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過去話②
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マリア・クライゼルはアシュリーにさまざまな感情を与えた。
だからこそ、あの日の彼女の涙を彼は見過ごすことができなかった。
中等部がはじまって少ししてからのこと。
マリアとアシュリーは図書室という限定的な場所ではあるが時々顔を合わせる間柄となった。
ある日は今日の天気の話。ある日は自分の家族たちの話。そして日常の話。
なんの面白みもない話ではあったが、自分を特別と接しないマリアに居心地の良さをアシュリーは覚えた。
そんなある日のことだった。
「うぅ......ぐすっ……」
アシュリーがいつものように図書室に行くとマリアの姿がいつもの席になかった。
部屋の四隅をくまなく探すと、図書室の後ろ扉に近い席でうずくまってすすり泣いていた。
「どうしたのだ?」
何時も笑顔を見せてくれる彼女。その泣いている姿に胸の痛みを覚え、そっと話しかけた。
マリアはアシュリーの存在に気づくと指で涙をぬぐい、気丈を装うように笑ってみせた。
「なんでもありません。私の考えすぎなんです」
泣いていたからか声は震えている。渇いたような声にただ事ではないとアシュリーは食い下がりマリアに泣いている理由を問う。
何回かの問答の末、おずおずと「それが......」と言葉を続けた。
「同じクラスに……ミリアーナ・アーテルさんという方がいるのですが……。その方に少し、虐められているような……気がして……今日も私のことを無視されましたし、私、嫌われているのでしょうか……」
「ミリアーナが......?」
ミリアーナ・アーテルはアシュリーの婚約者だ。
彼女の人となりは婚約者であるアシュリーは理解しているつもりだが、なんの理由もなく人を無視したり嫌な思いをさせる人間ではないと考える。
逆に人の行動を人以上に気にし、嫌な思いをさせまいといつもひとつ先回りしているというのに。
そのことはアシュリーも感じていたので、にわかには信じ硬い。
しかし、目の前で泣いているマリアの涙も嘘だとは言える状況ではないし、嘘だと信じたくなかった。
だからアシュリーは「おまえを不愉快な気持ちにさせて悪かったな。俺からミリアーナに伝えておこう」と言った。
マリアはその言葉に花が開いたように明るく笑って答えた。
その表情にアシュリーの胸はどきりと高鳴る。
気持ちの高揚を感じた。
★
それからというものの、時間があれば、会う度にマリアはアシュリーに相談事を重ねるようになった。
ある日はミリアーナに体操着を隠された。
その相談事のほとんどにミリアーナが関連していた。
その度にアシュリーはミリアーナに注意する。
身に覚えのないミリアーナは「知りませんが気には留めておきます」と返事を返す。
その様子にアシュリーはだんだんと苛立ちを募らせる。
嫌がらせの数々に謝罪を意味を込めた対策法を口にするならまだしも、知らぬ存ぜぬ、けれど気に留めるの回答にアシュリーは納得していなかった。
何故マリアがツライ思いをしているのに、自分の非を認めないのか。
マリアが嫌がらせをミリアーナ自身から受けているというのにそれを改善しないのか。
アシュリーは事実確認をすることなく。決めつけで物事を考えていた。
それに気づかないアシュリーも。彼がマリアに懸想しているのを知っていたミリアーナもそれを指摘することなく、話も事態もこじれていく。
そして二人の関係が明らかに亀裂が入る事件が起きた。
中等部に入って少ししてからの出来事。
アシュリーは移動教室で授業用具をもって移動していると移動先の教室に通じる階段に人だかりができていた。
騒がしい生徒たちの煩わしさ、何故人だかりができているのかという好奇心でその人並みをかき分けて騒ぎの最先端に行く。
するとマリアが踊り場で尻をつき、その目の前でミリアーナが尻をついたマリアを呆然と見つめていた。
マリアは瞳から大粒の涙を流していた。ミリアーナは空虚な目で傍観者のようにその光景を見守る。
ただことではないと二人の間に割って入った。
「大丈夫か、マリア!」
またミリアーナがマリアになにかをしたのか。その気持ち一心、状況的に鑑みてミリアーナに問う。
「またマリアに意地悪をしたのか、ミリアーナ!なにを理由にか弱い女子に暴行をするのか答えてみせろ」
マリアに向けていた視線をそのまま流れるようにアシュリーに向ける。
その瞳には感情がこもっていなく、アシュリーもゾっと悪寒が走った。
人はこんなにも冷たい視線を送れるのかと、この時ばかり他人の感情に疎いアシュリーでも怖さを覚えた。
そしてミリアーナは口を開いた。
「……私ではありません。……といってもアシュリー様はいつもマリアを庇うのですね。双方の言葉を聞くこともなく。一方の言葉しか信じることができない。人はそれを純粋と表現するのでしょうが、私にはその純粋さに頭が痛くなる一方です」
