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39―2話 あいつのために   ※SIDEライト

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※ SIDEライト



 俺様はずっと退屈だった。だって人間はすぐ死ぬし、どんな形であれ力を持つものを怖がり、恐縮し逃げる。だから俺様は退屈だった。いや、俺様達のような人ならざる者は皆退屈かもしれない。

 あいつが来てからは生活が変わった。愛し子である、レティシアだ。愛し子であろうと人の本質は変わらないはずなのにあいつは俺様の事も他のやつも怖がらなかった。ちっちゃくてすぐ潰れそうな子供だったはずがいつもの間にか大事な俺様のいや、皆の癒やしとなっていた。朱雀や玄武、青龍は互いに仲悪いはずなのに結束しレティシアを守り愛しんでいる。あいつは凄いな。気づいたら退屈じゃなくなってんだから。

「それで話しというのはレティシア嬢のことだろうか?」

 王太子はソファーの真ん中に座る俺様に尋ねた。そうだ。そのことを話に来たんだ。

「あぁ。……本当は手放したくないが里親を探そうと思ってるんだ」

 これは皆の意思でもある。というのもレティシアは転生者というのもあり大人びているが本来は小さな子供だ。親の愛情に飢えている。ここ数ヶ月、産みの親のことを思い出すのか夜泣きが激しくなり、更に起きてる時でも表情を暗くしているときがあった。

「そうか…だが、愛し子という事もありそれ目当てのものも現れるだろう。そちらで育てるのが1番安全ではないか?」

「あぁ。だが我らは人の事には疎いし、対処が出来ないだろう。あの子は人の温もりを本能で求めている。」

「あれほどの良い子を何故親は捨てたのか妾には分からぬ。いや、あの子じゃなくても貴族は何故子供の命をなかったことにするのじゃ?」

「その通りだろう。すまない。レティシア嬢の生家は然るべき対処をさせてもらう。他に至ってはこちらで順次調べさせよう。……レティシア嬢は私が引き取っても良いだろうか?」

「そうね、対処は任せるわ。約束を違えることがなきようおねがいしたいわ。……あなたが引き取りたいの?意外ね、どうしたわけ?」

 たしかにそうだ。この王太子は小さい頃から知っているが自分から引き取るというとは思いもよらなかったな。

「ルキシアの母が亡くなり私はあの子に寂しい思いをさせてしまった。ものを買い与えいつの間にか愛情を注ぐことを忘れていた。気づいたのもつい最近というのも愚かだがもう一度家族としてやり直そうと思っている。レティシア嬢はルキシアがあれから初めて笑ったところを見せてくれた。それに報いたい」

「なるほどな。まぁ王宮は不用意に近づけないからな。俺様としちゃあいいと思う。が、不幸にしたら殺す」

「うむ。我らはそれで良い。が、殺すはやりすぎだ。せいぜい1度海に沈めるぐらいにしとけ」

 いや、そっちのほうが国としてはやばくね?まぁ、方針は決まったな。あとはレティシアをどう説得するかだな。本人に自覚はないから尚難しいんだよなぁ。




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