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温かいもの、どうぞ
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「はい、到着。......あなたたち、汚れているわね。服がボロボロで泥だらけ。そんなので家にあがって欲しくないので、ここでお風呂に入りなさい」
奴隷の子供たちを連れて家の前に一瞬で到着。
子供たちは未だ怯えた表情でこちらを見ているけど、気にしない。変に寄り添ったところで疲れるし、なら抵抗しないうちは私がやりたいようにやらせてもらう。
まずはお風呂から。屋上露天風呂を空間移動魔法を使って庭に出現させ、誰も来ることはないけど、気分的によろしくないので外から見えないように衝立と脱衣所用のテントも作る。
広大な庭に巨大な露天風呂の出現に子供たちは驚きの声を上げた。
反応は予想の範疇内だ。私だって、転移魔法の存在を知らなければ卒倒しただろう。でも一々驚いてもらっては困る。
......あ、そういえば、この子たちの中に一人女の子がいるじゃないか。お風呂はひとつしか用意してないし、私はこの子たちの後に入ろうとしていたからな。仕方ないから私と一緒に入ってもらうか。
そう考えていると、リーダー格の男の子が集団の前に出た。
「おまえは…...いや、あなたは何者なんだ?」
「私......?私は…...そうね。この森に住む隠居した魔女とでもいっておこうかしら。人間社会で生きるのにも疲れたので、誰も寄り付かないこの森に住んでいるの」
口を開いたリーダーの子供は当然の質問をする。答えようにも生い立ちなんて複雑だし、聖女なんて言っても面倒なことになるので、適当に誤魔化した。
それで信じてくれたようで、リーダー格の子供は「そうなんだ…」とうなずいた。
「あの......俺たちを助けてくれて......ありがとう」
納得したのか、少しの会話で緊張がほぐれたのか、安堵したように声を震わせて礼を述べる。小さい頭をぺこりと下げると、心配そうにリーダーを見守っていた子供たちは小さな声で「ありがとう」と次々とお礼の言葉を続けた。
お礼を言われるのは悪い気分ではない......、けど私のエゴで保護したようなものだしな。恩を感じられるのは面倒だ。
「森に子供の死体があると目覚めが悪いから手を差し出しただけ。あなたたちの為じゃないので、お礼を言うのは不要よ。とりあえず、お風呂に入ってくれるかしら?洗濯ができないから」
「あ......ごめんなさい」
ちょっと言い方がキツかったかな?本当のことだから、訂正はしないけど。
汚れた衣服を脱ぎ捨てる子供たちの服を回収していく。......あ。
「ちょ......ちょっと待ちなさい!そこの女の子!あなたよ!あなたは別!男どもと入らせるわけないでしょ!」
パーマのブロンドのセミロングヘアの女の子はドロワーズだけを残して服を脱いでいた。私の配慮が足りないのが原因だけど......。でも、男と一緒にお風呂に入るのにためらいがないなんて!
「わ......わたし、なにか......」
「女の子は別!羞恥心とかないわけ?普通は異性と同じ風呂に入らないものなのよ。あなたは私と一緒に入るのよ。1人で入りたいならそれでもいいけど。とりあえず、入るのは男共が終わった後!」
とりあえず転移魔法で取ってきた新品のタオルを巻いて少しだけお風呂に入るのを待ってもらう。女の子はこくり、と頷くとお風呂に入っている子供たちを羨ましそうに見ていた。
......。
「はい、コーンスープ。うち家畜飼ってないから、牛乳じゃなくて豆乳を使ってるけど。でも幾分は美味しいはず」
お風呂に入って身綺麗にした子供たちに暖かいスープを提供した。......といっても今朝作りすぎた残りを温めただけだけど。
子供たちはずっとご飯を食べてないのか、お腹をきゅるると唸らせて無言でスープを喉に流した。
「んんぐッ、んぐ」
「おいひぃ......おいひぃい......」
「んぐッ......ぷはッ」
かちゃ、かちゃと食器の音が静寂の空間に響く。しばらくするとスープの皿は空となった。子供たちの口には黄色い髭がついており、頬はスープの暖かさのおかげで色づいていた。満足気な表情が小動物見たいで可愛い。
「お代わりいる?」
と聞いてみると、全員が同時に大きくうなずいた。
浮遊魔法を使って鍋を持ってきて、5人にスープを注いであげると、それはもう幸せそうに鍋の中のスープをすべて飲み干した。物足りなさそうにしてたけど......ま、一人暮らしの作りすぎの量なので、今はその量で勘弁して欲しい。
