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2章
目覚め
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「............」
目の前が眩しい。まるで、日差しが直接視界に入り込んだかのような眩しさだ。
うっすらと目を開けると、あけ放たれた窓からそよそよと風が入ってきて、カーテンをはためかせている。
......私、たしか。
一体どれくらいの時間寝てたんだろう。体を起こして窓の外を見てみる。いつもの通り、手入れされた庭。変わらない森の風景。でもなんかちょっと変わったような気がする、いつもの光景。
起き上がるとずっと同じ体制だったから、背中も肩もめちゃくちゃぽきっと骨が鳴る。ベッドから降りて、上着を羽織って部屋を出る。いつまでも寝てるわけにはいかないし......。
★
「――......誰?」
リビングに行くと、白衣を着たもっさりとしたブロンドの鳥の巣頭の、見慣れないおじさんがソファに座って魔法石を弄っていた。
まじで、誰なん?とファフくんに問いたい。ファフくんが招いた客人だろうか?
おじさんは私を見るやいなや、ずびっと鼻水をすすり、着用していた瓶底眼鏡を曇らせた。
なに、なんなの?私になにかあるの?
見慣れないおじさんは黙って立ち上がる。すると、こちらに駆け寄り――。
「ね”、ね”ぇざぁぁああぁぁぁんっ”」
「えっ、きゃあッ!え、え!誰よ!ちょ、近づかないで!くっさ!加齢臭くっさ!」
咄嗟の行動に反応できなく、おじさんは私に抱き着く。汗臭さと加齢臭の臭いがキツイ。体つきはまぁまぁ、いいとして。まじで、このおじさん見慣れない。
咄嗟に防壁魔法を展開して、おじさんを突き放す。
「姉さん!酷い!20年振りの弟との再会なのに!」
「弟......私こんな大きくて、体臭くさいおじさんを弟にしたつもりなんか......」
「カールだよ!20年経過したから、見てくれもかわっちゃったけど」
「......え、カール?......うっそ。......嘘ついてなさそうだし。......マジ?」
おじさん――カールは自分を指さして自己紹介をする。......そういえば、声は低くなったし、出会った頃と比べるとちょっと変わったような気がするが......目の色と髪色はカールだ。
ファフくんが知らない人間をここに入れるわけないだろうし。
「――あなた、どうして」
「あの後、統治者を失くした国民の暴動で、皇国が無くなっちゃって......。住むところもないし、姉さんがいったんじゃないか。ここに住むか、レオン兄さんが治める王国に行くか。心配だし、ここに残っちゃった」
「......馬鹿ね。王国に言って人生を謳歌した方があなたの為だったのに」
「それもそうなんだけど......魔石の研究もしたかったし。僕にはどうも人と関わるのが性に合わなくって」
たはは、とカールは頭を掻く。私の与えた選択だし、これ以上いうのも野暮だろう。それに、ファフくんと2 人だし。......また、目の前で死なれるよりここにいてくれたほうが内心安心する......かも。
「......とりあえず、事情はわかった。ファフくんは?」
「今は森の見回りに言ってるよ。さっき魔法で伝えたからすぐ戻ってくると思うけど――」
「おい!目覚めたというのは本当かッ!」
バンッ!と扉が強く開かれる音がした。音がした方向を見ると、息を切らしたファフくんが立っていた。人型の姿。しかし、なんか、アメジストの瞳はいつもより優し気で、寂しそうな感じが――。
「馬鹿者!20年も眠りこけおって!この20年!おまえのせいで禁酒の日々だ!」
「............ファフくん。長い眠りから覚めた友人への第一声がそれって......。アル中の重症患者じゃん」