淡々といってのけるミリアーナ。そしてめんどうくさそうに長いため息を吐いた。
本当にこれはミリアーナなのだろうか。
大人しく、人の言うことに聞き分けがあり、自分から面倒を起こさない。アシュリーにとっては都合のいい女。
しかし今現状でアシュリーやマリアにとっては都合の悪い態度「ばかり」を取る。
ミリアーナは度重なるトラブルに巻き込まれただけ。そしてその巻き込まれる度に決めつけで物を言われ、自分の言いたいことすら聞かないアシュリーにうんざりしていた。
今日ばかりは彼にとって都合がいい自分を取り繕うのを忘れていたといっていいだろう。
しかし、その態度がさらにアシュリーの不安と苛立ちを募らせる。
――バチン。
次の瞬間、アシュリーの平手がミリアーナの頬に届いていた。
「次期王妃とあろうものが無辜の民を傷つけるとは何事か!卑劣ないじめの数々、到底許されぬ行為ではないぞ!俺はおまえを軽蔑するぞ、ミリアーナ。おまえは物分かりがいい女だとは思っていたがな」
「彼女を虐める動機もなければ行動する理由もない。そしてすべては彼女の勘違いと自分で引き起こしたことだというのに。あなたはマリアを信じるのですね」
「――あたりまえだろう!上辺だけの俺を慕うおまえとは違い、マリアは俺の内面まで理解してくれようとしている。どっちの言葉を信じるなど明白だろう!」
一方的で相手の背景を考えない言動。そしてミリアーナの言葉などまったく聞き入れない態度。真実的にはミリアーナの方が被害者なのだが、状況的にそれを理解してくれる人は果たして何人いるのだろうか。
ミリアーナはどこで間違えたのだろう。さらに気持ちを落ち着かせるように息を吐いた。
この事件は学園中に知れ渡ることとなり、ミリアーナの立場を大きく変わることとなった事件となることをミリアーナ、そしてアシュリーは知る由もなかった。
この事件をきっかけに、アシュリーはミリアーナと距離をとるようになり、マリアとの時間につぎ込むようになった。
ミリアーナはというとアシュリーの態度が明らかに変わり、面と向かって暴言を吐かれること。そしてマリアの一件で日々のストレスをため込むこととなる。
それに王子の婚約者という重責が加算されることで、15歳の日にとうとう精神が壊れてしまった。
あの時、何を言えば正解だったのだろうか。
言ったところで家に迷惑をかけるしかなかった。
ぐるぐると後悔の中、ミリアーナ本人の人格は闇に飲まれていったのだった。
だからこそ、あの日の彼女の涙を彼は見過ごすことができなかった。
中等部がはじまって少ししてからのこと。
マリアとアシュリーは図書室という限定的な場所ではあるが時々顔を合わせる間柄となった。
ある日は今日の天気の話。ある日は自分の家族たちの話。そして日常の話。
なんの面白みもない話ではあったが、自分を特別と接しないマリアに居心地の良さをアシュリーは覚えた。
そんなある日のことだった。
「うぅ......ぐすっ……」
アシュリーがいつものように図書室に行くとマリアの姿がいつもの席になかった。
部屋の四隅をくまなく探すと、図書室の後ろ扉に近い席でうずくまってすすり泣いていた。
「どうしたのだ?」
何時も笑顔を見せてくれる彼女。その泣いている姿に胸の痛みを覚え、そっと話しかけた。
マリアはアシュリーの存在に気づくと指で涙をぬぐい、気丈を装うように笑ってみせた。
「なんでもありません。私の考えすぎなんです」
泣いていたからか声は震えている。渇いたような声にただ事ではないとアシュリーは食い下がりマリアに泣いている理由を問う。
何回かの問答の末、おずおずと「それが......」と言葉を続けた。
「同じクラスに……ミリアーナ・アーテルさんという方がいるのですが……。その方に少し、虐められているような……気がして……今日も私のことを無視されましたし、私、嫌われているのでしょうか……」
「ミリアーナが......?」
ミリアーナ・アーテルはアシュリーの婚約者だ。
彼女の人となりは婚約者であるアシュリーは理解しているつもりだが、なんの理由もなく人を無視したり嫌な思いをさせる人間ではないと考える。
逆に人の行動を人以上に気にし、嫌な思いをさせまいといつもひとつ先回りしているというのに。
そのことはアシュリーも感じていたので、にわかには信じ硬い。
しかし、目の前で泣いているマリアの涙も嘘だとは言える状況ではないし、嘘だと信じたくなかった。
だからアシュリーは「おまえを不愉快な気持ちにさせて悪かったな。俺からミリアーナに伝えておこう」と言った。
マリアはその言葉に花が開いたように明るく笑って答えた。
その表情にアシュリーの胸はどきりと高鳴る。
気持ちの高揚を感じた。
★
それからというものの、時間があれば、会う度にマリアはアシュリーに相談事を重ねるようになった。
ある日はミリアーナに体操着を隠された。
