世界最強の魔女は争い事に巻き込まれたくないので!邪竜と無自覚に英雄を育てながらひっそりと暮らしたい

赤羽夕夜

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ふぁふくんまじでごめんて

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子供たちを拾ってから、一人だった屋敷は子供たちの賑やかな声で溢れていた。鬱蒼とした森林の風景とそぐわないほのぼのさに、皇国であった嫌なことなんて全て忘れるくらい。私には楽しくて、大変な時間だ。



この死海の森がなければこんな楽しい時間を過ごせなかったし、居場所を提供してくれたファフくんには感謝してもし足りない。



ファフくん。……あれ?そういえば、忙しすぎて忘れてたけど、ファフくんに会ったのっていつだっけ。……たしか、子供たちを拾った夜くらいからだから。



「あ、もう1年もあってない」

「なにが?」



私の呟きに反応したアール。そして魔力を貯める練習をしながらついてくるレオンは聞き返す。この森の主であるファフくん、……ファフニールのことと、1年会っていないことを伝えると顔を真っ青にして「それなら早く会いに行かないと」と会うことをすすめる。



1年って短いけど、人間に取っては長い時間なんだよね。すっかり忘れてた。あっという間に時間は過ぎていくものだから。



友達の存在を忘れるって、私ってば意外に薄情。ちょっと落ち込む。謝罪の意も込めて、最近つくった林檎のブランデーを樽に詰めてファフくんに会う準備をする。









「ファフく~ん!1年間忘れててごめんね!私生活が忙しくて!ほら、新しく林檎のブランデーを作ったの。よかったら受け取って」

浮遊魔法を使って樽を運び、ファフくんが暮らす洞窟に向かった。すると既に洞窟から顔を出して眠っていたファフくんが居た。眠たげに瞼を持ち上げるファフくん。どこか不機嫌そうに「久しぶりというほどでもないが、久しぶりといっておこうか」と皮肉気に唸った。



めちゃくちゃ不機嫌じゃん。



「すぐに死ぬ人の子供なんか拾ったのはいいが、意外にも育てるのが難しく、僕に酒を貢ぐことを忘れるくらいに多忙だったのは僕の耳に届いている。気にすることはない」

「ごめん。別に私たちにとっては1年くらい大した時間じゃないでしょ?ほら、飲んで飲んで」



こういう時は賄賂に限る。私はいつものように酒の蓋を開けてファフくんに差し出した。林檎の豊潤な香りが鼻孔を擽ったのだろう。上機嫌に瞳を細めると、長く、肉厚な舌を酒の上に垂らす。



「ん。この酒も気に入った。ワインもいいが、こちらのブランデーもさっぱりとした甘さでうまい」

「でしょ!子供たちがアースガルド王国の王都の方まで買いに行ってくれるから、酒類はもちろん、この森にはない果実とかも手に入りやすくなったの」

創造魔法とかで、果実の種とか生成できるけど如何せん自分が食べたいものじゃないと作る気が起きないからな。誰かに買ってきてもらった方が思い出せるし、色々な果実を食べれるし。



と頭の片隅で思っていると、ファフくんの視線が私の後方に向けられた。じぃっと一点を見つめるように見ているので、後ろを振り返ってみる。

「おい、ガキ。そんなので隠れているつもりか?木陰に隠れていても不愉快だ。さっさと出てこい」

「…………姉さん」



ファフくんが言葉を投げると、木陰に現れたのはレオンだった。ここから家まで数キロは離れている。私は浮遊魔法でここまで来たので、数分もなかったが。私の後を普通に追ってくると数十分はかかる。



……身体強化魔法を使ったのだろうか。というかなんでここにいるの?



「姉さんが珍しく慌てて身支度を整えて、酒樽を持ってどこかへ行くから……心配でついてきた。ごめん」

「あ?……あ~。そっか。あなたたち拾ってからファフくんのとこ行ってなかったから不信に思ったのね。心配かけたね。今度からちゃんと言ってでるよ」

「姉さんが謝ることないよ。俺が勝手についてきただけだから。それより、このドラゴンって……」

「ファフくんのこと?死海の森の伝説は聞いたことは?」

「世界を滅ぼしうる災厄の邪竜、ファフニールのことは母さんたちがしてくれたおとぎ話で聞いたことがあるけど……まさか本当の話だったなんて」



死海の森の伝説は皇国で書物になるくらいには知られているが、王国ではどうなのだろうか?……という疑問は不要だったようだ。



ファフくんの正体を知ったレオンは驚き、目を丸くさせてファフくんを見上げた。怖いのだろうか?目の前の邪竜という脅威に体が震えていた。



「怖くないよ。見た目は怖いけど、ファフくんは伝説と違って優しい――」

ファフくんが会話を遮るように鋭い牙を覗かせた。まるで湿った空気が一瞬で凍ったような冷たさを感じる。でも、それは私に向けられたのではなくて――。

「ガキ。僕を前にして頭が高い。人間ごとき……しかもただの人間のガキが僕の姿を見ることすら不敬だ。不愉快だ。僕をじろじろ見るんじゃない。――そして、膝をつけ。喰らうぞ」



