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綺麗な実をつける葉
ごく普通の告白
しおりを挟むあなたが「大好き」と言ってくれるその声に安心してしまうの。
それなのに、ちゃんと真正面から受け取れない自分がいて、それがあなたの「大好き」の言葉のせいにして、苦しくなっている私が1番嫌いなの。
ずっと、「大好き」って言わなくていいの。
「ずっと好き」って言わなくてもいいの。
ただ、私の傍を離れなければ、きっと安心出来るから。
あなたの声が知らない所でするのがヂクヂク痛むの。
いつかあなたへの気持ちが傷んでしまうんじゃないかって不安がなくならないから、怖くてまたあなたの温度を背中で感じながら泣いちゃう馬鹿な私が本当に嫌い。
私が少し苦しい事があったとしても、あなたは私以上に悲しくなってくれて、私の代わりに沢山怒ってくれる。
そんなあなたを見て「愛されてる」って嬉しくなっちゃうの。
こんな私のことを知ったら、きっと嫌いになっちゃうかもしれないけど、きっとあなたなら許してくれるんじゃないかって、どこかで信じてる私がいるの。
でも、嫌われちゃうんじゃないかって、怖くて何も言えない矛盾ばかりの私は消えちゃえばいいのにと、何度も思ってしまう。
あなたが他の子と歩いてるのを見た。とっても怖くて、『ああ、やっぱり私の事好きじゃないんじゃん』って思った。
信じてた私が馬鹿らしく思えて、苦しさも悲しさも辛さも全部がどうでも良くなった私と、受け止めきれなくて涙が止まらない私がいる。
こんな時にも矛盾ばかりで、本当に呆れる。
きっと、ずっと知らないでいるままが幸せだったのに、知らないフリをして忘れてしまえばいいのに、苦しくて頭の中は真っ白同然だった。
「ただいま」そう言ってあなたは家に帰ってくるけど、何故だか怖くて1歩も身体が動かない。
あなたは、私が一向に返事がないから心配して見に来てくれたけど、なんだか怖くて何も頭が回らなかった。
後ろから抱きしめてくれるあなたは、他の人…あの人の匂いが全然しなかった。
むしろすごく、安心するいつものあなたで躊躇いながら、聞いてみる。
「今日、どこに行ってたの?」そんな単純な言葉なのに、何故だか震えた声になってしまう。
あなたの声を待つのが、こんなにも怖くて恐ろしかった事なんて無かったのに、今は何よりもずっと怖かった。
「今日は、その…ちょっと欲しい物があって…」言葉を詰まらせながら言うその言葉は、もう時期この関係が終わるんだと自覚させられた。
「そう」と、素っ気ない一言で会話が終わった私達の家は怖いくらいに静寂を感じて、時間が止まったままの様にも感じた。
もう時期私達の関係が終わる。その一言を待つのには耐えるのが辛くて、口は開くのに声が出てこない。
きっと、私があなたの「大好き」の言葉を正面でちゃんと受け止める事が出来なかったからだ。
ちゃんと、私からもあなたの様に愛情表現をしていればこんな事にならなかったのかもしれないのに。
「ずっと好き」なんて言葉を真に受けないようにしていたのに、私はなんで信じちゃってたの?
私が、重かったから耐えられなかったのかな?
あなたの気持ちを、なんにも気づいてあげられなかったから、愛想を尽かされちゃったんだよね?
私は結局………
「好きだ」
あなたのその言葉で止まっていた時間が進んだ気がした。
自嘲や貶し、自分自身を責める言葉が頭の中でグルグル回っていた私の頭には、あなたの「好き」という言葉でかき消される。
優しい言葉ばかり言ってくれるあなたには似合わない言い方に、何が起きたのか分からなかった。
ただ「好きだ」という言葉が反響するのを黙って耐えるしかなかった。
「ずっと、言いたかったんだ」
その言葉で反響していた言葉が消えて、私は血の気が引いた。
思ったよりも早かった別れの言葉に、上げて落とすあなたのやり方が、あなたらしくなくてなんだかすごく苦しかった。
「このままこの関係はきっと良くないって、思ってた。」
『はは、もう来るんだ。その言葉が。私を殺すその言葉が来るんだ。』覚悟の決まっていない心の中で呟く。それくらいしか出来ない私に、どんな凶器が来ようときっと私はあなたのくれる言葉だから、今度こそ全身で受け止める。
そうしないと、ダメな気がしたから。
「だから、決めたんだ。」
やっと来る。早くもう言ってほしいよ。「別れたい」って。「もう君とはうんざりだ」って。現実だって知りたくもないのに、きっと私は壊れちゃうんだって分かってるのに。
本当、私は馬鹿だ。
さぁ。早く言ってよ。
「一緒になろう」
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