本当に私でいいんですか?

泡沫 呉羽

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鬼族の村

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 屋敷の中は見た目に反して広く、大きな石や瓦礫の残骸が残っていた。

「さて、シェリーが求めているものは父と母の部屋と私の部屋にあるでしょう。どちらからみたいですか?」

「セルフィーの部屋から見てみてもいいですか?」

 セルフィーは微笑んだまま頷き先頭を歩き出した。

 シェリアは少しだけその反応に違和感をもったが特に何も言わずに歩く。

 行き着いた先は薄暗い地下牢のその先、大きく厳重に作られた頑丈なただ1つの牢屋であった。

 中も暗く小さなベットと机と日記が詰められた本棚しか見当たらない。

「ここは……?」

「見ての通りです。ここが私の部屋です。」

 そう言ってセルフィーは小さなベットに腰掛けシェリアを手招きした。
 
 シェリアは大人しくセルフィーの隣に腰掛け話を聞く。

「まずは村の歴史からの話しましょうか。この村は国にとっても重要な村でした。何故かと言うと、村人は鬼族で、構成されており戦争や防衛に役立っていたからです。」

「じゃあセルフィーも鬼族なんですか?」

「半分は当たりですね。私の場合は認められていないですから」

 シェリアはそこで疑問を持った。

「認めがいるんですか?」

「ええ、鬼族は8の年になったらその力が覚醒するんです。私はしませんでした。鬼族の中でも忌み子とされる種類でしたから」

「鬼にも種類があるんですね」

「あなたは鬼と聞いても驚いたり怖がったりしないんですね。そこは嬉しいですが」

 この世界で鬼と言えば一人で国を揺るがせると言われておりまた、縛られることを嫌い国に属さない一族だ。

 そのため怖がられたり、子供の躾に鬼の話を出したりとされている。

「そう……ですね。鬼族は主に一本角科、二本角科、吸血鬼科に分かれます。その中でも吸血鬼は時々鬼族の中から産まれ、そして産まれてすぐに両親に殺されるんです」

「えっ…!?殺すんですか!」

「えぇ。吸血鬼は忌み子と言われており、産まれた事がわかると鬼族の恥と一生言われることになるので殺して、存在を消すんです。流産とでも言い訳を周りにはしてね」

 シェリアはその話に暗い顔をしセルフィーを見上げた。

「何故、そんな事ができるんですか……?私には無理です。せっかく産まれた命をそのように……」

「望んで産まれた子ではないからでしょうね。私も例外なく殺されそうになったそうですよ」

「吸血鬼なんですね。でも血なんて吸ってるところ見たことないですよ?」

「····················ね」

 シェリアはその小さな声が聞こえず首を傾げた。

 セルフィーが泣きそうな目でシェリアの膝に頭を乗せ、膝枕の態勢になったため、シェリアは驚いたが頭を撫でてみた。

「私のこと嫌いにならないでくださいね……」

 シェリアは優しく頭を撫でて返事をし、セルフィーは続きを深くため息を付いてから話し始めたのだった。
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