息が詰まる――。生唾を飲み込む音が聞こえた。あんなに優しいファフくんの声から温もりが消えたような声だった。冷徹さはレオンに向けられ、レオンはファフくんから目を逸らすしかなかった。



「ちょ。ファフくん?急にどうしたの?そんなに怖い態度で接したら子供たち怖がるでしょ」

「エミリア、黙っていろ。――人間。僕は残忍で残虐な邪竜だ。お前たち如き、吐息ひとつで殺すことができる。そして、この森は僕の居住域だ。エミリアは僕に正式な許可を得ているので、許してやっているがお前たちは違う。要約すれば、僕の縄張りに勝手に入るな」



え、ファフくん?そんなことで?……確かに、縄張り意識は強いな~とは思ってたけどさ。それだけで怒ることなの?



「子供たち拾った時、そんなこと言ってなかったじゃん」

「おまえに与えた領域内で過ごしてたから無駄な口を挟まなかっただけだ。おまえに与えた縄張りでなにをしようと僕が口を挟む余地はない。だが、僕の縄張りに入るのであれば話は別。エミリアと同じように接してもらえると思うなよ」

「ごめんなさい」

「ごめんなさいで済めばこの世に魔族など存在はせん」

「ファフくん、子供相手に大人げない。危害を加えたわけでもあるまいし。それに勝手に踏み入るなって言えば私もそれに入ると思うんだけど?」

「おまえは酒を持ってくるからだろう。僕の数少ない娯楽だからな」



ファフくんはちょっと得意気に鼻息を漏らす。ファフくんが縄張り意識が高いことはわかったけど……でも、そうならそうで元から私にそういっといてくれればこんなトラブル起きなかったのでは?……レオンが怖がる事態になったのは私たちの意思疎通があまり出来ていなかったせい。



「……そう。そんなにファフくんが誰かにプライベートゾーンに入られたくなかったんだ。じゃあ、私、これからお酒もってくるのやめるね」

ここに住まわせてもらっているお礼もかねて作っていたものだったが、本人が人間に縄張りに踏み入られるのが嫌なら仕方ない。



「あ、いや?酒は全然迷惑ではないぞ?子供たちをここに入れないでくれればそれで済む話で――」

「一応この森で暮らしている以上、子供たちがここに踏み入る可能性はあるわけだし。その度にこんな脅迫されたら子供たちが可哀相だし~。子供たちが成長するまではここに来るのを辞めるしかないな~」

「そのガキたちを外に抛り出せばいい話ではないか!」



ファフくんの咆哮のような大声に木々がざわつく。緊迫した風が頬を撫でる。



けれど引き下がらない。このまま何もしないで放置してたらレオンが殺されないにしても、痛い目に遭いそうだったから。精神的に。

それに、助けた命なのに台無しにされては困る。一度無事に育てると決めたのだから、最後までやり通したい。



「一応助けた命だし、弱いままで外に放りだした途端死体になられるのは目覚めが悪いの。それにこの森に済む以上は死体なんて目覚めの悪いもの置きたくないから」

「……ぬ、ぬぅ」

「後4年くらいの辛抱じゃない。ファフくんから見れば豆粒のような命の子供くらい、寛大な心で見逃してよ。というか、ここにいる以上手違いで入り込むこともあるかもしれないし、許容して。ね?」

(……すごい、姉さん。伝説の邪竜相手に対等に話し合えるなんて。俺たちだったら一瞬で消し炭にされる)



ファフくんの瞳が揺れる。意思が揺れるようなそんな視線。交渉まで後もうちょっと。



――ふっふっふ。ファフくんが押しと物欲に弱いのは知ってるんだから。それに、なんだかんだいって優しいから、少なくとも私には酷いことをはしない……はず。



「それに、子供たちが外にお酒を買いに行ってくれたおかげで今飲んだ林檎のブランデーが飲めたんだよ?子供たちが人間の街に買い物に行ってくれたらもっと美味しいお酒が飲める……かも?」

