大聖女様 世を謀る!

丁太郎。

文字の大きさ
上 下
23 / 84

23話 大賢者である私と衝撃のオーディション2

しおりを挟む
 オーディション参加者は半分に絞られた。
 しかし、まだまだ大勢残っている。

 セバっちゃんにより次に告げられた競技はクイズだった。
 ほうほう、冒険者たるもの知識は重要。
 知識の有無が生死を分かつ場合もあるだろう。
 それ程に情報は重要だ。
 だからこそ情報は売買されるし、タダで人に教えたりはしない。
 それは500年経っても変わってはいないだろう。

 この競技は明確に知識、経験量で難易度が左右される。
 低ランクパーティーには厳しい競技だね。
 知識が無いなら後は運頼みになる。
 まぁ、運も実力の内だけどね。

 今回のクイズはチーム行動だ。
 会場には ◯と✕大きく書かれている場所があった。
 全員に同じ◯✕問題が出される。 
 相談時間は1分。
 チームを○と✕ 2つに分けることは可能だけど、クイズは全部で10問。
 この方法では突破はできない。
 シンキングタイムの後 一斉に信じる答えの方に行き、答えが発表される。
 正解した人のみが次に進めるルールだ。

 ここでも駆け引きが出来る。
 答えに迷うチームはランクの高いチームの答える方に付いて行くだろう。
 敢えて目立つチームリーダーを間違った方に答えさせて誘導し、迷ったライバル達を脱落させることもできるだろう。
 少しでもライバルを減らせば競技数が減る可能性がある。
 まぁセバっちゃんはそんなに甘く無いけどね。
 思い違いをしていると高ランクであっても痛い目に合う競技だ。
 私としてはなんなら全員落としてくれてもいいけどね。

<んー、これは魔法の追加インストールが必要だなー! っと、えい!かんりょー>

 わたくしみんなのマスコット、ミリーちゃんは次なる準備を進める。
 私はGではない!だから 決して後ろに立たない様に。

 ====================

 ミリーが思った通り、低ランクのパーティーが次々に全滅していった。
 そんな中、リッキルトはこの競技を生き残っていた。
『ビフテの星』はパーティを分けて一方が生き残る方法を序盤で行い、5問目時点で直感で決めてきたリッキルトのみになっていた。
 そこでミリミリに再会した。

「ふーん。一人になっちゃったのか。じゃあ、今は協力しようよ。私も一人だし」

 リッキルトはその申し出に乗っかり、ミリミリの出す答えに乗っかっただけだった。
 途中で爺さん2人が加わり、4人でこの競技を乗り切った。
 というかミリミリが全て答えを決めていた。

 競技が終わり、セバが次の競技の説明を始めた時に騒ぎが起こった。
 それはセバの発した言葉による。

「次の競技もクイズになります。参加できるのは、先程のクイズで生き残った者のみとなります」

 そう、クイズで不正解になった者はパーティーが生き残っていても復活はないのだ。ここで残っていたAランクパーティー「剣武」と「龍殺」ではっきりと明暗が別れた。

 この2チームにとってクイズは簡単すぎた
 龍殺は全員一人も欠けることなく10問を乗り切った。
 しかし、剣武は先程ミリーが考えていたワザとリーダーが間違える作戦をとり、多くのライバルを道ずれにした。
 剣武で生き残ったのは2人だった。

「バカな! パーティー戦だろう!パーティーが生き残ったんだ!全員復活に決まってるだろ!!」

 叫ぶ剣武のリーダー、ブレイド。

「ルールを決めるのはこちらでございます。先ほどのパン食い競争にて脱落した上位ランクによる合格した下位ランクへの脅迫が相次いだ件で緊急説明したとおり、脱落決定した者が復活することは御座いません。その件で学ばれない方が悪いのです」

「せめてメンバー入れ替えだけでも」

「認められません」

 セバの言葉には有無を言わせない力がこもっていた。
 結局ブレイドの復活は認められず、ブレイドの行為は自らとパーティーを犠牲に龍殺を援護する形になってしまった。

「僕達のパーティーは僕一人になってしまった」

「ふーん。私はもともとソロだから関係ないね」

 青ざめるリッキルトと対照的にミリミリは呑気だった。
 こんな一幕があり、第3競技の飛び込み式3連○✕クイズが始まった。

 この競技は個人戦だ。
 残った人数は100人程にまで減っていた。
 問題を出され、会場に設置された○と✕が書かれたパネルに飛び込む。
 正解なら次の問題に進むが不正解だと泥のプールに飛び込む様になっている。
 3問連続正解しないと次に進まない。
 ちなみに◯✕のパネルは魔術士による幻視だ。
 泥のプールも幻視で見えなくする徹底ぶりである。

 この競技で剣武の残った二人も全滅。
 龍殺もリーダーを含む3人になってしまった。
 爺さん二人は二人とも合格。
 リッキルトの番が回ってきた。
 出された問題の答えは全くわからない。
 直感による運任せで決めようとした時、