その相談事のほとんどにミリアーナが関連していた。
その度にアシュリーはミリアーナに注意する。
身に覚えのないミリアーナは「知りませんが気には留めておきます」と返事を返す。
その様子にアシュリーはだんだんと苛立ちを募らせる。
嫌がらせの数々に謝罪を意味を込めた対策法を口にするならまだしも、知らぬ存ぜぬ、けれど気に留めるの回答にアシュリーは納得していなかった。
何故マリアがツライ思いをしているのに、自分の非を認めないのか。
マリアが嫌がらせをミリアーナ自身から受けているというのにそれを改善しないのか。
アシュリーは事実確認をすることなく。決めつけで物事を考えていた。
それに気づかないアシュリーも。彼がマリアに懸想しているのを知っていたミリアーナもそれを指摘することなく、話も事態もこじれていく。
そして二人の関係が明らかに亀裂が入る事件が起きた。
中等部に入って少ししてからの出来事。
アシュリーは移動教室で授業用具をもって移動していると移動先の教室に通じる階段に人だかりができていた。
騒がしい生徒たちの煩わしさ、何故人だかりができているのかという好奇心でその人並みをかき分けて騒ぎの最先端に行く。
するとマリアが踊り場で尻をつき、その目の前でミリアーナが尻をついたマリアを呆然と見つめていた。
マリアは瞳から大粒の涙を流していた。ミリアーナは空虚な目で傍観者のようにその光景を見守る。
ただことではないと二人の間に割って入った。
「大丈夫か、マリア!」
またミリアーナがマリアになにかをしたのか。その気持ち一心、状況的に鑑みてミリアーナに問う。
「またマリアに意地悪をしたのか、ミリアーナ!なにを理由にか弱い女子に暴行をするのか答えてみせろ」
マリアに向けていた視線をそのまま流れるようにアシュリーに向ける。
その瞳には感情がこもっていなく、アシュリーもゾっと悪寒が走った。
人はこんなにも冷たい視線を送れるのかと、この時ばかり他人の感情に疎いアシュリーでも怖さを覚えた。
そしてミリアーナは口を開いた。
「……私ではありません。……といってもアシュリー様はいつもマリアを庇うのですね。双方の言葉を聞くこともなく。一方の言葉しか信じることができない。人はそれを純粋と表現するのでしょうが、私にはその純粋さに頭が痛くなる一方です」
淡々といってのけるミリアーナ。そしてめんどうくさそうに長いため息を吐いた。
本当にこれはミリアーナなのだろうか。
大人しく、人の言うことに聞き分けがあり、自分から面倒を起こさない。アシュリーにとっては都合のいい女。
しかし今現状でアシュリーやマリアにとっては都合の悪い態度「ばかり」を取る。
ミリアーナは度重なるトラブルに巻き込まれただけ。そしてその巻き込まれる度に決めつけで物を言われ、自分の言いたいことすら聞かないアシュリーにうんざりしていた。
今日ばかりは彼にとって都合がいい自分を取り繕うのを忘れていたといっていいだろう。
しかし、その態度がさらにアシュリーの不安と苛立ちを募らせる。
――バチン。
次の瞬間、アシュリーの平手がミリアーナの頬に届いていた。
「次期王妃とあろうものが無辜の民を傷つけるとは何事か!卑劣ないじめの数々、到底許されぬ行為ではないぞ!俺はおまえを軽蔑するぞ、ミリアーナ。おまえは物分かりがいい女だとは思っていたがな」
「彼女を虐める動機もなければ行動する理由もない。そしてすべては彼女の勘違いと自分で引き起こしたことだというのに。あなたはマリアを信じるのですね」
「――あたりまえだろう!上辺だけの俺を慕うおまえとは違い、マリアは俺の内面まで理解してくれようとしている。どっちの言葉を信じるなど明白だろう!」
一方的で相手の背景を考えない言動。そしてミリアーナの言葉などまったく聞き入れない態度。真実的にはミリアーナの方が被害者なのだが、状況的にそれを理解してくれる人は果たして何人いるのだろうか。
ミリアーナはどこで間違えたのだろう。さらに気持ちを落ち着かせるように息を吐いた。
この事件は学園中に知れ渡ることとなり、ミリアーナの立場を大きく変わることとなった事件となることをミリアーナ、そしてアシュリーは知る由もなかった。
この事件をきっかけに、アシュリーはミリアーナと距離をとるようになり、マリアとの時間につぎ込むようになった。
ミリアーナはというとアシュリーの態度が明らかに変わり、面と向かって暴言を吐かれること。そしてマリアの一件で日々のストレスをため込むこととなる。
それに王子の婚約者という重責が加算されることで、15歳の日にとうとう精神が壊れてしまった。
あの時、何を言えば正解だったのだろうか。
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ぐるぐると後悔の中、ミリアーナ本人の人格は闇に飲まれていったのだった。
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