レインの店へようこそ!

泡沫 呉羽

文字の大きさ
上 下
18 / 25

17話 仕組まれた罠

しおりを挟む
「おい、もういいのか?気持ち悪かなくなったか?」

 暫く声をかけながらレインの背中を優しく擦ってたフェルトラは急に立ち上がったレインに声をかけた。

「うん。もう大丈夫。だけど……血が入ったワインは見たくないかなぁ」
「まぁ、分かってて飲みたくないもんでもあるしな。おい、そこのやつワイン入れ替えろ。あ?全部だ」

 フェルトラは近くを歩いていた給仕に入れ替えるよう指示をだしすべてを先程とは違い、白ワインに変えた。
 レインはほっと息を吐き、白ワインを飲んだ。
 
「フェルトラ、ダンス踊るかい?」
「踊る相手なんていねぇよ。一度踊るとマジ集ってきやがるし」
「ナーガなんてどうだい?それとも例の女性?」

 その言葉にフェルトラはワインを落としかけた。

「あ?俺は嫌だぞ主。こんな男と踊りたいとは思わんからな」
「……同じく。そもそも同性だろが」
「ナーガを女性にしてあげようか?短時間ならできるよ?」
「げっ…俺女にされるのか…それはそれで楽しそうだな。女の方が男は油断しやすいし、魂の味見し放題じゃねぇか」
「流石、人生楽しみたいナーガ君!俺と一緒に薬飲んでみる?」
「二人して飲むのかよ!?」
「安全性は大丈夫さ。俺がちゃんと試しておいたから」
「あー、主の女版すげーやばかったよなぁ」

 そう言いながらナーガが最初に薬を含み姿が少し変わる。

「うおっ?!飲んだのは初めてだが、なんか普段と全然違うな。胸が重いんだが………」
「「わー……ナーガ、マジかぁ」」

 一言で言うなら男装をした若干ツリ目の麗しい女性姿だ。
 その姿にいつものナーガの口調がマッチしており、更に、凛とした声音で男性も女性もナーガを見つめている。

「なぁ、俺だけ注目集めるの嫌なんだけど。お前らも飲め!」

 暫くホールが静かになり国王も王妃もみんな見ており、それに耐えきれなくなったナーガはフェルトラの口に飲み薬を突っ込んだ。
 1度口に入れたものを吐き出せるわけもなくそのまま女性化をフェルトラはした。
 レインに至っては自分で薬を口に入れ女体化を果たした。

「お揃いだね」
「おい、俺もかよ。今度は女性同士で踊ることになるんじゃね?」
「なら、この俺が踊ろうか?フェルトラよ」

 国王がしげしげと自身の息子を眺めながらダンスを誘った。
 ナーガを女性騎士のような凛々しい女性とするならフェルトラは気の強いどこかの男装令嬢だろう。
 レインは元々この中の誰よりも綺麗で整ってる顔つきのため、言うまでもない。
 フェルトラでさえ、今まさに目を離せずにいる。

「なぁ?レインだよ…な?」
「そう。一応言っとくけど薬の配合は平等だからね?」
「なっ?主はやべー」
「薬30分ぐらいしかもたないから楽しもう!」

「ねぇ?よければ踊ってくれないかな?」

 暫く雑談をしたあとレインが大胆に他の人にダンスを誘う。

「なぁ、ナーガ。あいつなんで誘い行ったんだ?」
「あー、後で戻ったときに同性だったことを思い出し鳥肌立ててゾワッとする様子を見たいんだとさ」
「貴族が同性で踊るなんて前代未聞もいいとこだしな、頭が硬いからそうなるか……あいつ、いい趣味してんな」
「うわー、2組目じゃん…主と踊るなんて可愛そ」
「店の美麗の薬を使った女、切れてんぞいいのかレイン」
「あははー、睨まれたね。そろそろ効果切れそうだしやめとくよ」

 2分ぐらいあとに効果が切れ3人とも無事にもとに戻りレインと踊った人たちは予想通り鳥肌がたったらしく腕を抑えていた。

「きゃーーーー!!」

 その時1つ照明が上から落ちてきたらしく女性が腕を大きく負傷をした。

「…………レイン?…また体調が良くないのか…?大丈夫か」

 女性に駆け寄ろうとしたフェルトラはレインを見て、驚いたように声をかけた。
 レインはうずくまっており時々肩が震えている。
 相当良くないのかとフェルトラは女性は他の人が手当をしてるのを見て、レインの横にしゃがみ背中をなでた。

「主……悪魔の力の流れが落ちた照明から見えた……俺以外の悪魔がいる!」
「このタイミングでか!?くそ……レイン無理すんなよ」

 その時、フェルトラの腕をいつものレインじゃ考えられないほどの力でレインは掴んだのだった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

ブチ切れ世界樹さんと、のんびり迷宮主さん

月猫
ファンタジー
異世界へ拉致された主人公。目が覚めた先はボロボロの世界樹の中だった?! 迷宮の主となった主人公は、ダンジョンの能力【創造】により全く新しい”モノ”を世界に作り出し、現状の打破に挑む。 新しい魔物を創ったり、予想外な成長に困惑したり。 世界樹の愚痴を聞いたり、なだめたり。 世界樹のため、世界のため、世界樹の治療と環境改善を目指し、迷宮はどんどん大きくなる。そんなお話。 始めは少々危険な場面がありますが、ダンジョンが成長してからはその様な場面は少なくなり、周りの生物の方がダンジョンに抗う感じになります。 俺TUEEEならぬ、ダンジョンTUEEEもの。チート能力ならぬ、チートダンジョンの予定。 (チート能力者が居無いとは言っていない) 初投稿です。山なし谷なし作品ですが、暖かい目でみてください。 異世界なのだから、元の世界の常識が当てはまらなくても、おかしくないのでは? をコンセプトに、スキルやら魔法やらの仕組みを表現できたらと思っています。 ※「小説家になろう」にも掲載 ※ストックが切れたら、更新が遅くなると思います、ご容赦下さい

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...