しています。 残酷表現がありますのでR15にいたしました。タイトル変更しました。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

悪役令嬢は二度も断罪されたくない!~あのー、私に平穏な暮らしをさせてくれませんか?~

イトカワジンカイ
恋愛
(あれって…もしや断罪イベントだった?) グランディアス王国の貴族令嬢で王子の婚約者だったアドリアーヌは、国外追放になり敵国に送られる馬車の中で不意に前世の記憶を思い出した。 「あー、小説とかでよく似たパターンがあったような」 そう、これは前世でプレイした乙女ゲームの世界。だが、元社畜だった社畜パワーを活かしアドリアーヌは逆にこの世界を満喫することを決意する。 (これで憧れのスローライフが楽しめる。ターシャ・デューダのような自給自足ののんびり生活をするぞ!) と公爵令嬢という貴族社会から離れた”平穏な暮らし”を夢見ながら敵国での生活をはじめるのだが、そこはアドリアーヌが断罪されたゲームの続編の世界だった。 続編の世界でも断罪されることを思い出したアドリアーヌだったが、悲しいかな攻略対象たちと必然のように関わることになってしまう。 さぁ…アドリアーヌは2度目の断罪イベントを受けることなく、平穏な暮らしを取り戻すことができるのか!? 「あのー、私に平穏な暮らしをさせてくれませんか?」 ※ファンタジーなので細かいご都合設定は多めに見てください(´・ω・`) ※小説家になろう、ノベルバにも掲載

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

二度目の人生は異世界で溺愛されています

ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。 ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。 加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。 おまけに女性が少ない世界のため 夫をたくさん持つことになりー…… 周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...