心配してくれる雰囲気だったのだが、第一声が酒って。私たちの友情酒から始まった?と問いかけたくなる。
でも、心なしか、ファフくん鼻声?ファフくんは腕を組んで鼻息を鳴らす。
「なにをワケのわからんことをいっているのだ。......ったく、心配かけおって。この僕を20年待たせるなんて。暇過ぎて、今では人間が行う雑事すべてこなせるようになってしまったではないか」
......ああ、だから庭とか家の中が綺麗なのか。てっきりカールが掃除していたのかと持っていたが......。私が寝ている間、家の中も管理していてくれたんだね。
あの気位が高いファフくんが。なんだかほっこりする。
「......ありがとう、ファフニール」
「――!きゅ、急になんだ、いつものように呼ばないと調子が狂うではないか」
「いや、色々と迷惑かけたからさ。......それで、20年の状況報告、お願いしてもいいかな」
「まぁ、そうだろうな。いいだろう。とりあえず、おまえが倒れた後からの話でいいな?」
そうして、目覚めた私は20年の状況報告をファフくんとカールから聞くこととなる。
――――。
皇国の城を破壊した後、城で生き埋めになっていた私を救出したファフくん。しかし、その状況を他国の間者に見られたらしく、ファフくんが皇国を襲撃したと勘違い。
勘違いした周辺諸国は、これを脅威と感じ、死海の森に逃げたファフくんを打倒すべく、討伐部隊を編成した。
森中を囲われ、火を放たれたファフくんは、私が渡した都市創造魔法を使って、元の土地と森を引き離して、空中都市を完成させた。
その後は、討伐部隊からの攻撃も逃れて、この20年森に平穏が訪れている――そうだ。
また、この20年。さまざまなことが起こった。
主を失くした皇国は、内部分裂を起こし、内乱状態。しかし、アースガルド王国、現国王レオン・アースガルドが内乱を鎮め、元皇国を王国に取り込む。
騎士時代からの功績も影響して、さらなる名声もあがって、今では世界的な英雄としても語られている。
南方にいるアースとレイナは植物研究の第一人者として、各地を飛び回っている。ちなみに、二人は結婚して、子供も生まれているそうだ。これは時々、空中都市から様子をみにいっているサードからの報告なので、間違いはない。
アールは遺体を回収出来なく、どこに安置されているのかもわからなかったそうで。墓を立てようにも、立てれなかったそうだ。......せめて供養だけはしてあげたいと、アールのお墓を屋敷の裏あたりに立てることにした。
私が契約している従魔たちも、シーフは小屋暮らしをしているが、サードとグレートは番を見つけて、子供まで生んでるらしい。20年の歳月は長いのだと実感させてくれる出来事ばかりだ。
20年の報告を受けた私は、20年の空白を埋めるべく、従魔たちに会いにいったり、都市創造魔法の稼働状態の確認......ファフくんご所望のお酒作りに精を出した。
目の前が眩しい。まるで、日差しが直接視界に入り込んだかのような眩しさだ。
うっすらと目を開けると、あけ放たれた窓からそよそよと風が入ってきて、カーテンをはためかせている。
......私、たしか。
一体どれくらいの時間寝てたんだろう。体を起こして窓の外を見てみる。いつもの通り、手入れされた庭。変わらない森の風景。でもなんかちょっと変わったような気がする、いつもの光景。
起き上がるとずっと同じ体制だったから、背中も肩もめちゃくちゃぽきっと骨が鳴る。ベッドから降りて、上着を羽織って部屋を出る。いつまでも寝てるわけにはいかないし......。
★
「――......誰?」
リビングに行くと、白衣を着たもっさりとしたブロンドの鳥の巣頭の、見慣れないおじさんがソファに座って魔法石を弄っていた。
まじで、誰なん?とファフくんに問いたい。ファフくんが招いた客人だろうか?
おじさんは私を見るやいなや、ずびっと鼻水をすすり、着用していた瓶底眼鏡を曇らせた。
なに、なんなの?私になにかあるの?