また明日、起きたら朝食くらいは多目に作ってあげるから。
奴隷の子供たちを連れて家の前に一瞬で到着。
子供たちは未だ怯えた表情でこちらを見ているけど、気にしない。変に寄り添ったところで疲れるし、なら抵抗しないうちは私がやりたいようにやらせてもらう。
まずはお風呂から。屋上露天風呂を空間移動魔法を使って庭に出現させ、誰も来ることはないけど、気分的によろしくないので外から見えないように衝立と脱衣所用のテントも作る。
広大な庭に巨大な露天風呂の出現に子供たちは驚きの声を上げた。
反応は予想の範疇内だ。私だって、転移魔法の存在を知らなければ卒倒しただろう。でも一々驚いてもらっては困る。
......あ、そういえば、この子たちの中に一人女の子がいるじゃないか。お風呂はひとつしか用意してないし、私はこの子たちの後に入ろうとしていたからな。仕方ないから私と一緒に入ってもらうか。
そう考えていると、リーダー格の男の子が集団の前に出た。
「おまえは…...いや、あなたは何者なんだ?」
「私......?私は…...そうね。この森に住む隠居した魔女とでもいっておこうかしら。人間社会で生きるのにも疲れたので、誰も寄り付かないこの森に住んでいるの」
口を開いたリーダーの子供は当然の質問をする。答えようにも生い立ちなんて複雑だし、聖女なんて言っても面倒なことになるので、適当に誤魔化した。
それで信じてくれたようで、リーダー格の子供は「そうなんだ…」とうなずいた。
「あの......俺たちを助けてくれて......ありがとう」
納得したのか、少しの会話で緊張がほぐれたのか、安堵したように声を震わせて礼を述べる。小さい頭をぺこりと下げると、心配そうにリーダーを見守っていた子供たちは小さな声で「ありがとう」と次々とお礼の言葉を続けた。
お礼を言われるのは悪い気分ではない......、けど私のエゴで保護したようなものだしな。恩を感じられるのは面倒だ。
「森に子供の死体があると目覚めが悪いから手を差し出しただけ。あなたたちの為じゃないので、お礼を言うのは不要よ。とりあえず、お風呂に入ってくれるかしら?洗濯ができないから」
「あ......ごめんなさい」
ちょっと言い方がキツかったかな?本当のことだから、訂正はしないけど。
汚れた衣服を脱ぎ捨てる子供たちの服を回収していく。......あ。
「ちょ......ちょっと待ちなさい!そこの女の子!あなたよ!あなたは別!男どもと入らせるわけないでしょ!」
パーマのブロンドのセミロングヘアの女の子はドロワーズだけを残して服を脱いでいた。私の配慮が足りないのが原因だけど......。でも、男と一緒にお風呂に入るのにためらいがないなんて!
「わ......わたし、なにか......」
「女の子は別!羞恥心とかないわけ?普通は異性と同じ風呂に入らないものなのよ。あなたは私と一緒に入るのよ。1人で入りたいならそれでもいいけど。とりあえず、入るのは男共が終わった後!」
とりあえず転移魔法で取ってきた新品のタオルを巻いて少しだけお風呂に入るのを待ってもらう。女の子はこくり、と頷くとお風呂に入っている子供たちを羨ましそうに見ていた。
......。
「はい、コーンスープ。うち家畜飼ってないから、牛乳じゃなくて豆乳を使ってるけど。でも幾分は美味しいはず」
お風呂に入って身綺麗にした子供たちに暖かいスープを提供した。......といっても今朝作りすぎた残りを温めただけだけど。
子供たちはずっとご飯を食べてないのか、お腹をきゅるると唸らせて無言でスープを喉に流した。
「んんぐッ、んぐ」
「おいひぃ......おいひぃい......」
「んぐッ......ぷはッ」
かちゃ、かちゃと食器の音が静寂の空間に響く。しばらくするとスープの皿は空となった。子供たちの口には黄色い髭がついており、頬はスープの暖かさのおかげで色づいていた。満足気な表情が小動物見たいで可愛い。
「お代わりいる?」
と聞いてみると、全員が同時に大きくうなずいた。
浮遊魔法を使って鍋を持ってきて、5人にスープを注いであげると、それはもう幸せそうに鍋の中のスープをすべて飲み干した。物足りなさそうにしてたけど......ま、一人暮らしの作りすぎの量なので、今はその量で勘弁して欲しい。
また明日、起きたら朝食くらいは多目に作ってあげるから。
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