「……はぁ。お前は交渉がうまいな。――いいだろう。そのガキの無礼は見逃してやろう。一応他のガキたちもここに踏み入ることは許してやる。だからといって調子に乗られても困るがな」



一難去った。ファフくんは草木を揺らすような強風……ため息を就いた。髪が靡くのを手で抑える。せっかく櫛で解いたのに、くちゃくちゃになっちゃう。



とりあえず、許して貰えたことにほっと一息。ファフくんには迷惑を掛けたのでまた美味しいお酒をもっていってあげよう。



「ただ、今回の件の詫びとしてもう少し酒を持って来る頻度は増やせ。人手があるのだから酒を作る数くらい増やせるだろう?」



急なお願いだな。けど...…。



「頻度を増やすのはいいけど……子供たちの勉強もあるし、期待するほど持って来れないよ?」

「どれくらいだ」

「ん……月に2回くらい?」

「それでは少ない!週2だ。それに1樽じゃ足りん。せめて5は欲しい」

「無理ゆうな!自分たちの食い扶持の面倒もみなきゃいけなのに!」



ファフくんは不機嫌に尻尾をびたんと地面に打ち付ける。機会のように「酒は週に2回もってこい」と断固として譲らない。



お酒の大量生産は果実を育てて、潰して、発酵させてと魔力を意外に使うのだ。それに踏みつぶす作業は自分でやっているので体力も消費する。



「品質を下げていいなら用意できるよ?今のお酒は発酵とかは魔法でなんとかしてるけど、踏みつぶす作業やろ過とかは自分でやってるし」

「いや……あの酒の味なら味は落ちても美味しいだろうが……でも、それは困る」



と思っているとピンと明暗が浮かんだ。

「……あ、そうだ。じゃあ、ファフくん、お酒作りを手伝ってくれるか、子供たちに魔法を教えてくれるか。どっちか手伝ってよ」

「……なに?」



そういえば、ファフくんは以前、やろうと思えば人の姿になれると聞いたし、自由自在にその体を変化させることができるのではないだろうか。



苦手だとはいってたけど、できないとは言っていない。



お酒の製造も、子供たちの面倒もちょっと大変だし。どちらかをちょっとだけ手伝ってくれれば、お酒の生産を増やせるわけだし。



「なんで僕がガキたちの面倒を見てやらねばならん!酒の製造も前言ったように力加減を

間違えて器具とか、果実とか粉々にしてしまいかねん」

「私がどんなに頑張っても月2くらいが限界だよ?ちょっとお仕事を負担してくれるだけで、ファフくんへのお酒の納品が週1くらいまで短くなるし。……どう?」



もう一押し。「手伝ってくれるなら料理もつけちゃう」と冗談めかしに言うと、ファフくんはうなだれた。

「ぐぐぐ……本当に交渉上手だな。……いいだろう。週1で妥協してやる。ガキたちの面倒を見ればよいのだろう」

「うん。毎日じゃなくていいから」

「……いいや。おまえには酒の製造に専念してもらいたいからな。仕方ない。しばらくおまえの所で寝泊りさせてもらうぞ」

「うん!それはいいし、部屋はめちゃくちゃ余ってるけど……いいの?」

「僕に二言はない。だからお前も約束はたがえるなよ」



亀が甲羅に引きこもるように洞窟の中に埋まっていたファフくんが、洞窟から体全てを取り出した。黒鉄に包まれた鱗は輝きを増し、咆哮をあげると体全体が魔力がこもった光に包まれる。



光は繭状になって、ビルのように背の高いファフくんの体は徐々に小さくなっていく。四足が二足二手になって、がたいのいい漆黒の長髪と鋭い紫曜の瞳が特徴の好青年に姿を変えた。



邪竜姿もよかったが、擬人化したらめちゃくちゃイケメンなのに驚くほかない……。

自分の腕や足、後ろをくるりと回って完全に擬態しているかどうか確認するファフ君は、満足気に頷いた。



……でも、いや、ちょっと。

「よし。まぁまぁの出来だ。ガキの体に合わせてやってもよかったのだが。礼儀知らずな人間相手だと舐められる恐れがあるから人間の青年くらいの体に合わせた」

「ふぁ、ふぁふにーるくん?」



ついひらがなになってしまう呂律。ファフくんは不思議そうに私に歩み寄って顔を覗き込むように「なんだ」と返事を返した。



いや、待って。というか……。



「ふ、服来てよファフく~ん!」



着ていたローブをファフくんに投げつけた。顔に当たったのか「ぶふぉ」と邪竜らしからぬ声が聞こえたがそれはもう……気にしないことにした。



……まじまじと見てしまったけど……色々とデカいな。
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