見慣れないおじさんは黙って立ち上がる。すると、こちらに駆け寄り――。
「ね”、ね”ぇざぁぁああぁぁぁんっ”」
「えっ、きゃあッ!え、え!誰よ!ちょ、近づかないで!くっさ!加齢臭くっさ!」
咄嗟の行動に反応できなく、おじさんは私に抱き着く。汗臭さと加齢臭の臭いがキツイ。体つきはまぁまぁ、いいとして。まじで、このおじさん見慣れない。
咄嗟に防壁魔法を展開して、おじさんを突き放す。
「姉さん!酷い!20年振りの弟との再会なのに!」
「弟......私こんな大きくて、体臭くさいおじさんを弟にしたつもりなんか......」
「カールだよ!20年経過したから、見てくれもかわっちゃったけど」
「......え、カール?......うっそ。......嘘ついてなさそうだし。......マジ?」
おじさん――カールは自分を指さして自己紹介をする。......そういえば、声は低くなったし、出会った頃と比べるとちょっと変わったような気がするが......目の色と髪色はカールだ。
ファフくんが知らない人間をここに入れるわけないだろうし。
「――あなた、どうして」
「あの後、統治者を失くした国民の暴動で、皇国が無くなっちゃって......。住むところもないし、姉さんがいったんじゃないか。ここに住むか、レオン兄さんが治める王国に行くか。心配だし、ここに残っちゃった」
「......馬鹿ね。王国に言って人生を謳歌した方があなたの為だったのに」
「それもそうなんだけど......魔石の研究もしたかったし。僕にはどうも人と関わるのが性に合わなくって」
たはは、とカールは頭を掻く。私の与えた選択だし、これ以上いうのも野暮だろう。それに、ファフくんと2 人だし。......また、目の前で死なれるよりここにいてくれたほうが内心安心する......かも。
「......とりあえず、事情はわかった。ファフくんは?」
「今は森の見回りに言ってるよ。さっき魔法で伝えたからすぐ戻ってくると思うけど――」
「おい!目覚めたというのは本当かッ!」
バンッ!と扉が強く開かれる音がした。音がした方向を見ると、息を切らしたファフくんが立っていた。人型の姿。しかし、なんか、アメジストの瞳はいつもより優し気で、寂しそうな感じが――。
「馬鹿者!20年も眠りこけおって!この20年!おまえのせいで禁酒の日々だ!」
「............ファフくん。長い眠りから覚めた友人への第一声がそれって......。アル中の重症患者じゃん」
心配してくれる雰囲気だったのだが、第一声が酒って。私たちの友情酒から始まった?と問いかけたくなる。
でも、心なしか、ファフくん鼻声?ファフくんは腕を組んで鼻息を鳴らす。
「なにをワケのわからんことをいっているのだ。......ったく、心配かけおって。この僕を20年待たせるなんて。暇過ぎて、今では人間が行う雑事すべてこなせるようになってしまったではないか」
......ああ、だから庭とか家の中が綺麗なのか。てっきりカールが掃除していたのかと持っていたが......。私が寝ている間、家の中も管理していてくれたんだね。
あの気位が高いファフくんが。なんだかほっこりする。
「......ありがとう、ファフニール」
「――!きゅ、急になんだ、いつものように呼ばないと調子が狂うではないか」
「いや、色々と迷惑かけたからさ。......それで、20年の状況報告、お願いしてもいいかな」
「まぁ、そうだろうな。いいだろう。とりあえず、おまえが倒れた後からの話でいいな?」
そうして、目覚めた私は20年の状況報告をファフくんとカールから聞くこととなる。
――――。
皇国の城を破壊した後、城で生き埋めになっていた私を救出したファフくん。しかし、その状況を他国の間者に見られたらしく、ファフくんが皇国を襲撃したと勘違い。
勘違いした周辺諸国は、これを脅威と感じ、死海の森に逃げたファフくんを打倒すべく、討伐部隊を編成した。
森中を囲われ、火を放たれたファフくんは、私が渡した都市創造魔法を使って、元の土地と森を引き離して、空中都市を完成させた。
その後は、討伐部隊からの攻撃も逃れて、この20年森に平穏が訪れている――そうだ。
また、この20年。さまざまなことが起こった。
主を失くした皇国は、内部分裂を起こし、内乱状態。しかし、アースガルド王国、現国王レオン・アースガルドが内乱を鎮め、元皇国を王国に取り込む。
騎士時代からの功績も影響して、さらなる名声もあがって、今では世界的な英雄としても語られている。
南方にいるアースとレイナは植物研究の第一人者として、各地を飛び回っている。ちなみに、二人は結婚して、子供も生まれているそうだ。これは時々、空中都市から様子をみにいっているサードからの報告なので、間違いはない。
アールは遺体を回収出来なく、どこに安置されているのかもわからなかったそうで。墓を立てようにも、立てれなかったそうだ。......せめて供養だけはしてあげたいと、アールのお墓を屋敷の裏あたりに立てることにした。
私が契約している従魔たちも、シーフは小屋暮らしをしているが、サードとグレートは番を見つけて、子供まで生んでるらしい。20年の歳月は長いのだと実感させてくれる出来事ばかりだ。
20年の報告を受けた私は、20年の空白を埋めるべく、従魔たちに会いにいったり、都市創造魔法の稼働状態の確認......ファフくんご所望のお酒作りに精を出した。
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