「○○✕だよ」

 とミリミリの声が聞こえた気がした。
 どうせ解らないのだ。
 リッキルトはその声に従う事にした。

「まさか合格するなんて」

 リッキルトは自身がここまで勝ち進んだことが信じられないでいた。
 まるで神の加護を受けているかのようだ。
 一つ言える事、ミリミリが現れてから、いや、ミリミリに背中を叩かれたあの時からツキに恵まれているという事だ。

<ミミが僕の女神なのかな>

 このオーディションがダメでもミリミリを誘おうかと考えるリッキルトだった。

 その当のミリミリはと言えば、会場をまたも湧かせていた。
 問題を聞く前にパネルに飛び込んでいき、正解していく。
 あからさまに勘だけで生き残った。
 ミリミリの度胸に歓声が起こっている。

 今回の競技、幻視魔法をかけていた魔導士の中に「青薔薇の戦乙女」の魔道士クーンがいた。

「さっきの子、目が赤く光っていたような?それが魔法だとすると 神官か魔導士?でも武闘家だよね?」

 クーンは10年に1人逸材と言われた有能な魔道士であったが赤く光る目についての知識は無かった。

 兎も角この競技で10名が生き残ったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

昨今の聖女は魔法なんか使わないと言うけれど

睦月はむ
恋愛
 剣と魔法の国オルランディア王国。坂下莉愛は知らぬ間に神薙として転移し、一方的にその使命を知らされた。  そこは東西南北4つの大陸からなる世界。各大陸には一人ずつ聖女がいるものの、リアが降りた東大陸だけは諸事情あって聖女がおらず、代わりに神薙がいた。  予期せぬ転移にショックを受けるリア。神薙はその職務上の理由から一妻多夫を認められており、王国は大々的にリアの夫を募集する。しかし一人だけ選ぶつもりのリアと、多くの夫を持たせたい王との思惑は初めからすれ違っていた。  リアが真実の愛を見つける異世界恋愛ファンタジー。 基本まったり時々シリアスな超長編です。複数のパースペクティブで書いています。 気に入って頂けましたら、お気に入り登録etc.で応援を頂けますと幸いです。 連載中のサイトは下記4か所です ・note(メンバー限定先読み他) ・アルファポリス ・カクヨム ・小説家になろう ※最新の更新情報などは下記のサイトで発信しています。  https://note.com/mutsukihamu ※表紙などで使われている画像は、特に記載がない場合PixAIにて作成しています

【完結】甘やかな聖獣たちは、聖女様がとろけるようにキスをする

楠結衣
恋愛
女子大生の花恋は、いつものように大学に向かう途中、季節外れの鯉のぼりと共に異世界に聖女として召喚される。 ところが花恋を召喚した王様や黒ローブの集団に偽聖女と言われて知らない森に放り出されてしまう。 涙がこぼれてしまうと鯉のぼりがなぜか執事の格好をした三人組みの聖獣に変わり、元の世界に戻るために、一日三回のキスが必要だと言いだして……。 女子大生の花恋と甘やかな聖獣たちが、いちゃいちゃほのぼの逆ハーレムをしながら元の世界に戻るためにちょこっと冒険するおはなし。 ◇表紙イラスト/知さま ◇鯉のぼりについては諸説あります。 ◇小説家になろうさまでも連載しています。

【本編完結】五人のイケメン薔薇騎士団団長に溺愛されて200年の眠りから覚めた聖女王女は困惑するばかりです!

七海美桜
恋愛
フーゲンベルク大陸で、長く大陸の大半を治めていたバッハシュタイン王国で、最後の古龍への生贄となった第三王女のヴェンデルガルト。しかしそれ以降古龍が亡くなり王国は滅びバルシュミーデ皇国の治世になり二百年後。封印されていたヴェンデルガルトが目覚めると、魔法は滅びた世で「治癒魔法」を使えるのは彼女だけ。亡き王国の王女という事で城に客人として滞在する事になるのだが、治癒魔法を使える上「金髪」である事から「黄金の魔女」と恐れられてしまう。しかしそんな中。五人の美青年騎士団長たちに溺愛されて、愛され過ぎて困惑する毎日。彼女を生涯の伴侶として愛する古龍・コンスタンティンは生まれ変わり彼女と出逢う事が出来るのか。龍と薔薇に愛されたヴェンデルガルトは、誰と結ばれるのか。 この作品は、小説家になろうにも掲載しています。

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろうにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫
恋愛
 病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。  病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。  元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!  でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

婚約破棄された地味姫令嬢は獣人騎士団のブラッシング係に任命される

安眠にどね
恋愛
 社交界で『地味姫』と嘲笑されている主人公、オルテシア・ケルンベルマは、ある日婚約破棄をされたことによって前世の記憶を取り戻す。  婚約破棄をされた直後、王城内で一匹の虎に出会う。婚約破棄と前世の記憶と取り戻すという二つのショックで呆然としていたオルテシアは、虎の求めるままブラッシングをしていた。その虎は、実は獣人が獣の姿になった状態だったのだ。虎の獣人であるアルディ・ザルミールに気に入られて、オルテシアは獣人が多く所属する第二騎士団のブラッシング係として働くことになり――!? 【第16回恋愛小説大賞 奨励賞受賞。ありがとうございました!】  

処理中です...